■講師/小口幸伸先生からのコメント
為替の世界と金利の世界は別物です。
為替は売買の世界で、レートは 1.3750 のように表わします。
一方金利は貸借の世界でレートは%で表わします。
しかし金利のことを度外視して為替を考えることはできません。
金利のことがわからないと為替の動きもよく理解できないのです。
実は為替と金利は密接に結びついています。
それは二つの面からです。
一つは外国為替の構造上からです。
為替レートは三つの種類のレートから成り立っています。
直物レート、先物レート、スワップレートです。
この中で先物レートとスワップレートを通じて金利と為替の世界は結合しています。
先物レートは輸出入業者や機関投資家がヘッジのために利用します(ヘッジ取引)。
銀行は顧客の先物取引をカバーするため、
銀行間市場で直物取引とスワップ取引をします(カバー取引)。
先物レートは直物レートとスワップレートから算出されます。
またスペキュレーターが先物でポジションを持つこともあります。
その場合も銀行は同様なカバー取引をします。
一般的に為替レートと言うと、直物レートを指すことが多いですが、
外為市場全体での直物の取引量は約三分の一に過ぎません。
半分以上はスワップ取引、残りが先物取引です。
ただこれらは互いに無関係ではなく、
前述の例のように互いに結びつき影響を与え合っています。
その点では為替と金利の結びつく先物レート、
スワップレートの仕組みを理解することは為替レートの理解を深めるのに役立ちます。
それは「先物レートは市場の予測値ではない」との命題を証明することでもあります。
もう一つの為替と金利の関係は、金利が為替レート(直物レート)の
有力な変動要因の一つになっていることです。
このパートでは
「高金利通貨は本当に買われるのか、そうだとするとそれはなぜか」
の問いに答えることです。
一般的に資金は低金利から高金利に流れる傾向があるので、高金利通貨は買われます。
どこまで買われるかと言うと、
理屈の上では金利差分だけ下落するだろうと予想される点までです。
ただ金利と言っても具体的には何を指すのか。
金利には多くの種類があります。
一つの分類法として短期金利と長期金利があります。
短期金利は1年以内の金利で、
代表的なものには政策金利やユーロ市場の金利(ユーロダラー金利など)があります。
1年超の金利は長期金利としてくくられますが、
代表的指標としては10年の国債の金利があります。
この中で為替変動要因になるのはどれか。
市場はなぜそうした金利の指標を注目するのかを探ります。
但し例外もあります。
高金利通貨が売られることもあります。
通貨危機などの際にこうした事例が珍しくありません。
単に表面的な金利水準や利上げに通貨買いで反応すると失敗します。
このDVDでは金利と為替の関係を、
以上の二つの面から掘り下げることで理解を深めます。
小口幸伸