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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/26 13:59, 提供元: フィスコ アルインコ:建設機材関連でニッチトップ製品多数、PBR0.6倍台かつ配当利回り4%超え*13:59JST アルインコ:建設機材関連でニッチトップ製品多数、PBR0.6倍台かつ配当利回り4%超えアルインコ<5933>は、建設関連の仮設機材を主力としつつ、物流機器、住宅関連製品、フィットネス機器、無線通信機器など幅広い事業を展開している。事業セグメントはコア事業である「建設機材関連」「レンタル関連」のほか「住宅機器関連」「電子機器関連」の計4つ。2025年3月期における売上構成比は建設機材関連が約40%、レンタル関連が約29%、住宅機器関連が約23%、電子機器関連が約8%を占める。特に、仮設機材の販売とレンタルの連携を進めることで収益基盤を強化しており、新型足場「アルバトロス」など付加価値の高い製品での差別化を図っている。「アルバトロス」は中高層市場シェア1位、大手ゼネコン採用率1位、取扱アイテム数1位となっているほか、アルミ朝顔・吊り足場においても市場シェア1位である。住宅機器関連や電子機器関連でもシェア1位の製品を多数保有している、まさにニッチトップ企業である。また、物流機器分野では半導体工場向けのニーズを的確に捉えており、ニッチ分野での専門性を活かしている。 同社の競争優位性は、製造・販売・レンタルの一体型ビジネスモデルと、現場ニーズに即応できる高度な開発体制にある。建設用足場で新製品をいち早く投入し、実績・安全性が重視される業界において顧客から圧倒的な支持を受けている。レンタル事業専業とは異なり、同社は機材を自社製造するメーカーとして直接的に製品の品質や安全性を担保できるため、顧客の信頼も獲得しやすい。また、他社製品に比べて、同社の「アルバトロス」は圧倒的にスーパーゼネコンのシェアが高く、関連機材の開発・汎用性も高い。さらに、国内工場と海外工場を活用した大量生産体制を構築しており、国際規格であるISO 9001も取得するなど、品質と安全性へのこだわりが際立っている。加えて、福知山第2物流センターの稼働や子会社双福鋼器での実験棟の新設により、仮設機材・物流製品の開発力と供給体制を強化。人的資本経営にも積極的に取り組んでおり、「健康経営優良法人2025」や「えるぼし認定(2段階目)」の取得実績は、ESG志向の投資家に対するアピールポイントとなっている。 2026年3月期第1四半期の売上高は15,415百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は643百万円(同16.9%増)、経常利益は614百万円(同20.5%減)で着地した。第2四半期業績予想に対する進捗は売上高49.5%、営業利益48.7%、経常利益は40.9%となっている。経常利益の進捗が比較的低い要因は、外貨建て資産の評価の影響を受けて為替差益が減少したことによる。セグメント別では、建設機材セグメントは売上高が増加した一方で、損益面では製品の販売構成が変化したことによりセグメント利益は減少。レンタルセグメントでは、得意先ニーズが「購買からレンタルへ」変化していることに対応して継続的なレンタル資産への投資を進めていることから減価償却費が増加しセグメント利益は減少した。 足元の建設・住宅市場は、人手不足や建設業の労働規制強化によりレンタル需要が高まっており、同社の仮設機材レンタル戦略が追い風を受けている。また、国土強靱化政策や災害復旧需要も中期的な下支え要因となっており、同社の製品群が社会インフラの維持に貢献している点は評価できる。2026年3月期の業績予想は、売上高63,500百万円(前期比3.1%増)、営業利益3,100百万円(同41.2%増)、経常利益3,300百万円(同23.2%増)と増収増益を見込む。コア事業においては「購買からレンタルへ」のニーズ変化が継続しているため、建設機材セグメントとレンタルセグメントが相互に補完する計画となっている。とくに営業利益は高成長を計画しており、高付加価値製品や福知山物流センターの稼働による効率化、販路拡大の進展が背景にある。 今後の成長戦略では、「中期経営計画2027」に掲げる「コア事業の進化と事業ポートフォリオの再構築」「資本コストや株価を意識した経営」「累進配当の実施」が柱となる。とりわけコア事業における「アルバトロス」のシェア拡大や物流機器の拡販が収益ドライバーと想定され、建設・物流市場の構造変化に対応する柔軟性を備える点が強みといえる。また、DXによる生産・物流効率化も進められており、福知山第2物流センターの稼働を通じて固定費削減と納期短縮を実現し、競争力を高めている。そのほかPBR1倍達成へ向けてROEとPERを高める取り組みを最重要課題として、持続的なコア事業の成長と多角化事業の収益改善・M&Aによる非連続的な成長・情報配信の強化も積極的に行う。定量的には、2027年3月期に売上高680億円・経常利益50億円を掲げ、長期的には売上高1000億円を目指している。 株主還元方針としては、連結配当性向目標40%に加えて累進配当を実施していく。今期2026年3月期には44円(前期比1円増)への増配を予定している。中計期間中は前年を下限とした累進配当を継続する方針であり、中長期保有の株主にとっては魅力的なリターン政策といえる。PBR1倍割れの主な原因はコア事業以外のセグメント利益率低下によるROEの低迷と分析しており、決算説明資料からもPBR1倍割れ改善に向けての意欲が伝わってくる。総じて、PBR0.6倍台かつ配当利回り4%超えの現状から、中計実現の進捗に応じて評価余地は十分に残されていると考えられよう。 《FA》 記事一覧 |