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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/19 13:01, 提供元: フィスコ エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(1):2025年12月期は収益性改善へ*13:01JST エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(1):2025年12月期は収益性改善へ■要約 エージェント・インシュアランス・グループ<5836>は、個人及び法人に損害保険(ストック収益)と生命保険(フロー収益)をワンストップで提供している。同社は、保険業法の改正や損害保険会社による手数料ポイント制度(詳細は後述)の変更、保険代理店店主の高齢化などを背景に統廃合の進む保険代理店業界に対し、「保険代理店支援プラットフォーム」を提供し、積極的なM&A及び事業承継を推進し成長してきた。2016年1月〜2024年12月までに593件の保険代理店を事業承継している。これらの多くは中小規模の損害保険代理店であるが、2024年4月には同社グループよりも事業規模の大きい、生命保険を主軸とする総合保険代理店ファイナンシャル・ジャパン(株)の全株式について、(株)SBI新生銀行から取得、第3四半期決算より連結業績への取り込みを開始している。 1. 2024年12月期の業績概要 2024年12月期の業績は、営業収益が前期比130.1%増の8,161百万円、営業利益が同7.7%減の143百万円、経常利益が同13.5%減の133百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同47.8%減の53百万円と、増収減益で着地した。 営業収益は2024年4月に買収したファイナンシャル・ジャパンの新規連結効果により大幅増収となった一方で、利益面は業務品質の向上を目指した体制強化、及びグループ拡大の基盤となる保険募集人の確保を目的とした先行投資の実施などにより、人件費が前期比70.4%増、管理費が同188.8%増と拡大し、営業減益となった。会社計画対比で見ると、営業収益はファイナンシャル・ジャパンの生命保険手数料収入の好調により計画比5.1%上回ったが、営業利益は先行的な事業投資の実施などにより同47.9%下回り、計画未達で着地した。 KPIを見ると、ファイナンシャル・ジャパンの連結効果により、グループ全体の営業社員数は前期比749人増の1,145人、取扱保険料は前期末比1,078億円増の1,459億円(うち損害保険は同118億円増の337億円、生命保険は同959億円増の1,121億円)、顧客数は個人が前期末比118.8%増の311,837人、法人が同74.2%増の24,121社、合流件数(事業承継やM&Aを実施した件数)は前期比15件増の62件(前期末時点の累計合流件数は593件)と、それぞれ拡大した。 2. 2025年12月期の業績見通し 2025年12月期通期の連結業績は、営業収益が前期比51.2%増の12,340百万円、営業利益が同85.3%増の265百万円、経常利益が同90.9%増の255百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同162.4%増の140百万円と、増収増益の見通しである。 営業収益は、2024年12月期に買収したファイナンシャル・ジャパンの通期連結寄与などにより、前期に引き続き大幅増収局面が続くと見込まれる。また、2025年12月期も市場シェア拡大に向けた保険代理店のM&A及び事業承継を積極的に推進する方針であり、事業規模のさらなる拡大が期待される。営業利益は増収効果により前期比85.3%増と大幅増益となり、営業利益率は2.1%と同0.3ポイント改善する計画である。事業拡大のためのM&A及び事業承継、保険商品の募集品質維持のための先行投資などにより、営業コストの増加局面の継続が見込まれるものの、社内オペレーションや営業活動の効率化及び人件費・管理費の適正化などにより、段階的な収益性改善を目指すものと見られる。 3. 中長期の成長戦略 同社は、2025年12月期以降もM&A及び事業承継を積極的に推進し、事業規模の拡大を図る計画である。従前までと同様、保険代理店業を主とする専業代理店の取り込みを継続するとともに、今後は他事業と併せて保険販売を行う兼業代理店との協業も進める。 一部の大手中古車販売会社による保険金の水増し請求など相次ぐ不祥事を受け、兼業代理店に対する風当たりが強くなっており、金融庁により業界構造の大きな変革につながるような法制度の変更などが検討される可能性もある。仮に米国のように兼業代理店が禁止となれば保険販売により一定の利益を上げている中古車販売業界やハウスメーカーなどには打撃となるが、同社のような専業代理店にとっては大きな事業機会となる可能性があるため、今後の動向に注目したい。 また、同社は2025年1月にシステム開発サービスを提供する(株)コスモアビリティを買収した。同社を含む保険代理店業界はデジタル化が遅延していることから、コスモアビリティが長年培ってきた知見を生かし、まずはIT活用により社内オペレーション及び営業活動の効率化を図る。その後は、保険業界及び隣接業界のマーケット開拓に資するITツールの開発などを検討している。 ■Key Points ・国内の損害保険代理店業界は、保険会社の手数料ポイント制度や代理店店主の高齢化などからM&Aや事業承継による大規模化が進む ・2025年12月期は営業収益100億円突破へ、収益性の改善も見込まれる ・兼業代理店との協業強化、テクノロジーの活用などにより成長加速へ (執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬) 《HN》 記事一覧 |