携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/03 11:02, 提供元: フィスコ クエスト Research Memo(2):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー*11:02JST クエスト Research Memo(2):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー■会社概要 1. 会社概要 クエスト<2332>は、システム開発及びITインフラサービスを中核とする独立系の情報サービス企業である。半導体分野や製造分野、金融やエンタテインメント分野、情報通信分野の顧客を中心とした多様な業種に対し、ソフトウェア開発、システム運用や保守、IT基盤構築といったサービスを提供している。特に半導体の製造に関する領域やエンジニアリングソリューション、設計プロセスに関する領域に強みを持つ点が特徴である。 企業理念として「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」を掲げ、「技術と創造力で人と社会の安心と幸せを支え続ける」ことをパーパスとしている。品質と安全性を重視したサービス提供を徹底しており、ISMSやプライバシーマークなどの各種認証を取得するなど、情報セキュリティ対策にも注力している。設計から開発、運用・保守までをワンストップで対応できる体制を有しており、顧客のIT戦略をトータルに支援できる点が大きな競争優位性となっている。 2002年には東証JASDAQ市場に株式を上場し、現在は東証スタンダード市場に上場している。創業以来60年間にわたり連続黒字決算を継続しており、極めて高い財務安定性と堅実な経営基盤を有する点も特筆される。近年はアラインアンスやM&Aを通じた事業基盤の強化と事業拠点の拡大を進めており、サービス提供体制をより盤石なものとしている。2023年には東京都港区芝浦のmsb Tamachi田町ステーションタワーNに本社を移転し、従業員の働きやすさや業務効率の向上、エンゲージメント向上にも注力している。今後も社会と顧客の期待に応える持続可能なITソリューションカンパニーとして、安定した成長が見込まれる企業である。 2. 沿革 同社は、1965年に(株)京浜計算センターとして東京都日本橋で創立し、データエントリー業務を開始した。1967年にはソフトウェア開発と運用サービスに進出し、1980年には本社を港区芝に移転、資本金を5,000万円に増資した。1982年には仙台にグループ会社(株)システムテクノロジーを設立し、1988年には現在の社名である「株式会社クエスト」へと改称した。1990年代には事業拡大を進め、名古屋や大分など各地に拠点を開設するとともに、資本金の増資も実施。1999年にはグループ会社を吸収合併し、仙台営業所として再編した。2000年代にはプライバシーマークやISMS認証の取得を通じて情報セキュリティ体制を強化し、2002年には東証JASDAQ市場へ上場、資本金も4億6,000万円まで拡大した。2003年には本社を芝浦に移転し、以降、SCSK<9719>やユニリタ<3800>などとの業務・資本提携を進めるなど、戦略的なパートナーシップを構築した。2007年には(株)ドラフト・インを子会社化し、2009年には(株)ジップスからシステム開発事業を譲り受けて東北地域での基盤を強化した。2010年代以降は支社の再編やM&Aを通じた体制強化を進め、2017年には子会社を吸収合併することで統合を図った。さらに、2022年には東証の市場再編により東証スタンダード市場へ移行し、同年には(株)エヌ・ケイを子会社化。翌2023年には本社をmsb Tamachi田町ステーションタワーNへ移転し、事業体制の刷新を図った。2025年4月にはセプトを子会社化し、引き続きグループ体制の強化を進めている。 3. 同社の特徴 同社の特徴を人財面、事業面、財務面から見ると次のように評価できる。 (1) 人財面 ITソリューションビジネスの中核となるのは人財である。同社の経営陣はプロパー人財のほか、東芝<6502>、ソニーグループ<6758>といった我が国を代表するメーカー出身者で占められている。高度な専門性を有することはもちろん、社会課題解決に向けたサステナビリティ経営への意識が高い点、さらには社員を真に「人財」として扱っている点が際立つ。例えば、現在の本社であるmsb Tamachi田町ステーションタワーNへ移転したのは、社員からの希望を尊重して決定したとのことである。そのほか、人的資本価値を高めるための処遇改善やキャリア開発などは常にアップデートしており、社員の満足度は高い。その証左として、2024年度における社員の平均勤続年数は11.4年と極めて長い値となっている。また、同社によると社員に占める中途入社社員の割合は45%とのことである。そうしたことを踏まえると、より一層平均勤続年数の長さが際立つ。また、女性管理職比率も高く、2024年度で10.9%となっている。多様な社員のロイヤルティを高めつつ長期安定的な事業展開を可能としている。 (2) 事業面 同社は1965年設立で、今年60周年を迎えた。これまで我が国を代表する半導体・製造業・金融などの重要産業に属する企業を顧客としてサービスを提供し、社会の変革に対応してきた。当然、重要産業に属する顧客の要求水準は高く、そうした要求に応え続けてきたからこそ現在まで存続し、成長していることは言うまでもない。また、自社に足りない機能は相互補完可能なアライアンスパートナーとの相互補完で対応する体制を整えている。こうした取り組みにより60年間の長きにわたりあらゆる環境変化に対応し、組織を進化させる学習メカニズムを形成してきたものと思われる。 (3) 財務面 同社は無借金経営を可能とする安定した収益と効率性を併せ持っており、このことから配当性向35%以上、自己資本配当率(DOE)4%以上という高い株主還元を実現するとともに、人財や事業に再投資を行うという好循環が生まれている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) 《HN》 記事一覧 |