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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/11 09:46, 提供元: フィスコ シダー:リハビリを軸とした介護サービスを展開、今後は在宅サービスに注力*09:46JST シダー:リハビリを軸とした介護サービスを展開、今後は在宅サービスに注力シダー<2435>は、2000年に福岡県北九州市で事業を開始した。創業者らは、もともと医療法人池友会傘下の医療機関でリハビリ業務に従事していた背景から、リハビリテーションに軸足を置いた介護サービスを提供していることが最大の特徴である。2005年3月にジャスダックに上場し、現在は東証スタンダード市場に上場している。主力事業は、デイサービス事業、施設サービス事業(介護付有料老人ホームなど)、在宅サービス事業(訪問看護・リハビリ・介護)、その他事業(福祉用具、障害支援、給食等)の四つで構成される。「いつも春の陽だまりでありたい」をコンセプトに掲げ、単なる機能訓練にとどまらず、利用者が元気な生活が送れるよう支援するサービス設計が、競合との差別化要素となっている。 売上構成は、施設サービス事業が全体の7割を占め、デイサービス事業が約2割、在宅サービス事業およびその他事業が合わせて約1割となっている。施設事業の比率が高いものの、今後は在宅分野への取り組みも強化していく方針である。 同社が属する介護サービス業界は、国内の高齢化進展に伴い、今後も安定した需要拡大が見込まれる。一方で、業界全体として慢性的な人材不足に直面しており、特に介護福祉士や看護師などの有資格者の確保が喫緊の課題となっている。また、原材料やエネルギーコストの上昇に加え、建築費の高騰といったインフレ要因が、施設運営や新規出店の障壁となりつつある。こうした中で、同社は外国人スタッフの採用を進めている。2025年3月時点では約80名の外国人スタッフが在籍しており、さらに数か月以内に約30名の増員を予定している。主にインドネシアからの採用で、入国前に現地で日本語や介護の基礎研修を独自で実施している点も特徴的である。 2025年3月期は、売上高17,829百万円(前期比3.0%増)、営業利益892百万円(16.2%増)、当期純利益444百万円(118.8%増)と、増収増益を達成した。デイサービス事業で、コロナ禍での利用控えが解消され、利用者数が前年比で約700人増加したことが売上拡大に寄与した。また、訪問看護などの新規施策も寄与し始めている。 2026年3月期の業績予想では、売上高17,898百万円(前期比0.4%増)、営業利益670百万円(同24.8%減)、当期純利益251百万円(同27.7%減)と増収減益を見込んでいる。これは、有料老人ホームの入居率が既に98%を超える高水準にあることから、売上の上積み余地が限られる中、賃金上昇や補助金の不確実性といったコスト要因が利益を圧迫すると見込まれるためである。 有料老人ホームの新規展開については、建築費などの投資コスト増加分を賃料に反映させることを考慮して、一定の購買力と高齢者人口が見込める1都3県や政令指定都市などを優先している。ただし、同社がターゲットとしているエリアでの公募案件は限定的なため、現時点では新規案件は保有していない。 一方で、比較的投資負担の軽い在宅分野へのシフトを進めている。2025年4月に千葉県千葉市花見川区に訪問看護ステーションを開設し、今後は同地域におけるサテライト展開を進めていく計画である。また、M&Aも成長戦略の一つとしているが、介護付き有料老人ホームに限定し、都心近郊に限定した買収案件を模索している。 株主還元については、安定配当を基本方針としており、配当性向20〜30%を目安に設定している。2025年3月期の年間配当は10円(配当性向32.3%)となり、前期から大幅に増配した。一方、2026年3月期は業績見通しの慎重化に伴い、6円(配当性向28.8%)への減配を予定している。 株主優待や自社株買いについては、現時点で実施予定はなく、介護業という業種の特性からも、株主優待制度の導入は難しいとの認識である。また、同社は自己資本比率が低く、財務健全性の向上を優先しており、利益剰余金は内部留保として資本充実に充てていく考えを示している。 《HM》 記事一覧 |