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フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/03/26 12:05, 提供元: フィスコ アンジェス Research Memo(5):ARDSを対象とした「AV-001」の臨床試験結果は2026年夏頃発表予定*12:05JST アンジェス Research Memo(5):ARDSを対象とした「AV-001」の臨床試験結果は2026年夏頃発表予定■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向 3. ARDS治療薬(Tie2受容体アゴニスト化合物) Vasomuneとの共同開発品であるARDS治療薬「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト)※は、2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬として共同開発を進めてきた。中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると見て、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を実施してきたが、同感染症の変異株では重篤な肺炎を発症する感染者が急減したため、現在は対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSに拡大し(FDA承認済み)、臨床試験を進めてきた。投与量は3群に分け、「AV-001」と標準治療薬またはプラセボと標準治療薬のいずれかを投与し、安全性及び忍容性と有効性を評価する。 ※ 同社は2018年にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約となっている。ARDSの患者数は米国だけで26万人いる。 2025年12月時点で当初予定の60例の登録は完了したが、脱落症例に対応する追加の登録を実施しており、2026年第1四半期にすべての登録が完了する見通しだ。トップラインデータの発表は2026年夏頃となる見通しで、良好な結果が得られればライセンスアウトする意向だが、後期第2相臨床試験でも引き続き開発助成金が得られる場合には、独自で臨床試験を進める可能性もある。「AV-001」は2024年5月にFDAからFast Track※に指定されており、臨床試験に関する協議や審査などの手続きを迅速に進めることが可能である。 ※ 重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤などの開発を促進し、迅速に審査することを目的に制定された制度。 また、「AV-001」は血液透析患者における急性虚血性脳損傷の予防を目的とした医師主導臨床試験が新たに始まり、2026年1月に最初の被験者が登録された。同研究はカナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けて実施され、血液透析によって引き起こされる細胞毒性脳浮腫を軽減し、脳の白質の機能を維持できるかを評価する試験となる。良好な結果が得られれば、より大規模な試験が検討される。末期腎不全患者の最大90%が血液透析を利用しているが、55歳以上の患者の約70%において細胞毒性脳浮腫が発現し、中等度から重度の認知障害を引き起こすなど医療現場において大きな課題となっている。「AV-001」はTie2/Angiopoietin-1シグナル伝達経路を標的として血管を安定化させ、血管漏出や炎症を抑制することで細胞毒性脳浮腫を軽減し、血液透析患者の脳の機能を守る新たな治療法となる可能性がある。 今回の医師主導治験の開始に伴い、同社はVasomuneと「AV-001」の適応疾患拡大の契約を、2025年11月に締結した。同契約に基づき、2025年内に1百万USドル、2026年から2027年にかけて3百万USドルを支払うことになるが、同疾患向け治療薬として導出の決定や上市に成功した場合には、同社もその対価を一部得られることになる。 ■EmendoBioの開発状況 OMNIプラットフォームはゲノム編集技術のなかでも安全性の高さに強み 1. ゲノム編集技術とOMNIプラットフォームの特徴 ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、ねらった遺伝子を改変する技術を指す。2012年に従来より短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いて新薬の開発を行う動きが活発化した。米国Vertex Pharmaceuticals Inc. ※ 鎌状赤血球貧血症とは、赤血球に含まれるヘモグロビン(酸素の運搬に使われるタンパク質)が遺伝子異常によって変形することで赤血球が鎌状になって壊れやすくなり、貧血の症状を起こす疾患。症状が悪化すると壊れた鎌状赤血球によって毛細血管が遮断され激痛が生じるほか、長期にわたる場合、腎不全や心不全を引き起こすケースもある。今回承認されたのは、血管閉塞性危機が定期的に起きる12歳以上の患者を対象としている。 CRISPR/Cas9はその技術を用いた治療薬が初承認を得たことで一定の安全性が確認されたが、依然として非特異的にゲノムを切断してしまうオフターゲット効果の懸念は残っている。これに対して、EmendoBioが独自開発したOMNIプラットフォームは、より高精度かつ安全性の高いヌクレアーゼを探索・最適化する仕組みで、オフターゲット効果を回避する新しいヌクレアーゼを作り出す技術である。自社開発したヌクレアーゼのうち250超については特許を申請している。ゲノム編集技術による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォームは強みになると弊社では評価している。 また、もう1つの特徴としてアレル特異的遺伝子編集が可能な点が挙げられる。これは、対をなすアレル(対立遺伝子)のうち、異常のある片方のみをターゲットにして編集を行い、正常な遺伝子を傷つけずに治療する技術である。ヒトは父方と母方の2つのアレルを一対で持っており、片方のアレルに異常があることで発症する遺伝性疾患は「顕性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)」、両方のアレルに異常があることで発症する疾患は「潜性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)」または「伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる疾患)」と呼ばれる。アレル特異的遺伝子編集の対象となるのは顕性遺伝であり、遺伝性疾患の過半を占めるとされている。これはOMNIプラットフォームを活用したゲノム編集による治療法の開発領域が非常に広いことを意味する。EmendoBioの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円、このうち約1.1兆円がOMNIプラットフォームの対象領域になり得ると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは大きい。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |