トレードのパフォーマンス(利回りやドローダウンなど)を決める要因にはい
くつかの要素がありますが、多くのトレーダーがもっとも労力を割くのは「売
買ルール」ではないでしょうか。(「あるテクニカル指標が一定のルールにな
れば買いサイン」など)
しかし、私自身はテクニカル指標などをベースとした売買ルールが、それほど
パフォーマンスに大きく影響を与えるとは考えていません。なぜなら、TOP
IXなどの指数が下落すれば、個別銘柄のテクニカル指標がどんな買いサイン
を示していようが、業績が絶好調であろうが、株価はお構いなしに下落するか
らです。逆に指数が上昇すれば、大小の差はあれ、ほとんどどんな銘柄も上昇
するのです。
以下のデータは、ある1つの売買ルールを使って、2000年から2007年
までトレードし続けた場合の検証結果です。(※手数料は考慮せず)
【検証結果1】
勝率:67.7%(勝ち数:941 負け数:448)
平均損益率:0.43%
平均年間利回り:15.11%
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逆張り型のルールであるため、勝率は高めとなっていますが、平均損益率(1
トレードあたりの平均損益を%で表したもの)はわずか0.43%と低く、あまり
実用的なルールとは思えません。ところが、買いのタイミングを決める1つの
条件を追加するだけで、まったく異なる結果となります。
以下は、売買ルールはまったく変更せずに、ある条件(フィルター)を追加し
てトレードを行った場合の検証結果です。(※手数料は考慮せず)
【検証結果2】
勝率:79.8%(勝ち数:533 負け数:135)
平均損益率:6.23%
平均年間利回り:53.44%
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上記の2つの検証結果をご覧のとおり、まったく同じ「売買ルール」を使って
いるにもかかわらず、トレードのタイミングを決めるフィルターを1つ追加す
るだけでパフォーマンスはまったく異なったものとなります。
このことからもいえるように、トレードにおけるパフォーマンスを決定するの
は、決して「売買ルール」といった単体の要因ではなく、じつは上記のような
タイミングを決めるフィルターや資金管理などによるところが大きいのです。
逆をいえば、売買ルールそのものは少々アバウトであってもかまわないという
ことになります。
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