2001年4月9日、株価表示が小数点化されて株価の単位が16分の1ドルから1セント単位に変わったとき、テクニカル分析の革命が始まった。表示変更の目的は一般投資家に株価変動を理解しやすくすることだったが、実際にはマーケットの見通しを悪くし、一部では株価操作を促すことになったとも言われている。
投資家やトレーダーがインサイダーやプロの相場師の犠牲にならないためには、彼らの動きを察知するテクニックを使うしかない。本書で、ウィランはマーケット操作を見分けてより賢いトレーダーになるための新しくて画期的なテクニカル分析ツールを紹介している。
ウィランの3つの新しいツールであるEV(エフェクティブボリューム)とER(エフェクティブレシオ)とAB(アクティブバウンダリー)は、マーケット参加者の行動や予想される反応ではなく、彼らが実際に用いている戦略的な動きを基にしている。これらのツールは、大口プレ-ヤーやインサイダーの動きやトレーダーの期待、そして需給の平衡がどのように展開していくのかを教えてくれる。また、株主の期待利益から株の価値を評価し、過去のデータを基にして明確な目標値を策定し、大口プレーヤーやインサイダーがいつ仕掛けたり手仕舞ったりするかを察知したり、株価が上昇や下落したときの需給バランスを分析してトレンドが近いうちに転換するかどうかを分析したりできる。 ウィランは各ツールを詳しく説明したあと、これらを用いた具体的なトレード戦略を示すとともに、良いトレードの基礎である「価値ある銘柄の発掘」「正しい買いトリガーの選択」「仕掛けたあとのトレード管理」などについても明らかにしている。また、成功したトレードやダマシのシグナルや空売りなどの具体例も載せている。
マーケットで繰り返し行われている情報漏えいや株価操作の目的は、ほかの人よりも有利に立つことにある。このようなマーケットでトレードを続けていくためには、何かが起こったときその情報を人よりも早くつかまなければならない。本書では、だれでもニュースが発表されるよりも前にトレードできる画期的なテクニカルツールが明らかになっている。
「読者は今、標準的なテクニカル分析の枠を破壊する画期的な本を手にしている。本書は、トレンドの転換を探るためのいくつかの新しいツールを紹介するだけでなく、トレンドとその転換によって利益を上げるための新しい方法も明らかにしている」――アレキサンダー・エルダー博士(『投資苑』[パンローリング]の著者)「ウィラン氏は、価格と出来高を使った株価分析の新しくて強力な手法を発見し、『エフェクティブボリューム』と名づけた。出来高分析を学んでいる人は、ぜひ本書を読んでほしい。長い間、出来高分析を研究している私から見ても、この手法は非常に素晴らしいと自信をもって言える。そのうえ本書は株価分析にとどまらず、セクター分析にも取り組んでトレード計画を完成させている。マーケットを動かす勢力について関心があるのならば、本書を読むべきだろう」――ティモシー・オード(『スイングトレードの法則』[パンローリング]の著者)
「本書で紹介されているオリジナルのアイデアが非常に気に入っている。エフェクティブボリュームの指標やそれを使ったダイバージェンス分析はポートフォリオ管理に有効だと思う。実は現在、当社の技術者たちがこのエフェクティブボリューム分析を当社独自のアルゴリズムに組み込む作業を進めている」――ビル・カラ(『レッスン・フロム・ザ・トレーダー・ウィザード』の著者兼『カラズ・トレーダー・ウィザード・インベストメント・レポート』の編集責任者)
まえがき アレキサンダー・エルダー
謝辞
パート1 これまでのテクニカル分析を変えるツールセット
第1章 エフェクティブボリューム――マーケットへの窓口
トレーダーのための秘密の新ツール――トレーディングの仕組みとマーケットプレーヤーの概要
マーケットを動かす出来高
エフェクティブボリューム
EVの実践的な計算例
分離出来高の算出方法
トレードを向上させるために大局で判断する
従来のツールとの比較
EVで学んだこと
第2章 株価と出来高――アクティブバウンダリー指数
安く買う
従来の基準による「安い」
トレンドは存在するのか
祖母はいつも正しい
数学好きのために――ABの算出方法
ABについて学んだこと
第3章 出来高と株価が乖離するとき
EV――弓1張で2本の矢を撃つ
株価トレンドとEVトレンド
株価と出来高のダイバージェンス分析
ダイバージェンス分析の例
最適な分析窓の設定の仕方
トレードのない1分枠
ダイバージェンス分析のまとめ
第4章 需要と供給――トレーディングのカギ
需給の平衡
ファンドの戦略
ファンドと市場操作
供給分析のまとめ
パート2 トレード戦略
第5章 パフォーマンス――リスク・リターン・バランス
トレード戦略
利益の最適化
リスクを最適化する
リスク調整済みパフォーマンスの測定――シャープレシオとバークレシオ
本章のまとめ
第6章 自動トレードシステム
トレードシグナルを出す
トレード戦略
まとめ
パート3 ボーナスセクション
第7章 マーケットは一方通行ではない――空売り戦略
空売りの「ティックテスト」ルール
本書で紹介したツールを使った空売り
まとめ
第8章 マーケット分析とセクター分析
マーケットはいつ割高になるのか
セクター分析
まとめ
結論
これまでの復習
なぜ自分の手法を公開するのか
マーケットは操作されているのか
次は何をすべきか
最後に
データ提供者
参考図書
20世紀に入ると、数々の新しいアイデアが登場して、テクニカル分析は大きく前進した。ほんの一部を挙げるだけでも、フィボナッチリトレースメント、エリオット波動、MACD、ストキャスティックスなどがある。
そして2001年、稲妻が落ちたが、それに気づいた人はほとんどいなかった。歴史の中にはよくあることだが、これはさまざまな原因による変化がもたらした革命だったからだ。みんな変化には気づいていたが、それが革命をもたらしたことを理解した人はほとんどいなかった。これは、ルイ・パスツールが細菌を発見したときとよく似ている。発見はまさに革命だったが、これを可能にした本当の変化は顕微鏡の発明だった。
今回、テクニカル分析に革命をもたらした変化は、株価表示の小数点化だった。2001年4月9日以降、トレーダーは株価を16分の1ドル単位(6.26セント)ではなく、1セント単位で扱えるようになった。目的は、株価変動を一般の人にも分かりやすくすることと(できればさらに多くの個人投資家を引き付けたい)、スプレッドコストを減らすことだった。しかし、この変化は機関投資家の動向に大きな影響を及ぼすことになった。これについては後述する。株価の小数点化は、マーケットの見通しを閉ざし、一部では株価操作を促すことになったとも言われている。ただそれと同時に、小数点化によってトレーダー動向を正確に探知することも可能になった
(ウィザードブックシリーズ157)
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