為替に限らず、株、商品といった取引を行う際、どうしても方向性にとらわれがちです。そのため、「ドル崩壊」や「ユーロ危機」といったタイトルの書物を手にすることになります。もちろん方向性があってなければ収益をあげることは難しいものです。ただ、仮に手にした書籍の方向性があっていたとしても、その本の読者が同じように収益をあげられるわけではありません。
取引においては、方向性を当てることに加え、「いつ、どのようなタイミングでエントリーし、それをどのようなタイミングで手仕舞うのか?」が非常に重要となります。前述のようなタイトルの書物ではそれを教えてはくれません。
本書は、14人の一流トレーダーとのインタビュー集です。有名な『マーケットの魔術師』シリーズとの違いは、本書に登場するトレーダーのすべてが「メカニカルトレーダー」であるということ。
トレードにおいては、「最も恐怖を感じる取引」が最大の利益をあげるといわれます。裁量トレードにおいても「欲望や恐怖」をコントロールし、「最も恐怖を感じる」、つまり「多くの人と逆の方向性」にエントリーするには、自分の手法に従って、機械的にエントリーするしか恐怖を払拭する方法はありません。
この書籍に登場する14人のトレーダーは多くのアイディアに溢れ、自分自身のトレードの再構築に大変参考になります。
特にトム・デマークの「私が仕事に取りかかるとき、チャートの見出しすらみません。銅だろうが、債券だろうが、IBM だろうが関係ないのです」というコメントが印象的。つまりどんなマーケットにおいても、日々刻々と流されるヘッドラインと、収益をあげることとはなんの関係もないということを彼はいっているわけです。
一読されることをお勧めします。