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バフェットからの手紙 [第5版]

バフェット自身が投資について一冊にまとめた書籍がない中、本書は毎年株主に送付するバフェットのレターを年代別、分野別に整理してまとめられたものとなっており、事実上のバフェット自身によるバフェット本と言ってもいいでしょう。新しい内容が追加をされて新しい版が出されており、その最新版がこの第5版です。

非常に幅広い内容になっており、かつ、当然のことながら内容は米国の市場や企業に関するものなので、ざっと通読しただけで本書の内容をすべて頭に入れるのは難しいです。

そのため、まずとっかかりとしては「第2章 投資」のところから読み始めるのがよいと感じました。というか、私自身はそのようにしました。2章では、おなじみのMr.マーケットの話や効率的市場仮説批判なとが展開されます。

バフェット投資の本質は、この中にある「投資家の目的は、十分に理解ができ、かつ五年、一〇年、二〇年後に実質上確実に高い収益を上げるであろう企業の一部を、合理的な価格で購入することに尽きるはずです。」という一節にあらわれています。

問題は、との企業が「確実に高い収益を上げるであろう企業」であり、どの範囲であれば「合理的な価格」と言えるのかの判断ですが。

本書はとりあえず自分に興味がある、関心がある部分から読み進め、丁寧に少しずつでも理解を深めつつ読み込んでいくべき投資の基本文献ともいえるもので、とりわけ中長期のインベストメントの視点での投資を重視する場合は、極めて重要な一冊になると思われます。

ふしみん 50代 個人投資家
鳳凰堂のランダム・ウォーカー



『バフェット』を知らない人でも、読めば贔屓ファンとなる、というのがわたしの感想です。

全米2位の資産家だとか投資で富を築いたとか、バフェットにまつわる履歴や逸話を知らなくても、彼の記述のわかりやすさと腑に落ちやすさ、そして、いたる所にちりばめられたユーモアに接すれば、彼がとても“気になる人”になるように思われるのです。

ちなみに、本書は、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイ社の年次報告書(1979年から2011年まで)から、投資や経営のエッセンスを抜粋し、まとめたものです。

作者は“英知”が結集されていると太鼓判を押していますが、確かに、企業運営の基本や企業評価、投資対象の選択、資本の活用法など広範囲にわたって、新しく見えてくるものがたくさんあります。

たとえば、馬鹿げた額の企業買収は、バフェットの優れた観察眼と分析眼を通してみれば、「だってみんな持ってんだもん」とか、トップのワイルドさの証明意欲とか、無知に付け込む輩とか、非理性的な原因に収斂していくことに、唖然とするはずです。そのほか、CEOの「資本配分についての経験不足」については、企業が大赤字を出すメカニズムについて、理解の一端となるでしょう。

彼の鋭い指摘は、新聞ネット雑誌テレビではお目にかかれないものなので、いかに自分が物を考えていないか、はっと気づかされるはずです。ちなみに本書では、『彼らは考えるくらいなら死を選ぶ』なる指摘もあります。

ところで、わたしは、前版の「バフェットからの手紙」も読んでましたし、Webサイトにアップされている「Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders」も読んでいましたが、それでも、新版の本書を、冊子という形で再び読めたのは楽しみでした。

改めて第3版を読んでみて、バフェットのずば抜けた頭のよさを指摘せざるを得ません。言い換えれば、「頭のいい人とはこういう人」だなと、つくづくと思うのです。

本書には、会計用語や経営用語がたくさんでてきますが、噛み砕かれた説明とユーモアあふれるたとえ話に、これまでわかっていたものはさらに深く理解でき、一方、もやがかかってあまりわかってなかったことがすっと理解に及びます。

わたしの場合は「キャッシュフロー」でした。一時、大ブームだったキャッシュフローを一通り知っていましたが、バフェットの「ある種の不動産業者や当初は多額の投資を必要とし、その後は追加投資がほとんどいらないような企業を見るには、簡便で便利な方法であるかもしれません。」という記述に接して、ああ、やっぱりキャッシュフローってそんなに重要な「定規」じゃないよなーと、長年のもやもやが晴れたのでした。

本書は、「投資」や「会計」や「経営」という非常にわかりにくい世界を、ずば抜けた頭の持ち主が解説するものでもあります。これらのことがあまりわからない人こそ、本書を読むべきです。がんばれば高校生にも読めます。

株式投資を始めて日の浅い人は、第4章「普通株」に編まれた「摩擦コスト」から読むといいでしょう。すばらしく噛み砕かれたたとえ話・ゴットロック一族のお話は、他人事ではありません。

第7章「会計上のごまかし」は、投資をする上で必読です。悪事が満天下で行われていて、しばらくはお茶を濁したような解説や説明が流布され、問題が大きくなって法規制がされるという「よくある」パターンが繰り返されるのが投資という世界です。本書ではストックオプションについてページが多く割かれています。“こういうこと”だったのです。

本書『バフェットからの手紙 [第3版]』も、名著であると言わざるを得ません。本書で経営や会計や投資の本の、何十冊分の価値があります。言い換えれば、本書を熟読すれば、何十冊分の本を読まずに済む次第で、terrible reasonableな人にオススメできるものです。

ちなみに、文字や漢字でいっぱいの投資の本であるのに、「笑える」のも本書の特色の1つです。わたしは、「台本は投資銀行が用意してくれます」とか「音楽隊がパーティーに加われば、しばらくの間はそれらしくなるものです」の一文には大笑いしました。書き切れないほどの、ユーモア溢れる当てこすりやたとえ話に、読むのに時間を忘れました。

もちろん、有意義な格言もたくさんあります。「グレアムいわく、短期的に見るとマーケットは票数計算機だが、長期的に見ると体重計だ」といった当を得た表現に、納得が深まっていく心地よさを味わうことでしょう。

投資に携わる人が、良書中の良書たる本書を手にしたのは幸運だと思います。きっと多くの損失を本書で免れることができるでしょう。(第3版への書評)

くらげ様 会社経営 「初心者投資」管理人


第1版への書評

本書「バフェットから手紙」は、バークシャー・ハザウェイの株主に送られた過去20年余の「会長からの手紙」からバフェットの投資哲学・経営のエッセンスをまとめたもので、バフェット直筆の言葉に接することのできる数少ない1冊です。

本書を手にする方の多くは、株式投資を目的にしていると思います。しかし、どうしてどうして、たかだか400ページに満たない1冊に、株式投資にとどまらず投資一般、経営・経営者観、事業センスにいたる多くの分野で思慮深い文章に触れることができるのです。例えば、ストックオプションや株式分割、LBOといったくだりでは、株式市場の優れた解説書・手引書ですし、経営・経営者や会計の欺瞞など専門書に勝るとも劣らない痛快な記述に遭遇できます。

わたくし事ですが、現在、経営している会社の事業の選択に当たっては本書「バフェットからの手紙」から明らかに影響を受けています。ビジネス選択にあたってのボートの喩え、などなどです。最初は「株式投資の参考書程度」くらいに認識していましたが、いつのまにやら「座右の書」になってしまったのです。

「バフェットからの手紙」は不思議な書籍です。株式投資を超えて価値観が変化する影響力を持っています。これまで、「なんでまあ、こんなに価値観の変化があったのだろうか?」と首を捻っておりましたが、長い間、謎のままでした。 そんな折、その他のバフェット関連書籍をあたっていると、バフェットの右腕であるチャールズ・マンガーがバフェットを次のように述べた文章に遭遇しました。

「ウォーレンほどうまく資本を配分できるものはいない」と。

この一説に触れたとき、ハタと膝を打ちました。これまで「バフェットからの手紙」に抱いていた謎が一気に氷解したのです。

そう、バフェットは「資本(資本配分)家」の能力を持った数少ない人間だと気づいたわけです。企業経営において「資本配分」は芸術的仕事です。これまで、多くの経営者が間違い、そしてこれからも間違うでしょう。マイクロソフトのビル・ゲイツが剰余資金をうまく再投資することができず配当にまわした事は、記憶に新しいのではないでしょうか?

投資家、経営者、起業家・・・たくさんある物事の視点の中に「資本家」という新しい視点を設定してみてください。そうすれば、バフェットのいわんとするところがスムーズに入ってきます。本書は、株式投資の書籍ともいえず、経営本でもなく、会計の解説書でもない、もの珍しい「資本家の視点」で書かれた1冊だといえるでしょう。だからこそ、多くの分野にわたって独特の視点で語ることができるのだ、というわけです。

バフェットは事業家でもなく実業家でもなく、もちろん、親の遺産で財を成し遂げたわけでもなく「投資」という世界で唯一、莫大な財を築いた珍しい人です。世界でも極めて数の少ない「資本家」の言を味わってほしいと思います。きっとこれまでとは違った風に物事が見えてくるはずです。

くらげ 20代 会社経営 「初心者投資」管理人


パンローリングの書籍は「バフェットからの手紙」で計5冊目。これまでのあらゆる図書の中で最も素晴らしい本でした。私の不動産投資の考え方とほとんど同じ。参考になりました。

<M.U 様 63歳>


バフェットといえば、一度買った株は十年売らないとか、ハイテクはやらずにコカコ−ラとジレットの株で大儲けしたという話で有名ですが、彼は投資家と言う以上に有 能なバ−クシャ−の経営者でもあります。

バフェットの経営理念は株主重視で、「株主の利益が企業の利益になる」という考え 方にあります。それは株主とバフェットの間に確固たる信頼関係があるからに他なりません。 バフェットは自社の株がやみくもに高い株価であれば良いとは考えていません、それ はバ−クシャ−の株価に連動する投資信託をウォ−ル街の金融エンジニアが作り、そ れをバ−クシャ−の事業やその投資哲学を理解していない人々に売ろうとしたら、バ フェットはクラスB株という既存の株の30分の1で取引されるが、議決権は200分の1しか持たない株を発行したあたりに良く現れています。 そして驚くべきことに毎年発行済み株式の98%を保有する株主が変わらないそうで す。 バフェット自信もバ−クシャ−の株が最高であり自分の資産のメインでその株を売る ようなことはしないと言っています、これは日本の経営者が株式公開をした際に自社 株を売って儲けようとするのとは大きく異なります。

バフェットがいつ自分の株を売るのかときかれたら、「自分が死んだ15年後だ」と答 えたという話がありますが、それは彼一流のジョ−クだと思っていましたが、私の死 後、妻のス−ジ−が長生きすればすべて妻の持ち株となり妻が死ねば財団に寄付する ことになっているそうで、税金や相続で売却することはないそうなのであながち嘘で はないようです。

この本は単なる投資本と言う範疇におさまる物ではないので、バフェットについて知 りたい人だけではなく、企業買収や会計、税制についても詳しく述べられているの で、企業経営者にも参考になる点は多いように思いますので読まれると良いと思いま す。


[オーディオブック] バフェットからの手紙

■良い点

何はともあれ、移動中に聴くことができるということがとても良い。 私は元々乗り物酔いしやすく、電車の中で本を読むことができなかったので、 電車内で本を読んでいる人を観かけると羨ましかった。 こうしてオーディオブックにしてもらえると、 電車内でも聴くことができるのでとてもありがたい。

既に原書を読んでる身としては、通常版は少しゆっくり過ぎるように 感じるが、その点、倍速版もちゃんとついてるのも良かった。

■悪い点

・本の目次がない
・本の目次に対する、CDトラックの対応表がない
・通常版と倍速版とでCDのトラックの切り方が違う

あと、これはまったくもって個人の趣味の範疇であるが、 話し手は男性のほうが良かったような気がする。 バフェットは男性、著書の方も男性、となると、 男性の声のほうが違和感なく聴けるような気がする。

よう、30代、個人投資家)


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