ウォール街で勝つ法則
ジェームズ・P・オショーネシー/喜久田悠実/河村毘夫/秦由紀子 パンローリング
本書は米国市場の42年間にわたるデータを分析し、それによって
どのような投資戦略が有効なのかを実証的、具体的に検討して、
それによって株価が「ランダムウォーク」ではないことを明らかにした
ものである。
特徴的なのは、個別銘柄を云々するような記述が一切ないということ
である。
つまり、株式を小型株・大型株、RER、PBR、PSRなど、よく知られ
た指標から分類し、それらのパフォーマンスを比較、検討することに
より有効な投資戦略を検討しているのである。
低PSR(株価売上高倍率)の銘柄群のパフォーマンスが傑出して
高いことは、意外感はないものの、興味深い指摘であった。
最終的な結論は私たちが漠然と感じていることとさほど大きな違いは
ない。
「長期的な有効性が実証されている投資戦略を採用すること」「投資
に一貫性を持たせること」「複数の投資戦略を組み合わせ、複数の指
標を用いること」などの指摘は、確かに長期的にはそのとおりなのだろ
うが、頑固にこれを続けることは、本書でも指摘のあるとおり、たやす
いことではないだろう。
ここで私たちは、「あなたはなんで株式投資をしているのか」という問い
に対する自分の答えを再度確認してみる必要があるのではないか。
それは、
本書で言う「あくびが出る基礎比率表よりも直感的洞察や個別の彩り
豊かな筋書きを好む人間の意志決定」の問題である。
つまり、本書で指摘されているような方法は、勝つためにはかなり確率
が高いことは理解できても、単なる数字の分析による投資は、さして面
白くもないし、楽しくもないのではないかという点である。
それよりも、材料性とかテーマ性云々といった個別銘柄の信頼できるか
できないかよくわからないような情報について、あれこれ考えてみたりす
る方が楽しいかもしれない。
しかし、株式投資に楽しさを求めるのではなく、「利益」、それも短期では
なく本当に長期的な視点に立って、それを追求するのであれば、本書で
指摘されたような戦略はかなり高い確率で今後も有効なのではないかと
思わされる。
バフェットが個別銘柄に焦点をあて深い分析に基づき「企業そのものを
買う」ことにより高いパフォーマンスをあげているのとは対照的なアプロ
ーチであるが、重要な指摘が随所にあった。
なお、本書はグラフや図表などが多用され、一見とっつきにくい印象が
あるが、それぞれの分析の内容は「結論」として簡潔にわかりやすく整理
されており、読みやすい。
全体としての感想は「おまえの話はつまらん!だけど大切」というもの。
日々、あれこれドタバタと売買し、あまりよいパフォーマンスがあがらない
という人には一読をおすすめする。また、「いいとこどり」で感覚的な表現 、
文学的な表現で適当なことが適当に書かれているような著作を嫌う人にも
よい本だと思います。
(ふしみん 男性 公務員 40代)
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