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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/01/10 16:24, 提供元: フィスコ

リケンNPR Research Memo(4):2025年3月通期は期初計画を据え置いて小幅営業・経常減益予想

*16:24JST リケンNPR Research Memo(4):2025年3月通期は期初計画を据え置いて小幅営業・経常減益予想
■リケンNPR<6209>の今後の見通し

● 2025年3月期通期の連結業績予想概要
2025年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が171,000百万円、営業利益が10,400百万円、経常利益が12,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が8,000百万円としている。営業外では為替差損益を見込まず、特別利益では前期計上した負ののれん発生益が剥落する。なお決算短信上では2024年3月期比売上高は23.4%増収、営業利益は18.7%増益、経常利益は9.2%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は69.6%減益だが、2024年3月期決算短信ベースの業績は、企業結合会計上NPRの2023年4〜9月分を含んでいないため、2024年3月期の両社の12ヶ月間の業績を反映した合算値(単位:億円)との比較で見ると、売上高は1%増収、営業利益は2%減益、経常利益は7%減益、親会社株主に帰属する当期純利益は71%減益(前期計上の負ののれん発生益を除くベースでは8%減益)の予想となる。想定為替レートは1米ドル=145円、1ユーロ=155円(2024年3月期実績は1米ドル=140円、1ユーロ=152円)である。

シンワバネスの新規連結などにより小幅増収だが、自動車生産台数の不透明感や成長分野への戦略投資による費用増加などを考慮して小幅営業・経常減益予想としている。営業利益2億円減少の要因別増減分析(予想)は、販売減などで12億円減少、為替影響で3億円増加、価格転嫁効果で5億円増加、原材料・エネルギー価格上昇で7億円減少、人件費の増加で7億円減少、減価償却費・研究開発費の増加で5億円減少、合理化の進展で20億円増加としている。設備投資は23億円増加の100億円、減価償却費は2億円増加の95億円、研究開発費は3億円増加の47億円を計画している。設備投資はコスト競争力を意識した設備導入、成長領域である新製品・新事業などのネクストコア事業やカーボンニュートラル関連の環境投資に注力する。研究開発投資はカーボンニュートラルに貢献する燃費低減技術、水素燃料・バイオ燃料・再生可能エネルギーを利用して生成された水素を原料とする合成燃料であるe-fuelなどの評価・水素エンジン化改造開発、新製品・新事業の開発に経営資源を投入する。

通期予想に対する中間期の進捗率は売上高が49.5%、営業利益が52.3%、経常利益が52.9%、親会社株主に帰属する当期純利益が49.2%と順調であり、現状の為替水準が会社想定よりも円安で推移していること、原材料価格高騰に落ち着きがみられることなどを勘案すれば、会社予想に上振れ余地があるだろうと弊社では考えている。



■成長戦略

市場環境変化はあるがエンジン生き残りのシナリオも

1. 市場環境
グローバル自動車市場は新興国を中心に需要拡大基調が見込まれるものの、地球温暖化やエネルギー問題に対応するため環境規制やEV化が加速し、中長期的にICEの減少が予想されている。

一方で、水素エンジンやe-fuelエンジンの開発も進められている。EVとHEV(Hybrid Electric Vehicle)のWell to WheelでのCO2排出量を比較すると、現在研究開発が進められている燃費効率50%のエンジンを搭載したHEVは、EVに対して競争力があることが示された。これは、HEVが次世代モビリティの選択肢になり得る可能性を示唆している。また2023年3月にはEU(欧州連合)が、ガソリンエンジン車の販売を2035年に禁止するという従来の方針を変更し、CO2と水素を原料とする合成燃料を利用するエンジン車に限り2035年以降も容認することとした。このほかにも、EVの使用済車載電池の処理方法が課題となっていることや、米国に続きEUが中国製EVへの輸入関税を引き上げたことなどにより、EV化のスピードが鈍化する可能性も指摘されている。

このような状況を背景に同社は、ガソリンエンジンのさらなる低燃費化や、水素・代替燃料などを使用する次世代エンジンへの対応など、エンジンの進化に向けた技術開発を推進するとともに、EV化の流れを踏まえて、非ICE領域での事業拡大にも注力して事業ポートフォリオ改革を進める方針だ。


株主資本コストを上回るROEの実現を目指す

2. 第一次中期経営計画(2024年度〜2026年度)
同社は2024年2月に第一次中期経営計画(2024年度〜2026年度)を策定し、中期経営方針を(1) 経営統合によるシナジー創出、(2) 事業ポートフォリオ改革、(3) サステナビリティ経営の強化・成長基盤の整備とした。定量目標値には、最終年度2027年3月期の売上高1,800億円、経常利益率9%以上、ROE8%以上を掲げた。なお「2030Vision」の目標値は、2031年3月期の売上高2,000億円、経常利益率12%以上、ROE10%以上とした。

成長戦略として、事業ポートフォリオ改革・シナジー創出・バランスシート最適化に取り組み、株主資本コストを上回るROEの実現を目指す。統合シナジーとして売上面では、相互のブランド力や販売ネットワークの活用、製品ラインナップ充実などによる既存事業のシェア拡大、技術提案型営業体制の確立や水素/代替燃料対応などによる多彩なソリューションの提供、新製品の創出・事業化が挙げられる。コストシナジーとしては、2027年3月期に年間30億円の効果(事業部門では共同購買による調達コスト低減、ロジスティクス拠点集約、国内外拠点の生産最適化などによる製造コスト削減で14億円、管理部門ではコーポレート機能統合、ITインフラ統合、その他販管費削減などで16億円)を計画している。また中期戦略の着実な遂行やIR活動の充実化を通じた株主資本コストの低減も推進する。キャッシュアロケーションとしては、3年間で創出するキャッシュ630億円(営業キャッシュ・フロー600億円+政策保有株式などの資産売却30億円)を、さらなる成長と株主還元に向けて適切に配分する。具体的にはキャッシュアウトとして株主還元に200億円、設備投資・M&Aなどの成長投資に400億円、研究開発費に従来水準から30億円増加を計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


《HN》

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