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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/22 12:46, 提供元: フィスコ

ユニリタ Research Memo(6):中期経営計画最終年度は部分最適から全体最適への体制強化に取り組む

*12:46JST ユニリタ Research Memo(6):中期経営計画最終年度は部分最適から全体最適への体制強化に取り組む
■ユニリタ<3800>の中長期の方向性

1. 中期経営計画の概要
中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)はスタートして2年が経過し、いよいよ最終年度を迎えている。「Re.Connect 2026」※という基本方針の下、「サービス提供型事業の拡大」「新たな価値提供モデルの確立」「事業プロセスの変革」の3つの事業戦略を推進してきた。また、グループ理念を軸とした持続的な経営と価値創造の実現に向け、人的資本投資の加速を含む、サステナビリティ基盤の強化にも取り組んでいる。

※ 様々なステークホルダーとの接点やつながり方を抜本的に見直し「再度、より良い形でつながり直す」という意味が込められている。

(1) 3つの事業戦略のポイントと進捗
1) サービス提供型事業の拡大
クラウド成長領域への投資の拡大や顧客の最適なモダナイゼーションの実現などに取り組む。これまでの成果については、顧客との共同実証実験を通じた特許技術の取得及び新サービスのリリースなどをはじめ、各領域への投資を実施したほか、モダナイゼーション需要にも着実に対応してきた。ただ、全体最適の観点からの投資効率の向上と加速が今後の課題となっている。

2) 新たな価値提供モデルの確立
これまでブラッシュアップしてきた「サービスマネジメント」及び「データマネジメント」をコアコンピタンスに再定義したうえで、グループ横断のエコシステムによる顧客提供価値の高度化、社会課題事業への継続的投資とアライアンス強化などに取り組んでいる。これまでの成果については、グループ横断によるエコシステム受注が過去最高を実現したほか、交通インフラDXで実績が出てきたユニ・トランドをグループパーパス体現のコア事業として同社本体での継続を決定した。

3) 事業プロセスの変革
サービスシフトを支える品質マネジメントの強化などに取り組んでおり、これまでに、サービス品質向上に向け、品質課題の洗い出しと改善活動を実施した。

(2) 最終年度における重点施策
同社は事業戦略の進捗状況や課題認識等を踏まえ、最終年度の注力ポイントとして下記の4つの方針を掲げた。特に部分最適から全体最適に向けた体制強化により、顧客接点の強化や投資効率の向上、新規ビジネス創出への道筋をつくり、次期中期経営計画での成長加速を目指す。

1) 価格戦略の見直し
2026年3月に価格改定に関するリリースを公表した(新規契約及び更新分から)。製品・サービスへのAI搭載、セキュリティ強化、開発・運用体制の強化など、顧客価値に見合う製品・サービスのロードマップと価格提示により円滑な浸透を図る。

2) 顧客接点の強化
「ビジネス共創本部」を新設し、マーケティング、オファリング、カスタマーサクセスを集約し、強力なフロント組織を構築する。また、顧客の業務と課題の深層を理解することで、「再現性の高い受注モデル」を確立し、伴走型支援による顧客エンゲージメントの最大化を実現する。

3) 投資効率の向上と必要な投資の加速
「構造改革推進室」を新設し、コストコントロールと確実な投資実行を主導する。コアコンピタンスである「サービスマネジメント」「データマネジメント」を軸とした全体構想に基づく、部分最適及び分散投資からの「選択と集中」により、確実な成長投資を実施する。

4) 社会課題・新規ビジネスの創出への取り組み
「未来価値デザイン本部」を新設し、社会課題解決事業の社会実装に向け、概念検証から「事業化」へのステップアップを図るとともに、早期黒字化へのロードマップを作成する。

(3) 財務目標
同社は2026年5月に最終年度(2027年3月期)の目標を修正し、売上高132.5億円、営業利益10.5億円(営業利益率7.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益11.2億円、ROE8.8%とした。営業利益は8.7%下方修正、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEについては、2026年7月に予定しているユニ・トランドの吸収合併に伴う税効果の発生を見込むことから、それぞれ20.7%、1.4ポイント上方修正した。修正の理由について同社は、昨今の調達コスト及び人件費の高騰を踏まえた価格戦略見直しの効果出現に一定の時間が想定されることと、今後の成長に向けて事業投資を中心に投資を積極化させることを挙げている。重視してきた配当については3期連続の増配を予定する。また、計画には入っていないものの、M&Aの検討も継続する方針であり、データマネジメント・サービスマネジメント人材の獲得やサービスラインの強化につながる対象先を候補に考えているようだ。

2. 中長期的な注目点
弊社でも、中期経営計画の方向性は理にかなったものと評価している。すなわち、DXの動きが社会全体で本格化する一方、IT人材不足が顕在化するなかで、これまでのIT課題だけでなく、事業課題や社会課題にまで領域を広げるとともに、コンサルティングを起点としたバリューチェーンの最適化(グループエコシステムの実現)により、需要の拡大を取り込む戦略は、持続的な成長を実現していくうえでも説得力がある。また、最終年度における重点施策(部分最適から全体最適に向けた取り組み)についても、まさに現状における課題(ボトルネック)やグループ経営の方向性を的確に踏まえており、殻を破るための打ち手として高く評価できる。

これまでは各社の独自性や自律性を生かしながら、各サービスを伸ばしてきたが、グループ連携や投資効率をさらに高め、グループ一体となった成長を加速するためには、全体最適を図るための体制や仕組みが必要であり、いよいよ一段上のステージに入ってきた(下地ができた)との見方もできる。したがって、「ビジネス共創本部」「構造改革推進室」「未来価値デザイン本部」を軸とする新体制を有名無実化せずに機能させることで次期中期経営計画での成長戦略へつなげていくことが、中期経営計画最終年度における最大のテーマと言えるだろう。

特にAIやセキュリティ関連への急速な需要拡大は、同社のコア領域であるサービス&データマネジメントにおけるホットスポットであり、競争力の決め手ともなることから、いかに投資の手を緩めずにソリューションの価値を高め、チャネル(顧客接点)を確保していくのかがポイントと言える。また、社会課題に向き合う交通インフラDX(ユニ・トランド事業)についても、具体的な実績が出てきたことから、同社本体に組み込まれることでどのような発展を遂げるのかに期待したい。さらに言えば、本部機能の充実やノウハウを共有・蓄積する仕組みづくりは、今後のM&A(PMI)を成功に導くスピードや確率の向上にもつながるだろう。いずれにしても、安定した収益源であるメインフレーム領域がキャッシュカウとなっている間に、次の収益の柱を育て上げ、強固な収益基盤の維持・向上を図ることが中長期の最大のテーマであることに変わりはなく、そういった視点から、今後の動向を注視する必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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