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第24回 三井住友FG株が下落した背景と今後の展開2022.3.7 <著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ) 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
2週間前は、「トヨタ自動車以外のすべての銘柄が上昇していることがわかります。まさにバリュー株相場到来と考えます」と書きましたが、今回は一転、多くの銘柄が下落、一方で海運株の独歩高が目立ちますね。 ここ2週間でこの表の中の銘柄に関し私が行った売買は、トヨタを売ってその分、三井住友FGを追加購入したこと。 3月期末の高配当取りを視野に入れているわけです。従い、これら銘柄群の中では、トヨタ・日本航空・川崎汽船以外は保有しています。 一方で、 前回の当ブログで空売りを開始したと書いた6857アドバンテストについては、かなりの下落があったため、売り玉を利食いました。戻りがあれば、再度売り建てる可能性があります。以下、上が直近株価2月18日時点、下がその2週間後、直近株価が3月4日時点の日足チャートです。 日本株の相場観については、前回ブログで書いた内容と変化なしです。これまで、当ブログで一貫して書いている投資環境見通し。「景気敏感バリュー株は、徐々に上昇に転じる銘柄が多くなろう」との動きが鮮明化しつつある状況と考えます。 グロース株が売られる一方で、景気敏感バリュー株が買われる。それは米国の金利上昇懸念が背景、この状況は時間の問題で訪れる。当ブログで書いてきた通りこのことは、かねてより想定していましたが、ようやくその時が訪れたと感じています。 この中で、ここもとの株式市場を大きく揺さぶっているのは、ロシアーウクライナ問題です。これについては今後の展開を注視するほかはありませんが、保有株式のポジションを低くする考えはありません。 3月期末の配当を受け取りたいと思いますので、権利最終日の3月29日にかけ、安いとことはさらに組み入れを増やす方針です。ただし海運株については、配当取りは現状、考えていません。あくまで現状ですが… ロシア・ウクライナ問題はどこかで峠を越す。 その場合には、やはり現在の景気敏感バリュー株中心の相場に戻ると考えます。 次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。 上のグラフは2月4日時点の8801三井不動産と8802三菱地所の比較チャート。中はその2週間後、株価が2月18日時点、その下は株価が3月4日時点の両銘柄の過去六ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。 相対株価としては、地所が上昇・三井不が下落している状況が見て取れます。どこかのタイミングで、「地所売り・三井不買い」を仕掛けたいと考えていますが、今はそのタイミングにはないように思えます。今後、さやがどう変化していくか。 成り行きを見て行きたいと思います。 さて、今回のテーマ、「三井住友FG株が下落した背景と今後の展開」について説明します。 チャートギャラリー
チャートは、上が三井住友FGの過去2年間の週足、下はやはり過去2年間の米国10年国債の利回り推移を示したものです。 ほぼ、パラレルに動いていることがわかります。 ここから言えること。 米国10年債の利回りは2月10日前後に最も高くなり、その後低下、その傾向を三井住友FGの株価が後追いしている状況と考えます。より正確には、2月10日以降の米国10年国債の金利低下に伴い米国銀行株価が下落、それを受けての三井住友FGの下落と解釈しても良さそうです。 長期金利の上昇は一般論として、銀行貸出のスプレッド拡大につながり銀行にはポジティブですが、現在はその逆の状況、つまり長期金利の低下が発生していますので、その分、銀行株の株価にはネガティブと解釈されているわけです。 なぜ米国10年債利回りが低下しているのか? これまでアメリカの好景気とインフレ懸念から、3月の米FOMCでは利上げは0.5%ではないかと言われていました。そんな中、 ロシア・ウクライナ問題が発生。これに関連して、金融政策をやや緩和的にする必要があるのではないか。あるいは各国がロシアに輸出を控える中、米景気がややスローダウンする可能性があるのではないか。そんな状況を10年国債は先取りして金利低下、それにつられて三井住友FGが一時的に下落している状況と考えます。今後どうなるか? 前段でも述べたとおり、ロシア・ウクライナ問題はどこかで峠を越す。そうなると、今度は米国は利上げを加速させる。それにつれ長期金利は上昇し、三井住友FG株も上昇する。そう考えます。ここもとの5%を超えている三井住友FGの配当利回りは、とても美味しい。 余裕資金がある方はここを買って、期末配当をもらう戦略がいいんだろうなと考えます。 なおご参考まで、三井住友FGのロシアに対する貸出額は約4,000億円。 一方でこれは国内ですが、 三井住友銀行の貸出額は約104兆円です。これを割り戻すと0.38%になる。微々たるもんですよね。ロシアのデフォルトに対する同銘柄の影響は、仮にあったとしても限定的と考えます。 以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。 キーワード検索: #高配当 #景気サイクル #株式サヤ取り |
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