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フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/07/02 11:06, 提供元: フィスコ 早稲アカ Research Memo(6):新中期経営計画を発表、着実な収益成長と新たな飛躍の基盤構築に取り組む*11:06JST 早稲アカ Research Memo(6):新中期経営計画を発表、着実な収益成長と新たな飛躍の基盤構築に取り組む■早稲田アカデミー<4718>の今後の見通し 1. 新中期経営計画 (1) 中期経営計画の概要 同社は2026年5月に2027年3月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。2025年11月に創立50周年を迎え、次の50年に向けてさらなる成長を目指すべく、中長期ビジョンとして「日本一の学習塾、そして日本一の民間教育企業を目指す」ことを掲げ、これまで取り組んできた基本戦略「合格実績戦略」を基軸として、本中期経営計画期間内では着実な収益成長の実現と、新たな飛躍に向けた基盤の構築を目指す。 事業戦略として、1) 標準校舎(中高受験集団指導型校舎)のさらなる伸長、2) 大学受験部門と個別指導部門の強化(LTVの最大化)、3) インオーガニック領域の拡充促進の3つの施策を推進し、2029年3月期に売上高460億円、経常利益47億円、ROE15.6%を目標に設定した。年平均成長率は売上高で約7%、経常利益で約6%となる。2026年3月期の売上構成比で85.3%を占める標準校舎については、年率3〜4%の売上成長を目指し、9.3%を占める個別指導部門は年率10%強、2.9%を占める大学受験部門は年率15%強の売上成長をそれぞれ目指す。なお、インオーガニック領域拡充のためのM&A・アライアンスの効果については、業績目標に織り込んでいない。 逆L字強化戦略によって成長スピードを加速 (2) 事業戦略 a) 標準校舎のさらなる成長 首都圏における少子化の進行は他地域と比較して緩やかであること、また首都圏の私国立受験熱は高止まりの傾向が続いており、当面その市場規模は維持される公算が大きい。こうした環境下において、「首都圏の難関中学校受験なら早稲田アカデミー」という流れがここ数年、加速する状況となっている。実際、小学部の塾生数の直近3年間の平均成長率は4%と、少子化が進むなかでも安定して増加している。同社では、今後も高い合格実績とICTを活用した利便性の高いサービスを提供し続けることで年率3〜4%ペースで塾生数を伸ばし、標準校舎の売上高として2029年3月期は2026年3月期に対して10〜12%増を見込んでいる。新規出校については、条件に適う不動産物件が見つかりにくい状況ではあるものの、人口が増加し続けている湾岸エリアでの探索を続けている。また、既存校舎においても適宜、移転・リニューアルを実施する予定だ。 b) 大学受験部門と個別指導部門の強化(LTVの最大化) 同社は売上構成比において伸びしろの大きい「大学受験部門」と「個別指導部門」の「標準校舎」との連携を強化しつつ、それぞれのサービス品質を高めることで、LTV(顧客生涯価値)の最大化と成長スピードの加速を目指す“逆L字強化戦略”を推進していく。 大学受験部門については、難関大学志望者向けの「大学受験部」の1校舎当たりの在籍塾生数を増やしつつ、「東進衛星予備校」を今後3年間で現在の9校から20校まで増やすことで、多様な志望大学ニーズに対応し塾生数の増加と売上拡大を目指す。売上高は2026年3月期の10億円強の水準から2029年3月期は約16億円と1.6倍を目指す。 個別指導部門については、現在の76校体制を2029年3月期末までに100校体制に拡大し、首都圏における難関校受験対策の個別指導塾として高水準の評価を確立できるよう、授業サービスの品質強化に取り組む。受験学年において、首都圏の難関校を志望する生徒のうち約3割は、弱点教科の対策として個別指導塾を利用していると言われているのに対して、「早稲田アカデミー」では「個別進学館」の併用率が1割程度にとどまっている。理由として、標準校舎の近隣に「個別進学館」がないことが大きく、一定数は競合の個別指導塾を利用しているものと考えられる。同社では標準校舎の近隣に「個別進学館」を開校することで、こうした需要を取り込む戦略だ。現在、標準校舎は首都圏で118校体制となっており、「個別進学館」を100校体制とすることでこうした需要の多くを取り込める計算となる。売上高は直営とFCの開校状況によって変動するが、2026年3月期の約33億円から2029年3月期には約45億円を目指す。 また、LTVの最大化(塾生の在籍期間最大化、併用率の向上)に取り組むため、ニーズに応える商品開発や授業サービスの品質向上、学習環境の整備等を推進していく。加えて、グループ全ブランドの連携体制を強化し、ブランド間の併用率や継続率を高めていくほか、卒塾生の採用を促進し継続的な関係構築にも取り組む。数値目標として、標準校舎と「個別進学館」の併用生徒数を現在の水準から30%引き上げ、小6卒塾生からの継続率を7.2%から10%に、中3卒塾生の継続率を11.8%から17%にそれぞれ引き上げていく方針である。 そのほか、難関大学に合格・進学した卒塾生に対して、講師や事務等のアルバイトを積極的に紹介し、大学卒業後は正社員として採用するといった取り組みも推進していく。採用環境が厳しいなかにおいて、こうした取り組みが一定の成果を収めており、今後も組織基盤を強化して採用効率の向上を目指していく。こうした取り組みが順調に進めば塾生や正社員1人当たりの獲得費用低減に寄与することになり、低減できた費用については人的資本投資に充当し、経営基盤の強化につなげる好循環を作り出していく考えだ。 c) インオーガニック領域の拡充促進 中長期ビジョンの実現に向け、「エリア拡大・LTV拡大・DX基盤拡大」という3つの切り口でM&A・アライアンスを積極的に検討し、成長投資を加速する方針だ。「エリア拡大」では、教育理念や組織文化でグループシナジーが期待できる学習塾、あるいは合格実績伸長において相互補完が可能な進学塾・予備校を、「LTV拡大」では、お受験幼児教室や英語塾のほか、社会人を対象としたリカレント・リスキリングの養成校などを、「DX基盤拡大」では教材・模試の制作会社、EdTech企業、AI・ICTベンダー企業などを想定している。 (3) 機能別戦略 将来を見据えた成長投資を戦略的に行い、持続的な企業価値向上の実現に向けて、機能別に3つの戦略(人的資本戦略、DX戦略、財務戦略)を策定し、推進する方針だ。主な戦略として人的資本戦略では、無形のサービス品質向上に向けた人材の採用と育成、アルムナイネットワーク※の構築を推進していく。DX戦略では、ICT環境の拡充と生成AI利活用の推進による新たな価値創出と生産性向上によるリソースの再配分を行う。財務戦略では、新規出校や既存校舎の移転・リニューアル、DX関連、M&A等への成長投資と株主還元をバランス良く推進する方針だ。 ※ 過去に在籍していた卒塾生を従業員として採用するための仕組み。 3年間累計のキャッシュアロケーションとして、キャッシュ・インでは営業キャッシュ・フローで得られる125〜135億円と手元現預金105億円を活用し、キャッシュ・アウトとして戦略的成長投資に60〜70億円、維持更新投資に35〜40億円、株主還元に40〜45億円を充当し、2029年3月期末の手元現預金として85〜95億円を想定している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |