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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/21 13:07, 提供元: フィスコ ミダックHD Research Memo(7):高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す*13:07JST ミダックHD Research Memo(7):高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す■ミダックホールディングス<6564>の成長戦略 1. 長期ビジョン「Challenge 80th」及び基盤づくりステージの第1次中期経営計画 同社は、2032年の創業80周年に目指すべき姿を具現化するため、2022年4月、創業70周年を迎えたのを機に、同年6月、ミダックグループ10年ビジョン「Challenge 80th」を策定した。そして、「Challenge 80th」の実現に向けて、5ヶ年の中期経営計画を2次にわたって推進するため、第1次中期経営計画を策定した。基本戦略として、業界屈指の総合廃棄物処理企業への進化を推し進め、業界を代表する真のリーダーを目指すため、第1次中期経営計画期間(2023年3月期〜2027年3月期)を成長加速に向けた基盤づくりのステージ、第2次中期経営計画期間(2028年3月期〜2032年3月期)を成長加速による業界屈指の地位確立のステージと位置付けた。業績目標数値には、第1次中期経営計画最終年度2027年3月期(M&Aを除きオーガニック成長のみ)の売上高100億円、経常利益50億円、「Challenge 80th」最終年度2032年3月期(M&Aを含む)の売上高400億円、経常利益120億円を掲げている。 事業戦略としてはオーガニック投資とM&A投資の両輪で成長投資を推進し、同社の強みを追求しながら事業エリアの拡大を図る。特に市場規模の大きい関東エリアへの積極展開により、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す。重点施策としては、同社グループの強みの基礎である「一貫処理体制(収集運搬〜中間処理〜最終処分)」の総合的な強化に向けて、コア事業と位置付ける最終処分の優位性拡大(オーガニック投資による最終処分場の許可取得、同社独自の支援型M&A投資など)、中間処理施設(焼却、水処理など)の増強、収集運搬の面展開強化を推進する。 最終処分の優位性拡大に向けた最終処分場の許可取得としては、最終処分場の許可取得にはかなりの期間を要するため既存拠点の増量・長寿命化投資を推進するとともに、設置候補地を複数選定して同時並行的に計画を推進することで、早期の設置許可取得と事業のさらなる拡大を目指す。2025年6月には、東日本エリアにおいて開発を進めてきた2ヶ所の管理型最終処分場における進捗として、福島県郡山市(埋立容量161万立方メートル、埋立期間約17年)及び栃木県那須塩原市(同約230万立方メートル、約20年)の計画を公表した。また西日本エリアにおける同社初の管理型最終処分場として、島根県邑智郡美郷町(同約400万立方メートル、約20年、中国地区で最大規模クラスの最終処分場)の計画も公表した。2025年4月に子会社化した大平興産の管理型最終処分場(千葉県富津市、1985年稼働、同約303万立方メートル)を含めて、同社グループとしての最終処分場の処理能力を大幅に増強する。事業エリア拡大に向けて東北エリア、関東エリア、西日本エリアで新たな事業拠点の許可取得に動いており、成長投資の進捗状況は順調と言えるだろう。 また中間処理施設の開発計画としては、2022年3月に埼玉県熊谷市において新規焼却施設用地を取得済である。さらにミダックが既存水処理施設の処理能力増強並びに老朽化対応として、静岡県浜松市(都田テクノプラント)において2026年4月以降に新規の水処理施設の稼働を予定しており、2024年7月に浜松市より産業廃棄物処理施設設置許可証を受領した。処理能力は既存施設(本社事業所)の約5倍となる。 M&Aについては、第1次中期経営計画がスタートした2022年4月以降に、3件(2023年7月に遠州砕石、同年9月にフレンドサニタリー、2025年4月に大平興産)を実行した。同社は最終処分場の適切な運営ノウハウ、最終処分場の負担軽減につなげる中間処理施設の運営、安定した財務基盤による資本的支援、M&A後の的確なPMI(統合プロセス)による安定的な事業継続支援など、豊富な経験と実績に基づく独自の支援型M&Aを推進している。遠州砕石については、奥山の杜クリーンセンター(静岡県浜松市)第2〜4期工事で排出される残土処分を受託(グループ内製化)することにより、同社グループとの連携を強化して収益拡大を図る。フレンドサニタリーについては一般廃棄物収集運搬事業の事業エリア拡大と収益力向上を目的として子会社化した。 業績面での第1次中期経営計画の進捗状況として、2025年3月期のオーガニック成長のみの売上高は94億円、経常利益は39億円(M&Aを含む連結業績は売上高109億円、経常利益44億円)となった。また2026年3月期の連結業績予想(M&Aを含む)は売上高116億円、経常利益47億円としている。第1次中期経営計画最終年度2027年3月期目標(オーガニック成長のみ)売上高100億円、経常利益50億円の達成に向けて、進捗状況は極めて順調と言えるだろう。 なお2025年6月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表した。現状分析として同社グループの株主資本コストは約7%〜9%と認識しており、ROE(自己資本利益率)は過去5年間において継続的に株主資本コストを超えて推移し、目標とする15%の水準を維持している。また同期間におけるPBR(株価純資産倍率)も前年比で改善している。今後の方向性としては、第1次中期経営計画の着実な達成、継続的な株主還元の実施、積極的なIR活動の実施など、資本収益性の向上並びに株主資本コストを上回るROEの継続的実現に向けた各種取り組みを推進する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《HN》 記事一覧 |