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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/26 13:04, 提供元: フィスコ スカラ Research Memo(4):2025年6月期中間期は事業構造改革効果で2年ぶりの黒字に転換*13:04JST スカラ Research Memo(4):2025年6月期中間期は事業構造改革効果で2年ぶりの黒字に転換■業績動向 1. 2025年6月期中間期の業績概要 スカラ<4845>の2025年6月期中間期の連結業績(継続事業ベース)は、売上収益で前年同期比3.9%増の4,803百万円、営業利益で264百万円(前年同期は162百万円の損失)、税引前利益で253百万円(同176百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する中間利益で353百万円(同246百万円の損失)となり、2年ぶりの黒字に転換した。 売上収益は人材事業が低調となったものの、DX事業において大型開発案件を予定どおり納品できたことや、エッグのふるさと納税事業が計画を上回って伸張したことなどにより、ほぼ計画どおりの増収となった。利益面ではDX事業の収益回復に加えて、前下期に実施した事業構造改革(人員のスリム化、オフィス面積の縮小、不採算事業の整理等)や、第2四半期より役員報酬を減額したことによる販管費の削減効果(前年同期比397百万円減)もあって、営業利益で同427百万円の増益となった。また、2024年12月に子会社のRetoolの全株式を売却したこと等によりに、非継続事業からの中間利益が173百万円(同252百万円増)となったこともあり、親会社の所有者に帰属する中間利益は同599百万円の大幅増益となった。 中間期の会社計画(売上収益4,890百万円、営業利益175百万円)に対しては、人材事業やEC事業が若干下回ったものの、DX事業の上振れでカバーした。DX事業では、スカラコミュニケーションズの大型案件の納入をはじめ、人財事業部の急成長、前期に行った人件費の削減効果、エッグのふるさと納税事業の増収も寄与したようだ。中間期末の連結従業員数は428名となり、前期末比ではRetool売却の影響も含めて101名の減少となった。同社では事業構造改革の進捗について70%程度まで進んだとしており、残り30%(不採算事業の売却等)を2025年6月期中に実行する意向を示している。 DX事業の収益が大幅に回復 2. 事業セグメント別動向 (1) DX事業 DX事業の売上収益は前年同期比9.5%増の2,479百万円、営業利益は432百万円(前年同期は106百万円の損失)となり、Non-GAAP指標での本社費用配賦前営業利益でも同146.1%増の528百万円と大幅増益となった。 スカラコミュニケーションズでは、SaaS/ASPの「i-ask」「i-search」等の既存サービスが堅調に推移したほか、金融サービス企業から受注した大型開発案件を2024年12月に納品したことが増収要因となった。また、新規SaaS開発やソリューションサービス型のエンタープライズ案件の獲得、共同開発プロジェクトも順調に進んだ。利益面では、大型開発案件の寄与に加えて、2023年からスタートした人財事業部においてエンジニアの採用が順調に進み、エンジニアの稼動率が安定化したことも収益改善に寄与した。人財事業部で採用したエンジニアは25名程度の規模となっており、状況に応じて社内用と外部派遣用にリソースを振り分けており、繁忙期においてこれまで発生していた外注費の削減に貢献している。 一方、エッグではふるさと納税事業の新規案件を受注したほか、既存自治体向けの処理件数増加による従量課金収入が増加した。国策事業においても、国や自治体の新たな委託業務において事務局管理システムの引き合いが増加している。また、自治体向けのフレイル予防事業※についても自治体の2025年度予算の獲得に向けて着実に受注実績を積み上げている。売上規模は年間で1億円程度とまだ小さいものの、社会課題解決型事業の1つとして今後の成長が期待される。 ※ エッグが開発したフレイル早期発見システムのことで、自治体公式LINEを入り口として利用者はマイナンバーを使って個人認証を行い、スマートフォンでフレイル度判定チェックを行うことが可能となる。判定結果は自治体の管理システムに集約され、判定結果に基づき職員が介入指導を行うことでフレイル予防を行う仕組みとなっている。同システムを活用することで要介護支援者の増加が抑制され、住民の健康増進と介護費用の負担軽減効果が期待される。 なお、売上収益を形態別で見ると一時売上が大型案件の計上により前年同期比46.7%増の580百万円と伸張し、SaaS/ASP等の月額課金収入は同0.3%増の1,347百万円、従量課金収入が同5.2%増の552百万円となった。月額課金収入が伸び悩んだ要因として、前期に解約件数が増加した点が挙げられる。このため同社では、解約防止策としてカスタマーサポート部門の体制強化を進めており、直近では解約件数が前期の1/3程度の水準まで減少するなど対策の効果が出はじめている。 (2) 人材事業 人材事業の売上収益は前年同期比6.8%減の453百万円、営業利益は同63.4%減の47百万円、本社費用配賦前営業利益では同41.0%減の87百万円となった。企業の新卒採用意欲は強く、2026年卒学生向けイベントの出展ニーズが新規/既存企業を問わず旺盛で販売単価も上昇するなど市場環境は良好なものの、一時的にキャリアアドバイザーが不足したことにより新規会員獲得や人材紹介の成約率が低下し、減収減益要因となった。ただ、四半期ベースで見ると第2四半期(2024年10月〜12月)は売上収益で同17.7%増の264百万円、営業利益で同101.3%増の44百万円と増収増益に転じており、第3四半期以降も良好な市場環境を背景に回復トレンドが続くと同社は見ている。一方、中途採用・転職支援サービスについては競争環境が激しく、収益化までには至っていない。今後については業界特化型で展開するなど対策を講じながら収益化を目指すとしている。 (3) EC事業 EC事業の売上収益は前年同期比0.9%減の1,128百万円と若干減少したものの、営業利益は同6.5%増の157百万円、本社費用配賦前営業利益でも同2.4%増の183百万円といずれも増益に転じた。トレーディングカードの市場規模が年々拡大するなかで、Webサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の登録会員数も30万人を突破するなど順調に拡大した(月2〜3千人のペースで増加)。売上収益は中核タイトルの販売が順調に推移したものの、前期に活況を呈した一部タイトルのブームが落ち着いた影響により全体では横ばい水準にとどまった。利益面では、自社開発したAI画像認識ソリューションの実運用を開始し、配送業務の効率化とオペレーションコストの抑制を図ったことが増益要因となった。また、売上高の約2割を占める海外ユーザー向けの販売も直販体制への切り替えを順次開始しており、下期以降のコスト削減につながるものと期待される。 (4) 金融事業 金融事業の売上収益は前年同期比2.9%増の624百万円、営業損失は89百万円(前年同期は126百万円の損失)となり、Non-GAPP指標での本社費用配賦前営業損失も71百万円(同108百万円の損失)と損失額が縮小した。売上収益は新商品「いぬとねこの保険 ネクスト/ライト/ミニ」の販促活動を強化し、販売が順調に進んだことにより増収となった。利益面では、保有契約件数における新商品比率の上昇や、保険損害率※の低下が改善要因となった。 ※ 保険損害率=支払保険金÷保険料収入 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |