
ジョー・ディナポリ氏が1998年に提唱した「ディナポリレベル」は、押し・戻り・エントリー・目標価格といったトレードの判断軸をフィボナッチ比率を使って提供する理論。
ただし、その内容は抽象的・裁量的であり、「再現が難しい」「どこで仕掛ければいいか迷う」という声も多くありました。
そこで、
『フィボ・ストラクチャー』として機能を追加して視覚表示を自動抽出できるようにしました。
✅ ZigZagでマーケットの構造(マーケットスイング(A-B-C))を自動抽出
✅ 38.2%〜61.8%の押し・戻りゾーンを視覚表示
✅ フィボナッチ拡張ターゲット(COP/OP/XOP)を自動描画
✅ 構造化されたトレード判断を可能に
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(1) フィボ(Fibo)ストラクチャー
ZigZag(ジグザグ)によってトレンドを特定し、38.2%〜61.8%の押し・戻りゾーンを塗り分け表示し、視覚的にエントリーのチャンスを自動表示します。
さらに、マーケットスイング(A-B-C構造)を自動抽出し、フィボナッチ拡張のCOP/OP/XOPターゲット(利益確定)を描画。
ディナポリレベルは、ジョー・ディナポリ氏による長年の研究の核心をなすツールであり、価格構造に基づいた戦略的ターゲット設定法の集大成です。原著で裁量的に語られていたディナポリレベルの分析を、構造化・自動化し、トレード判断を強力にサポートします。
(注1)A→B→C構造とは?
価格の流れを3つの主要なポイントで捉える考え方で、多くのトレンド分析やフィボナッチ手法の基礎となる構造です。通常、トレンドの起点となる「A点」、そこから一方向に伸びた高値または安値を「B点」、そしてB点に対して押し戻りをつけた価格を「C点」とします。
たとえば、上昇トレンドの場合は「起点A → 高値B → 押し目C」、下降トレンドなら「起点A → 安値B → 戻りC」という構造になります。
(注2)COP、OP、XOPとは?
A-B-Cスイングに基づいて算出される「フィボナッチ拡張ターゲット」で、
・COP(Contracted Objective Point):控えめな目標
・OP(Objective Point):標準的な目標
・XOP(Extended Objective Point):拡張的な目標
と位置づけられています。
これらは利食い目安やトレンドの勢いを測る基準として使われます。
図2 ZigZag構造から直近のマーケットスイング(A-B-C)を自動抽出し、38.2%、61.8%リトレースゾーンを視覚的に描画

図3 フィボ・ストラクチャーは3本まで表示可能(38.2%、61.8%を自動描画)

図4 複数のフィボナッチ構造の重なりも分かりやすい

複数のマーケットストラクチャーから表示されたフィボナッチ・ゾーンはトレーダーにとっては「強力な支持帯や抵抗帯」として解釈されます。
図5 フィボナッチターゲット(OP / COP / XOP)

フィボナッチ拡張ターゲット(OP/COP/XOP)は、条件に応じて表示/非表示を切り替え可能。利確目安として活用されます。
(2) DMA(ずらした移動平均線)
「ずらした移動平均(Displaced Moving Average)」は、ディナポリ手法において方向性(トレンド判定)やクロス判断の中核をなす指標です。主に、日足、週足、月足などの長期のタイムフレームで利用されます。
本ツールでは3×3(3期間移動平均線を将来の方向に3期間ずらしたもの)、7×5(7期間移動平均を将来の方向に5期間ずらしたもの)、25×5のDMAを表示し、トレンドの発生や押し目/戻り局面の視認に最適です。
図6 DMA

(3) ディナポリ式ストキャスティックス
通常のファストKストキャスティクスをベースに、2段階のスムージングを加えたディナポリ特有の構造。クロスの向きやタイミングを重視して、トレンド転換の初動を捉えるサポートを行います。
デイトレードなどの短期トレードでのトレンド指標として使われます。
(4) ディナポリ式MACD
一般的なMACDとは異なるオリジナルパラメータと平滑手法により、よりなめらかで先読みしやすいラインを表示。中期的なトレンド把握や、他のインジケーターとのコンビネーションによる方向性確認に役立ちます。
こちらも、デイトレードなどの短期トレードでのトレンド指標として使われます。
図7 ディナポリ式ストキャスティックス(上)とMACD(下)

ディナポリ氏は、両インジケーターを短期トレードのトレンド判定に利用していますが、MACDはストキャスティックスよりも「長期」のトレンド、ストキャスティックスはMACDよりも「短期」のトレンドとして、利用しています。
例えば、MACDが上昇トレンドのとき、ストキャスティックスが一時的の押している場面で、“押し目買い”などを行うチャンスと考えます。
(5) ダブルレポ(シグナル型戦略インジケーター1)
DMA(3×3)の一方向スラスト(=連続した上昇または連続した下落)発生後の反転パターン(2度のDMAクロス)を捉え、逆張りのチャンスを示す戦略インジケーター。
原著の裁量的判断を、明確なラベル(1→2→3→買い/売り)とシグナルで自動表示し、再現性のある逆張り戦略を実現します。TradingViewのPineスクリプトを利用しなければ実現できなかったインジケーターです。
図8 ダブルレポ・パターン

ラベル1はトレンド発生(ここでは上昇トレンド)を表します。ラベル2は押し、ラベル3は戻り、再度の下落でショート(ラベル売り)。これをDMA(3x3)を利用し判定します。
ディナポリ氏は、ダブルレポ・パターンを「高値圏での買い疲れ/安値圏での売り枯れ」を見極める特別な戦略として位置付けています。
(6) シングルペネトレーション(シグナル型戦略インジケーター2)
DMAを一度だけ抜けた後、フィボナッチの38.2〜61.8%押し/戻りから再反転する動きを狙う戦略。これもディナポリ氏が中核に据える戦略です。
押し目買い・戻り売りの代表的戦略を、視覚的なインジケーターとして表示します。
図9 シングルペネトレーション・パターン

ラベル1はトレンド発生(ここでは上昇トレンド)を表します。これもDMA(3x3)を利用し判定します。ラベル2は押し、ラベル3はフィボナッチ38.2%から61.8%までの押し、再度の上昇でロング(ラベル買い)。
シングルペネトレーションはトレンド方向への押し/戻りを利用した順張り戦略であり、これもディナポリ氏の中心のトレード戦略です。