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魔術師たちの心理学セミナーバン・K・タープ パンローリング個人トレーダーとして難しく感じることのひとつは、自分の軌道修正ではないだろ うか。相場に振り回されて地に足が着かなくなり、あっという間に目標からも計画か らもかけ離れてしまったのは1度や2度ではない。最初は手っ取り早く稼げるような 錯覚からテクニカル指標にのめりこみ、それでやられるとファンダメンタルが分かっ ていないからだと書物をあさり、次はリスク管理、資金管理とめぐってようやく 最後に、うまく行かない原因は自分自身だったと心理学に行き着く。それでも少し本 をかじる程度なのに分かったような気になって、性懲りもなくまたスタート地点に立 ち、堂々巡りに陥る。そのうち収拾が付かなくなり、助けを求めたくとも誰もいな い。 まさにその時!実践すべき価値のあるテクニックを手に入れた。その手法は斬新 で、またそれを試してみるうちに触発され新たに気付くことも多く、あの時もっと早 く知っていればと口惜しくなる。 『マーケットの魔術師』にも選ばれ、投資心理学の書籍で『魔術師たちの心理学』 を知らない人はいないと言われるその著者が個人投資家をコーチする目的で行われ たセミナーだけに、投げかけられる質問に素直に答えるうち、自然と自身について深 く考えさせられてくる。さらに採点式のトレーニングでは、よりはっきりと自己認識 の甘さが浮き彫りにされて思わず苦笑いしてしまう。まず自分の正体をつきつけられ ることで、講師のメッセージがより謙虚に受け止められた気がする。 “トレーディングは6割が心理学”とはもっともで、経験を積めば積むほどその 真意に気付き、難しさを痛感し、自分の不甲斐なさ愚かさに嫌気がさすことも多い。 そんな中、規律に対して、葛藤に対して、信条に対して、自尊心に対して、すべての テーマを踏まえた後、自分をどう変えなければならないか純粋に本気で時間をかけて 考え、受け入れることが自己を改善していく最初の一歩だと期待できる。何しろ相場 でも大成功した心理学のプロの指南つきなのだから。 さらに、ここまでならある程度書籍を読めば得られる知識だが、セミナーのメリッ トはそれを実行してみる講師と参加者のやり取りが見られること。活字の場合、どう も難しく捉えがちだが実際行っているのを見れば、なんだそれで良いなら、と思うは ずだ。また、どんなに具体的かつ簡潔に解説されていても、それを真似てみるかどう かの意識差や、基本を理解しているかどうかという努力差が、最終的には収益の差に 結びつくのだという戒めのような言葉は深く胸に刺しておくべきだろう。 本セミナーでは、相場のテクニカル分析やシステム関連の事には一切触れられない が、自己分析に使えそうなツールや対処法の多くは、講師の長年の研究でもあるモデ リングからも実証されており活用しない手はない。講師は常に一貫して、“結果に責任を持って自らが対処しなければならず、どんな結果だろうと自分も何らかの形で関わっているという認識を持つことが、状況改善の第一歩だと説いている。上記の2冊を1度読まれた方は、内容に覚えがある部分も見られるだろうが、理解しながら読むのと理解したことをもう1度考えてみる違いは大きい。講師いわく、4度読めば間違いなく効果がある、だが多くのトレーダーの実情は基本すら理解していないのだそうだ。わかっているつもりなのだ、だからこそ、本当は理解できていないことにも気付いていない我々に向けて、最も重要な点のみをピンポイントで取り上げているのだ。まだ選択肢が残されているうちに真剣に受講されることを強く勧めたい。 また最後、参加者との率直な質疑応答が期待以上に面白く、収穫があった。その1 つで“自分のビジネスプランは立てているが他人のプランも見てみたい”との意見 に、講師のホームぺージを案内するのだがこちらも興味深い内容で利用価値がありそ うだ。
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