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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/05/07 12:06, 提供元: フィスコ

CACHD Research Memo(6):未来を見据えた長期ビジョンで企業変革を実現する(1)

*12:06JST CACHD Research Memo(6):未来を見据えた長期ビジョンで企業変革を実現する(1)
■CAC Holdings<4725>の中長期経営方針と進捗状況

1. 長期ビジョン「CAC Vision 2030」
2022年2月、同社は長期ビジョン「CAC Vision 2030」を公表した。「CAC Vision 2030」は、「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」という企業理念をベースに、2030年の「ありたい姿」「向かうべき方向性」を定め、共有することでグループのベクトルを統一させることを目的に策定された。「CAC Vision 2030」では、2022年12月期〜2025年12月期を国内外における既存受託事業での安定的な収益の確保とプロダクト&サービス基盤(新規事業を継続的に立ち上げる仕組みとビジネス基盤)の構築に充てる「Phase1」と位置付け、その後の2026年12月期〜2030年12月期は「社会課題の解決」につながる事業構造への転換を図っていく方針である。具体的には、AI Transformation、新規事業の創出・発展、M&Aの実行等を通じて、従来の「顧客のIT課題の解決」を中心とする事業から、「顧客の事業運営、業界、さらには社会が抱える課題の解決」に資する事業への転換を進め、販売チャネルの拡大および事業領域の多角化による成長を目指す「Phase2」とし、最終的に特定の産業や顧客への依存から脱し、環境ビジネスやフィンテック、AI活用といった新しいドメインで、同社自身がプレイヤーとなって社会を動かしていこうとしている。

2. 「CAC Vision 2030 Phase1」(2022年12月期〜2025年12月期)の振り返り
「CAC Vision 2030 Phase1」では、既存の受託型ITサービスによる安定収益を維持しながら、新規プロダクト&サービス事業を継続的に生み出す仕組みの構築に主眼が置かれた。単なる事業拡大ではなく、将来の収益源となる事業ポートフォリオを整備する準備期間としての性格が強いフェーズであった。

成長戦略では、プロダクト&サービス事業の創出を重要テーマに掲げ、「Human Centered Technology」の考え方のもと顧客やパートナーとの共創型の事業開発を進めた。新規事業の創出を継続的に行うための仕組みづくりやビジネス基盤の整備を進めるとともに、事業投資や人材投資を実行した。既存の受託事業についても、人材確保や開発体制の強化により事業基盤の維持・拡大を図った。これらの施策自体はおおむね計画どおり進んだものの、新規事業の収益化やM&Aによる事業拡張は想定より時間を要しており、業績への寄与は限定的にとどまった。

収益性の改善を目的とした高収益化戦略では、不採算事業の整理と経営効率の改善を柱とした構造改革が実施された。特に海外IT事業では、過去のM&Aに起因する収益性のばらつきが課題であったが、事業ポートフォリオの見直しや採算管理の強化により収益性は段階的に改善している。

コーポレート面では、グループ経営の高度化に向けたガバナンス体制の見直しが進められた。事業会社の役割整理や意思決定プロセスの整備が進められたほか、社員エンゲージメント向上や組織風土改革に関する取り組みも実施されている。人材を重要な経営資源とする同社にとって、組織基盤の強化は中長期の競争力に直結する要素であり、これらの施策は今後の事業成長を支える土台づくりになると考える。

一方で、定量目標の達成という観点では課題も残った。Phase1では売上高580億円、調整後EBITDA55億円を掲げていたものの、同水準には到達しなかった。新規プロダクト&サービスの立ち上がりに時間を要したことや、M&Aによる事業拡張が遅延したことが主な要因である。ただし、株主還元についてはDOE5%水準とする方針のもと、2025年12月期のDOEは4.8%と安定配当を維持している。

Phase1を振り返ると、当初掲げた成長投資の成果が業績として顕在化するまでには至らなかった。他方で、新規事業創出の仕組みづくり、海外事業の収益体質改善、ガバナンス改革など、次の成長段階に向けた基盤整備は着実に進んだ期間であった。

3. 「CAC Vision 2030 Phase2」(2026年12月期〜2030年12月期)の経営方針
「CAC Vision 2030 Phase2」では、同社がこれまでのITサービス企業としての枠組みから一段進み、事業構造を転換する期間と位置付けている。生成AIをはじめとするAI技術の急速な進展はシステム開発のあり方だけでなく、顧客のIT活用の姿も変化させつつある。内製化の拡大や開発プロセスの高度化が進むなか、従来型の受託型ITサービスに依存した事業ポートフォリオは将来的な成長の制約となる可能性がある。同社はこの環境認識のもと、既存事業を基盤としながら事業領域の拡張を進め、社会課題の解決に資するビジネスへと軸足を移していく方針である。Phase2の大きな特徴は、経営環境の不確実性を前提として従来の計画の枠組みを見直した点にある。従来のように最終年度の定量目標を固定的に掲げるのではなく、毎年更新する形式へ変更した。急速に変化する環境下では、長期数値目標の固定化よりも機動的な経営判断を優先することが合理的と判断したためである。2026年12月期の主要指標は、売上高515.0億円、調整後EBITDA38.5億円、ROE7.5%、エクイティスプレッド0.5%、DOE5.0%であり、収益成長と資本効率の双方を意識した経営を継続する方針である。

成長戦略の中核は「AI Transformation」である。同社はこの取り組みを3つの領域に整理している。第1はAIによるシステム構築の高度化である。生成AIによるプログラミング支援に加え、独自に開発したAIエージェントの活用範囲を広げる構想であり、外部の先進的なAIエージェントも柔軟に取り入れながら、労働集約型であった開発プロセスの転換を図る。第2はシステム運用及び業務運用の高度化である。従来のRPA活用を発展させ、AIや複数のAIツールを組み合わせることで運用プロセスの自動化を大幅に進める。IT運用や業務オペレーションの効率化にとどまらず、運用の高度化を目指す考えである。第3はAIプラットフォームの開発とプロダクト・サービス化である。AIを活用したソリューション開発を進め、AI駆動型プラットフォーム「OCTOps」(オクトパス)の展開を軸にプロダクト型ビジネスを育成する。新規事業でもAI活用を前提とした開発を進めており、従来の受託開発中心のビジネスから、プロダクトとサービスを組み合わせたソリューション型ビジネスへの発展を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)


《HN》

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