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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/01/08 11:32, 提供元: フィスコ

冨士ダイス Research Memo(2):次世代自動車関連や海外向け超硬素材販売が好調

*11:32JST 冨士ダイス Research Memo(2):次世代自動車関連や海外向け超硬素材販売が好調
■冨士ダイス<6167>の業績動向

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期業績は、売上高8,417百万円(前年同期比1.7%増)、営業利益322百万円(同10.7%増)、経常利益306百万円(同22.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益196百万円(同21.5%減)となった。

売上高に関しては、製品区分ごとに明暗が分かれる結果となった。超硬製金型類(売上高2,301百万円、前年同期比12.1%増)は、自動車部品メーカーの生産調整長期化によるマイナス影響を受けたものの、注力する次世代自動車関連(モーターコア、車載電池など)や製缶関連が伸長し、区分全体の売上をけん引した。その他の超硬製品(売上高2,347百万円、同8.4%増)も、新設した中国・東莞拠点を足掛かりとした新規顧客開拓などが奏功し、海外拠点向けの超硬素材販売が増加した。一方で、超硬製工具類(売上高2,049百万円、同0.2%減)は、冷間圧延関連の工具などが堅調に推移したものの、海外向け熱間圧延ロールが前期の特需の反動減により、全体では微減となった。超硬以外の製品(売上高1,719百万円、同14.3%減)も、半導体封止材向けの混錬工具の販売が伸び悩み苦戦した。これらの結果、全社売上高は前年同期比で増収を確保したものの、期初予想の8,720百万円に対しては3.5%の未達となった。

利益面では、原材料価格の高騰や人的資本の拡充に伴う費用増があったものの、増収効果や生産性向上施策(自動化・工程改善)の成果が寄与した。加えて、棚卸資産の増加に加え、計画していた修繕費の発生が下期へ期ズレしたことも利益を押し上げる要因となった。これらにより、営業利益は計画(220百万円)を46.5%超過して着地した。なお、経常利益以下は、営業外費用として為替差損を計上したことや、前年同期に計上されていた熊本新冶金棟建設に伴う補助金収入がなくなったことなどにより減益となった。

2. 顧客産業分類別状況
2026年3月期中間期の単体ベースでの顧客産業分類別売上動向では、輸送用機械向けは次世代自動車向けの開発案件が寄与したものの、自動車部品メーカーの生産調整の影響を受け14.1億円(通期計画に対する進捗率48%)と低調に推移した。鉄鋼関連は海外向け熱間圧延ロールが前期の反動減となったほか、国内も自動車・建機生産減の影響を受け11.6億円(同進捗率42%)にとどまった。非鉄金属・金属製品向けは製缶工具が国内外で堅調に推移し、エアコン増産に伴い溝付きプラグも好調で10.7億円(同進捗率49%)となった。生産・業務用機械向けは半導体製造装置向け部品の販売が好調を維持し9.8億円(同進捗率46%)となった。電機・電子部品向けは半導体封止材向け製品が低調だったものの、車載用電池向け製品の需要が増加し、売上高7.4億円(同進捗率48%)となった。金型・工具向け素材については、EV関連向けは横ばいであったが、海外向けの超硬素材販売が好調に推移し15.6億円(同進捗率56%)であった。

3. 財務状況と経営指標
同社は創業以来、黒字経営を継続している。自己資本比率は、2024年3月期末は79.0%、2025年3月期末は81.0%、2026年3月期中間期末は79.6%と、配当支払いや自己株式取得の影響により前年度末比でわずかに低下したものの、依然として極めて高い水準を維持している。財務状態としては、手元資金も潤沢で、実質無借金経営を継続している。当中間期のキャッシュ・フローに関しても、フリー・キャッシュ・フローは668百万円の収入(前年同期末は592百万円の収入)となっており、収益環境が厳しいなかでも強い財務体質を維持している。



■今後の見通し

前期に引き続き好調な工具・金型向けの素材販売、自動車生産の回復や価格改定の進捗、中国での販売拡大を見込み、期初予想を据え置き

2026年3月期の連結業績予想は、売上高17,670百万円(前期比6.5%増)、営業利益600百万円(同22.9%増)、経常利益700百万円(同16.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益460百万円(同8.0%増)とし、期初予想は据え置かれた。前期に引き続き好調な工具・金型向けの素材販売、自動車生産の回復に伴う増収効果、進行中の価格改定の浸透、中国・東莞拠点の寄与などにより、人件費や原材料費の増加などを吸収し、通期計画の達成を図る構えだ。

営業利益は、増収効果や自動化・ロボット導入による生産効率向上、さらには価格改定効果が押し上げ要因となる見込みだ。一方で、人的資本投資や自動化・IT投資の増加、原材料価格の高騰が重荷となる。特に主原料であるパラタングステン酸アンモニウム(APT)は、期初想定の375米ドル/10kgに対し、足元では史上最高値圏の700ドル超で推移しており、コスト環境は一段と厳しくなっている。これに対応すべく、同社は4月に続き今期2回目となる価格改定交渉を顧客と進めているところだ。また、想定為替レート(145円/米ドル)からの円安進展も、海外売上に対してはプラスに働くものの、輸入原材料にとってはコスト増となるので注視を要する。

単体ベースの主要産業別売上見通しでは、輸送用機械(通期予想29.2億円)は、国内主要Tier1メーカーの受注に回復の兆しが見られることから、自動車生産の持ち直しに伴う下期の需要増を織り込んでいる。鉄鋼関連(同27.4億円)は、海外鉄鋼向け販売があるものの、国内の回復が見込めず、やや低調な推移が予想される。非鉄金属・金属製品(同21.6億円)は、前期に低迷した海外向け溝付きロールについて、顧客との密接な連携により長期化していた在庫調整が一巡し、発注が正常化したことと、耐アルミ関係製品の需要増で堅調な推移を見込む。生産・業務用機械(同21.2億円)は、半導体製造装置向けが下期には軟調となる見通しだが光学素子成形用金型のデジタル一眼カメラなどの撮像向け新製品の引き合いが続き、全体として底堅く推移する見通しだ。電機・電子部品(同15.4億円)は、半導体封止材向けは低調だが、車載電池向け製品の需要が拡大しており、堅調に推移する見込みである。工具・金型向け素材(同27.9億円)は、中国市場では東莞拠点を生かした拡販が好調で、大幅な増収を見込む。ただし、地政学リスクを考慮して過度な設備投資は避け、慎重にシェア拡大を図る方針だ。

事業環境のリスクとしては、米国の関税政策によるサプライチェーン再編や、中国によるレアメタル(タングステンなど)の輸出規制の可能性が挙げられる。特に中国に関しては、地政学的な情勢変化に伴う輸出管理の強化や現地での事業環境への波及も懸念され、現実化した場合は原材料の調達難に直結するリスクがある。そのため、リサイクル事業の強化、調達ルートの多様化、価格転嫁の継続的な実施が一段と重要となろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 西村 健)


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