資産運用をする際の投資手法は色々ありますが、大きく分けると2つに分類で
きます。
1つは、「安く買って高く売る」方法です。これは、株式に限らず、債券や為
替取引であっても同じです。そして、投資対象としているものが安いか高いか
を判断するために、ファンダメンタル分析やテクニカル分析を使ったりします。
もう1つは、「長期投資+分散投資」という考え方です。この手法には、以下
のような前提があります。
・株式も債券も、短期的には大きく価格が上下するものの長期的に見れば高い
運用利回りを得ることができている、という歴史的事実
・どの金融商品(日本株式、日本債券、外国株式、外国債券など)や、各個別
銘柄が、いつ安値をつけていつ高値をつけるかを予測することはできない
つまり、上であげた1つめの投資手法である、「安く買って高く売る」行為を
実践するのは事実上不可能であるから、それならば色々なものに分散投資して、
何年もの間長期的に保有していれば、過去の経験上、利益を得ることができる、
という考え方です。この考え方によれば、各資産や個別銘柄の高安を判定する
ためのファンダメンタル分析やテクニカル分析は意味がないものとなります。
安く買って高く売ることができるという自信があれば、果敢に1つ目の方法を
実践すればよいでしょう。一方、安く買って高く売ることができるかどうか自
信がない、あるいは仕事が忙しくて株式投資や資産運用のための研究にかけら
れる時間がない、という場合は、2つ目の方法を選択して、1回買ったら放っ
ておくというスタンスが向いているのだと思います。
あるいは、投資に回せる資金のうちの一部を1つ目の方法、残りは2つ目の方
法で運用し、上達してきたら1つ目の方法に向ける資金を増やしていく、とい
う形でもよいでしょう。
この2つの方法は、一方は安く買って高く売る、もう一方はそんなことは不可
能だ、というように、根底となる考え方が異なります。自分自身の考え方や投
資技術にマッチした運用手法を取らないと、後々に失敗することになりかねま
せん。テクニカル分析、ファンダメンタル分析といった投資技術を学ぶ前に、
まず、自分は2つのうちどちらの方法で運用していくのかを明確にしておく必
要があるのです。
2つ目の方法を実践する場合は、投資信託に投資することになりますが、実は
投資信託のうちの大部分は、2つ目の方法を実践することはできず、1つ目の
方法によって運用していることになってしまうのです。長期・分散投資をした
いがために投資信託へ投資したのに、実際はそうなっていない理由、そして、
2つ目の方法を実践するのであればどのようにすればよいのかは、次回にお話
したいと思います。 (つづく)