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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/02/05 12:02, 提供元: フィスコ TDSE Research Memo(2):AI技術を活用したコンサルティング事業とプロダクト事業を展開*12:02JST TDSE Research Memo(2):AI技術を活用したコンサルティング事業とプロダクト事業を展開■会社概要 1. 会社概要 TDSE<7046>は、AIを活用したデータ経営診断やデータ解析、AI製品の構築といった統合ソリューションを展開しており、コンサルティング事業では、システム実装まで一気通貫したエンジニアリングや、経験豊富なデータサイエンティストによるデータ分析などに強みがある。また、プロダクト事業では、他社導入した高度な技術・性能のAI製品や自社開発した製品を販売しており、両事業でシナジーを発揮している。コンサルティング事業が安定収益型モデル、プロダクト事業が高成長型モデルとなっており、収益的には補完関係にある。顧客には小売やサービス、金融などの大手有力企業が多く、限定された固有領域だけを攻略せず、幅広い展開を指向している。現状の売上高構成比はコンサルティング事業が全体の9割と圧倒的に大きいが、急速に成長に弾みがついてきたプロダクト事業の業績貢献度は高まりを見せている。 分析ノウハウを軸とした統合ソリューションと製品販売を展開 2. 事業内容 (1) コンサルティング事業 コンサルティング事業では、データドリブン経営を目指す企業に、分析ノウハウを軸とした統合型ソリューションを提供している。企業がDXを進める際、多くの場合プロセスごとに専門特化した業者が担うことが多いが、同社は、データ活用のテーマ抽出からデータ分析・AIモデル構築、システム構築・実装、保守・チューニング、教育まで、顧客企業が進める事業戦略に寄り添った一気通貫したサービスを提供している。 (2) プロダクト事業 プロダクト事業は、自社製AI製品「TDSEシリーズ」や他社製AI製品、業務特有のAIモジュール※を顧客企業に提供しており、サービス利用料や運用・保守料を受領することで収益が積み重なるストック型収益構造となっている。大別すると、SNSの分析サービスなどを提供するソーシャルメディアマーケティング事業と、生成AIによるサービスを提供するカンバセーショナルAIソリューション事業に分けられる。 ※ 異常検知や物体認識などのAIモデル(未学習モデルを含む)で、業務システムやアプリケーションなどに組み込むAIシステムの根幹。「scorobo」というブランドでAIモジュールを販売していたが、ブランディング戦略のなかで「scorobo」を収束し、「TDSE」を冠した自社製品へとシフトしている。 a) ソーシャルメディアマーケティング事業 ソーシャルメディアマーケティング事業では、同社設立直後の2014年に代理店契約を締結した米国Quidの製品を中心に取り扱っている。主力の「Quid Monitor」はクラウドベースのハイエンドなソーシャルリスニングツールで、強みは、XやFacebook、Instagram、YouTubeなど正式に使用契約した豊富なソーシャルメディアデータを、圧倒的な処理スピードで様々な角度からリアルタイムに分析できる点にある。また、50ヶ国以上の言語に対応しているうえ、標準装備のAPI(Application Programming Interface)によって簡単に他のシステムと連携できる点、さらに、キーワードだけでなく人(アカウント)に着目した分析によって従来のソーシャルリスニングツールでは難しかったビジネスへの関連付けが容易な点も強みである。これまでに累計100社を超える企業に導入されてきた実績がある。「Quid Monitor」のほか、競合企業のSNSアカウントの分析ができる「Quid Compete」(旧 「Rival IQ」)やテキストデータからインサイトを導く「Quid Discover」(旧 「Quid」)などのラインナップがある。また、Quidの製品は独自の生成AI機能を搭載するなどアップグレードを続けているため、優位性が一層高まってきたようだ。さらに、2024年5月に新たに自社開発の「TDSE KAIZODE」をラインナップに加えた。「TDSE KAIZODE」は、国内ローカルニーズにも適応できる多様な分析機能や、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)を組み合わせた最新ロジック機能に特徴がある。 b) カンバセーショナルAIソリューション事業 カンバセーショナルAIソリューション事業では、ドイツのベンチャー企業Cognigy GmbHの対話型AIプラットフォーム「Cognigy」や、同社が独自開発した国内初の生成AI「QAジェネレーター」などの製品を扱っている。「Cognigy」は、最先端の自然言語処理と自然言語理解技術を強みとしており、20以上のチャネルと30以上の業務システムにつなげるコネクターを装備し、短期間で拡張性の高い対話型AIを開発することができる。多言語対応のバーチャルエージェントは100ヶ国語以上をサポートし、OpenAI LPの「ChatGPT」や「QAジェネレーター」などの生成AIと連携、自然言語処理の精度向上に必要な膨大な学習用QAを自動生成することができる。ビジネスユーザーが簡単に開発できるローコード仕様になっているため、欧米では自動車メーカーや銀行、航空会社など500社以上の有力企業が導入している。一方「QAジェネレーター」は、規程やマニュアルなどのドキュメントから膨大な組み合わせのFAQを独自AIで自動生成することができる。現在、LLMの回答精度向上に向けたRAG※に対応するなど、機能アップに向けて積極的に開発を進めている。また、直近では、米国の生成AIアプリ開発企業LangGenius,Inc.と国内初のパートナーシップを組んで導入した、多様なLLMに接続が可能でRAGによるナレッジ機能や外部ツールとのAPI連携ができる生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify」の取り扱いも開始した。 ※ RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索拡張生成のこと。LLMに検索技術を組み合わせて回答精度を向上させること。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》 記事一覧 |