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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/25 14:05, 提供元: フィスコ ベイシス Research Memo(5):2025年6月期は売上高が過去最高、各段階利益は大幅成長*14:05JST ベイシス Research Memo(5):2025年6月期は売上高が過去最高、各段階利益は大幅成長■業績動向 1. 2025年6月期の業績 ベイシス<4068>の2025年6月期の連結業績は、売上高7,984百万円(前期比17.0%増)、営業利益177百万円(同119.5%増)、経常利益167百万円(同114.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益96百万円(同458.9%増)と増収増益となった。売上高は過去最高を記録し、各利益は大きく伸長した。2025年6月期中間期決算と同時に営業利益以下を上方修正した業績予想に対する達成率は、売上高100.8%、営業利益131.8%、経常利益129.8%、親会社株主に帰属する当期純利益134.8%と予想を達成した。なお、EBITDAは253百万円と同83.7%増加、調整後EBITDA※は291百万円と同52.7%増となり、実質的な利益創出力は前期比で着実に向上した。売上面ではモバイルエンジニアリングサービスが、通信キャリア側の投資抑制の影響により減収傾向にあるなか、IoTエンジニアリングサービスがスマートメーターや、エンジニア常駐による監視・保守サービスといったストック型の案件を多く受注したことで同34.0%増と大きく伸びた。またITエンジニアリングサービス等のその他サービスは、子会社のアヴァンセ・アジルの売上高(918百万円)が通期で業績に寄与し、さらにITインフラ案件増加等の要因もあって同69.0%増と大きく成長した。 ※ 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+株式報酬費用+株主優待費用+非経常経費(固定資産除却損等)。 利益面では、売上総利益改善と営業利益改善を重点施策として進めた。前者はストック案件や案件単価の交渉と生産性向上による直接労務費の削減、後者は販管費削減策として業務フローの見直しやコミュニケーションツールの活用等のDX推進を行った。結果として売上総利益率の実績は23.4%と2024年6月期並みであったが、営業利益率は2.2%と前期比1.0ポイント上昇した。2024年6月期まではモバイル売上高の減少や売上原価増による粗利率の低下、戦略投資の促進等で営業利益が減少傾向にあったが、IoTエンジニアリングサービスにおける利益率の高い案件の増加やITエンジニアリングサービス等のその他サービスにおいて案件単価の引き上げ交渉が奏功したことで改善に向かい、大きく増益となった。営業利益に関しては、金額ベースでは2023年6月期のレベルには達していないが、これらのサービスが今後モバイルエンジニアリングサービスに代わって伸長することで回復に向かうことが期待される。 IoTエンジニアリングサービスがけん引 2. サービス別業績 (1) モバイルエンジニアリングサービス 売上高は3,367百万円(前期比5.9%減)となった。ソフトバンクや楽天モバイルといった通信キャリア各社での設備投資抑制の影響を受け、2025年6月期第3四半期までは想定内に推移したものの、通信キャリア各社の決算期となる同社第4四半期に同社常駐人数の大規模な削減を実行したことで、減収となった。同サービスの収益は、主要取引先である通信キャリア各社の設備投資動向に依存しており、それぞれの設備投資額は過去2年間に比較して若干の回復が見られる。しかし、同社との取り引きでは一部案件の終了や縮小が見込まれており、同社は厳しい状況が続くと予測している。 (2) IoTエンジニアリングサービス 売上高は3,307百万円(前期比34.0%増)と大幅増収となった。特にスマートメーター設置・交換案件や、同社社員の現場常駐による監視・保守といった、利益率の高いストック案件を多く受注したことで利益率の改善にも寄与した。スマートメーター案件に関しては、元来同分野での実績が豊富なこともあり、既存取引先からの追加発注等継続的な受注が想定よりも増加した。監視・保守サービスについては、フロー案件としてIoT機器の設置案件等を受注した顧客を中心に、ストック案件の監視・保守等の提案活動に努めた。売上総利益率は、フロー案件が約20%であるのに対して、ストック案件は約30%と高利益で、継続的な契約形態の性格から安定した収益獲得が見込まれる。なお、ストック案件売上高は前期比28.6%増の830百万円となり、提案を強化した成果として売上総利益率の改善に反映された。 (3) ITエンジニアリングサービス等のその他サービス 売上高が1,308百万円(同69.0%増)と大きく伸長した。ITインフラ案件の増加に加え、同社及びアヴァンセ・アジル双方が案件単価引き上げ交渉に注力したほか、2025年6月期からアヴァンセ・アジルの売上高(918百万円)が通期で業績に寄与し、業績伸長につながった。ITインフラ案件の増加は主にNTTグループからの受注案件増加に起因している。地道な営業活動に加えて外部顧問等を活用したトップセールスを行ったことで、ここ数年の大きな課題であったNTTグループとの取引拡大につながった。さらに、NTTグループを取引先に持つアヴァンセ・アジルとの協働を強化することで一層の取引拡大が期待される。案件単価交渉については、まずは同社が単価交渉可能と判断したプロジェクトを選定し、価格交渉を実施したあと、単価交渉ノウハウをアヴァンセ・アジルに展開した。その結果、2025年6月期に、同社は平均単価改定率15.9%、180.11百万円の増収に、アヴァンセ・アジルは平均単価改定率5.9%、25.03百万円の増収に成功しており、2026年6月期以降も同様に価格交渉を進める方針である。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |