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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/25 11:04, 提供元: フィスコ

西部ガス Research Memo(4):2026年3月期は2期連続の増益となり、経常利益は最高益を更新

*11:04JST 西部ガス Research Memo(4):2026年3月期は2期連続の増益となり、経常利益は最高益を更新
■西部ガスホールディングス<9536>の業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.9%増の261,823百万円、営業利益で同18.4%増の12,463百万円、経常利益で同18.6%増の12,583百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.3%増の7,147百万円となった。各利益とも2期連続の増益となり、経常利益では過去最高益を更新した。また、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目に高い水準となった。

都市ガス料金には原料費調整制度が導入されており、原料の貿易統計価格の3ヶ月平均値に基づき、原則として料金を毎月調整する。原料費としては、都市ガスの原料として使用されるLNGやLPGの輸入価格を用いる。例えば、12月検針分の都市ガス料金は、7〜9月のLNG平均輸入価格とLPG平均輸入価格に基づいて決まるため、必然的にタイムラグが発生する。この結果、タイムラグが及ぼす影響として、原料価格下落局面では増益要因、原料価格上昇局面では減益要因となり、同社ではこの影響をスライドタイムラグとして開示している。この影響を補正後の営業利益は10,785百万円となり、スライドタイムラグの影響により営業利益が1,678百万円押し上げられていることになる。このほか、原料の貿易統計価格と同社の(実際の)調達価格に差異が発生する場合は、調達差損益として利益に影響を及ぼすが、前期と異なり調達差損益の影響は軽微となる。


ガス事業及び電力・その他エネルギー事業が利益拡大に寄与

2. 事業セグメント別動向
全体として見ると、ガス事業がひびきLNG基地の減価償却費減少を主因として増益、電力・その他エネルギー事業が電力販売事業の容量拠出金減少や国際エネルギー事業の取引量増加等により増益となり、不動産事業の海外事業における評価損等による減益をカバーして、全社営業利益の拡大をけん引した。なお、中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)で掲げる「資本コスト経営」を推進する方針を踏まえ、2026年3月期より一部の事業について、帰属する報告セグメントを見直した結果、不動産事業に区分していたリフォーム事業をガス事業に区分する等の変更を実施した。

(1) ガス事業
都市ガス販売量は前期比1.8%減の913,410千m3にとどまった。内訳を見ると、家庭用ガス販売量は前期より平均気温が高かったこと等により同2.7%減の200,962千m3、業務用ガス販売量は既存顧客の稼働減等により同1.4%減の592,840千m3、他事業者への卸供給ガス販売量は卸供給先の需要減により同2.6%減の119,608千m3となった。売上高は、都市ガス販売量の減少に加えて、原料費調整によるガス料金単価の下方調整の影響もあり、前期比3.5%減の153,490百万円となった。セグメント利益は、販売数量減が1,011百万円の減益要因となる一方、原料費調整によるタイムラグが1,284百万円の増益要因となったうえ、ひびきLNG基地の減価償却費減少が2,104百万円の増益要因となり、前期比39.3%増の7,914百万円となった。

(2) LPG事業
販売数量が前期比4千トン増の112千トンとなったが、販売単価の下落等による影響が上回り、売上高は前期比2.9%減の26,098百万円となった。セグメント利益はLPG購入単価の下落などにより1百万円(前期は217百万円の損失)と黒字転換した。

(3) 電力・その他エネルギー事業
電力販売事業や国際エネルギー事業における販売量増加等により、売上高は前期比35.0%増の31,419百万円、セグメント利益は同441.8%増の1,235百万円となった。セグメント利益の増加要因としては、電力販売事業の利益が販売量増加や容量拠出金減少により同445百万円増加、国際エネルギー事業の利益が取引量増加に伴い同492百万円増加したことが挙げられる。

(4) 不動産事業
分譲マンション販売価格の上昇等により、売上高は前期比15.4%増の47,700百万円となる一方、セグメント利益は同20.1%減の3,329百万円となった。不動産売却益311百万円が増加したが、海外事業の評価損1,593百万円が減益の主因である。

(5) その他事業
情報処理事業の売上増加等により、売上高は前期比6.1%増の23,603百万円となったが、セグメント利益では販管費の増加や炭素材事業の不振等により同79.1%減の60百万円となった。


今後の成長投資拡大が見込まれるなか、財務リスクの適正なコントロールが課題

3. 財務状況及び経営指標
2026年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比18,071百万円増加の465,845百万円となった。主な増減要因としては、流動資産が現金及び預金や受取手形、売掛金及び契約資産を中心に10,076百万円減少したのに対して、固定資産が主に時価上昇に伴う投資有価証券の増加等により28,148百万円増加した影響が大きい。負債合計は前期末比6,449百万円増加の342,514百万円となった。主な増減要因としては、固定負債が7,759百万円増加したのに対して、流動負債が1,309百万円減少したが、1年以内に期限到来の固定負債が流動負債に入ることを勘案すると、短期借入金増加の影響が大きい。純資産合計は前期末比11,622百万円増加の123,331百万円となった。自己株式の取得はあったが、利益の積み上がりに加えて、その他有価証券評価差額金が時価上昇に伴い増加したことが主に影響している。

経営指標については、自己資本比率が24.7%(前期末23.2%)、ネットD/Eレシオが2.30倍(前期末2.41倍)となるなど、財務構成は引き続き改善傾向にあり、利益蓄積による自己資本の積み上がりと、有利子負債の増加抑制が寄与した。収益性指標では、ROA(総資産当期純利益率)が1.6%(前期1.4%)、ROEが6.5%(前期6.3%)、ROIC(投下資本利益率)が2.3%(前期2.1%)となり、収益拡大を受けて総じて改善した。ただし、今後はひびきLNG基地能力増強など成長投資によるキャッシュアウト拡大が想定され、財務負担が増すことは避けられない見通しである。

主力の都市ガス事業において安定的収益を確保できることが同社の信用力を支えており、財務体質の悪化が直ちに同社の信用力に影響を及ぼす可能性は低いが、大型投資により従来以上に財務負担が増すことから、財務リスクの適正なコントロールが課題となる。

4. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したが、仕入債務の減少を主因として前期比では減少し、25,329百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、ひびきLNG基地能力増強に伴う有形固定資産の取得による支出の増加等を主因として33,812百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの差額)は8,483百万円の支出に転じた。成長投資が拡大しつつあることが背景にある。財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の増加等により2,898百万円の収入となり、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比5,521百万円減の22,834百万円となった。同社では政策保有株式等の資産売却も積極的に進めており、今後も継続する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)


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