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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/04/07 12:59, 提供元: フィスコ

PHCホールディングス:糖尿病マネジメントの収益改善と医療DXが成長を牽引

*12:59JST PHCホールディングス:糖尿病マネジメントの収益改善と医療DXが成長を牽引
PHCホールディングス<6523>は、糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンスを中核とする医療機器・ヘルスケア企業だ。血糖測定システム(BGM)、電子カルテ、臨床検査受託、病理検査機器、超低温フリーザーなどを幅広く手掛けており、国内外の医療・研究現場に多面的に関与している点が特徴だ。単一製品に依存する事業構造ではなく、慢性疾患管理、医療DX、診断・研究支援をまたいで収益機会を持つことで、事業ポートフォリオの分散が効いた経営基盤を築いている。

2026年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上収益2,692億円(前年同期比0.9%増)、営業利益171億円(同0.5%増)となり、増収増益を確保した。一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6億円(前年同期比90.9%減)にとどまったが、これは主としてユーロ建て借入金などに伴う為替差損の計上によるものであり、事業そのものの採算悪化を直接示すものではない。実際、営業段階では主力の糖尿病マネジメントが大きく伸びており、事業面では改善が進んでいる。

業績を牽引したのは糖尿病マネジメント事業だ。同事業の売上収益は770億円(前年同期比3.9%増)、営業利益は147億円(同39.8%増)となり、大幅な増益を確保した。BGM市場は先進国を中心に縮小傾向が続いているものの、米国では単価向上策や販売数量の増加策が奏功し、欧州でも販売が堅調に推移した。BGMはグローバルで高いシェアを有し、測定精度の高さやコスト競争力に強みを持つ。市場全体には逆風があるものの、同社は価格戦略やコスト改善を通じて収益力を高めており、利益を確保できる体質への転換が進んでいる。

一方、ヘルスケアソリューション事業は売上収益952億円(前年同期比1.1%増)と増収だったが、営業利益は49億円(同17.3%減)となった。LSIM事業では遺伝子分野の検査売上が増え、ヘルスケアITソリューション事業でも電子カルテ・レセプト関連が伸びたものの、利益率の高い電子処方箋管理ソフトウェア需要の減少や、CRO事業の減収、仕入価格上昇などが利益を圧迫した。ただし、電子カルテの導入率は中小病院、診療所・クリニックでなお拡大余地が大きく、政府が2030年までの普及目標を掲げる中で、中長期的には医療DX需要が追い風になる公算が大きい。短期的には電子処方箋特需の反動があるものの、基盤需要そのものは残るとみられる。

診断・ライフサイエンス事業は、売上収益923億円(前年同期比3.8%減)、営業利益23億円(同65.2%減)と苦戦した。背景には、米国を中心とした市況停滞に加え、研究機関向け予算の減少や関税影響などがある。一方で、病理分野では欧州における消耗品販売やデジタルパソロジー(病理画像のデジタル化)関連案件が堅調に推移しており、バイオメディカ事業でも日本や欧州では回復傾向がみられる。超低温フリーザーは国内で高いシェアを持ち、温度・湿度管理技術を生かした周辺領域への展開余地も大きい。このため、同社はがん検査製品や細胞治療周辺製品を成長分野として育成している。足元では米国需要の弱さが重荷となっているものの、研究投資環境が正常化すれば回復余地はある

2026年3月期通期会社計画は、売上収益3,631億円(前期比0.4%増)、営業利益200億円(同11.4%減)だ。第3四半期時点の進捗からみると営業利益には一定の上振れ余地があるが、会社側はバイオメディカの生産調整やBGMの新規契約動向を慎重に見ており、やや保守的な計画を据え置いている。営業面では改善が進んでいる一方、純利益は為替による振れが残る構図だ。したがって、最終利益の一時的な振れよりも、糖尿病マネジメントの利益体質改善と、診断・ライフサイエンスの底打ち時期に注目したい。

中期経営計画2027では、売上成長率4〜5%、営業利益率8〜10%、EPSをFY24比で2倍以上、ROE10%以上、ROIC8%以上を目標に掲げる。実現に向けた柱は、ポートフォリオ管理の強化、価格改定、拠点・組織最適化を通じた構造改革だ。ポートフォリオ管理強化では早速、FY24の営業赤字90億円のCGM事業について譲渡を決定し、収益性の改善をすすすめている。構造改革は、診断・ライフサイエンスで、拠点統合やマネジメント効率化の効果が大きいとされる。今後も堅調さが期待されるのは、収益源としてのBGM、政策追い風を受ける医療IT、回復余地のあるPHCbiや病理分野だ。

株主還元は、年間配当42円を維持する方針で、配当利回りは3.7%に達する見通しだ。現中期経営計画期間中は有利子負債の返済を優先しつつも、安定配当を継続する考えを示している。営業キャッシュフローは成長投資、負債返済、株主還元に配分する方針で、次期中計では財務改善の進展を前提に還元拡充も視野に入れている。

総じて同社は、糖尿病マネジメント事業の収益改善を軸に、医療DXや診断・ライフサイエンスの成長領域を育成しながら企業価値向上を目指す局面にある。足元では為替や米国需要の影響が重荷だが、事業面の改善は着実に進んでおり、今後の収益力向上に期待したい。


《YS》

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