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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/24 11:05, 提供元: フィスコ 電算システムHD Research Memo(5):2024年12月期減益も情報サービス事業はGoogle事業が好調継続*11:05JST 電算システムHD Research Memo(5):2024年12月期減益も情報サービス事業はGoogle事業が好調継続■電算システムホールディングス<4072>の業績動向 1. 2024年12月期の業績概要 2024年12月期の業績は、売上高61,256百万円(前期比2.8%増)、営業利益2,311百万円(同41.7%減)、経常利益2,534百万円(同36.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,850百万円(同7.7%減)と増収ながら各段階利益は減益となった。業績予想に対する達成率は、売上高で100.1%、営業利益で100.5%、経常利益で102.6%、親会社株主に帰属する当期純利益で131.2%の着地であった。2024年11月に第3四半期までの状況を踏まえて期初予想を売上、利益とも下方修正したが、通期ではそれを達成した形だ。売上面では、収納代行サービス事業が前期並みに留まったものの、情報サービス事業はSI・ソフト開発やGoogle等のクラウド案件が伸び、同4.7%増と堅調であった。利益面ではソフト開発プロジェクトでの不採算案件の悪化により第3四半期において受注損失引当金を積み増したことが響き、情報サービス事業で営業損失(278百万円)を計上、前期比減益の大きな要因となった。なお収納代行サービス事業においては前期並みを確保した。また、一部連結子会社の業績が予想を下回ったことに伴い、のれん等の減損損失として456百万円を計上したほか、投資有価証券の実質価額下落に伴う投資有価証券評価損92百万円を計上、合わせて投資有価証券売却益641百万円を計上した。このため親会社株主に帰属する当期純利益の減少幅は他の利益より小さくなった。 2. セグメント別業績 (1) 情報サービス事業 情報サービス事業の売上高は37,281百万円(前期比4.7%増)、営業損失は278百万円(前期は1,416百万円の利益)となった。計画比では、売上高は達成率99.3%、営業損失は165百万円の計画に対して278百万円と拡大した。SI・ソフト開発部門の売上高は27,188百万円(同8.1%増)と増収となったが、利益面では2023年12月期に発生した不採算案件のコスト増大が大きく響き、セグメント全体で営業損失計上となった。コスト増大の要因はシステム品質が顧客の求める水準に達していなかったことによる。同案件は大型かつ2025年春稼働が必達というスケジュールであったため、同社では早期の収拾を図るべく、プロジェクトに多数の追加要員を投入することで対応した。しかし、追加要員を高単価の外部委託に依存せざるを得なかったことなどにより、大きなコスト増となった。同案件については2025年春の一括稼働のスケジュールを春・秋の段階稼働に見直すことや、今後は開発作業のピークを終えて保守作業中心の段階に入ることから、2025年12月期におけるさらなるコスト増のリスクは軽減されたと考えられるが、引き続き動向を注視したい。 一方でSI・ソフト開発部門においては、Google WorkspaceやGoogle Maps、Google Cloud Platform等のGoogle関連のクラウドサービスの伸長が目立った。Google Workspaceは取引社数・ライセンス共順調に増加し、Google事業の売上高としては前期比15.7%増の13,196百万円となり、導入企業数は同3.3%増の2,163社となっている。また同事業においては生成AIツールであるGemini for Google Workspaceの導入支援を積極的に進めた。電算システムの社内では2024年から「Project Gen(ぴーじぇん)」という専門チームを立ち上げ、Gemini for Google Workspaceの導入や利活用の支援を行っている。同チームにはGoogleの認定資格を有し、ツールに対する高い知見を有するメンバーが集まっており、顧客別のワークショップやハンズオン形式のセミナーを開催し各ツールへの理解促進を図っている。このような活動などの成果によりGemini for Google Workspaceの利用顧客の裾野は広がり、2024年の国内導入実績は全国首位となった。さらにGoogleアプリケーション関連では、2024年4月にNECと協業を開始した教育DX・GIGAスクール構想第2期(以下、通称NEXT GIGA)において、電算システムが開発したGoogle Classroom用Webアプリケーション「Ra:Class(ラクラス)」のほか、生徒の端末の活用状況や利用履歴を可視化することで生徒個人に合った学習指導や、教師自身の授業改善に役立てることが可能となるアプリケーション「まなみえ」シリーズをリリースした。 BPO事業は、請求書作成代行サービスが堅調で前期比7.7%増の売上高3,878百万円となった。ギフト関連やデータエントリ、送り状印字代行関連が減少傾向となる一方で、請求書作成代行サービスの処理件数が同10.6%増加と堅調に推移した。 (2) 収納代行サービス事業 収納代行サービス事業の売上高は23,974百万円(前期比ほぼ横ばい6百万円の増収)、営業利益は2,579百万円(同1.3%増)と微増収増益となった。主力のコンビニ収納代行サービスは、2023年12月期の大口契約の終了や仕入単価上昇の影響から減収基調であったものの、新たな大口契約の稼働や仕入単価上昇分の価格転嫁が進んだことで増収に転じ、売上面で前期並み、利益面では微増となった。なお計画比の達成率は売上高で101.3%、営業利益で104.6%といずれも達成した。主力の収納・集金代行サービスの売上高は22,204百万円(同0.9%増)となった。コンビニ収納代行の取扱件数は、上期は計画比未達の状況であったが、第2四半期以降は新規取引先の取扱件数増加等があったことで盛り返し、結果としてほぼ前期並みの水準となった。 オンライン決済サービスの売上高は982百万円(前期比1.2%減)と前期を若干下回った。主因は既存取引先の取り扱い件数減少による。この分野では2024年1月に提供を開始した、多様な決済メニューを一元化する総合決済サービスの顧客への浸透による取扱件数の増加に期待がかかる。 送金サービスの売上高は226百万円(前期比38.0%減)となった。国際送金サービスの終了に伴う減収で、今後は、国内送金サービスに特化して安定的な収益確保を目指す。収納代行周辺サービスの売上高は321百万円(同1.3%増)と微増となった。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |