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ピーター・チェックランド/高原康彦/中野文平/木嶋恭一他 ソフトシステム方法論の思考と実践

ソフトシステム方法論の思考と実践

ピーター・チェックランド, 高原康彦, 中野文平, 木嶋恭一他
パンローリング
A5 496 pages, released in Jun. 2020
4,180 yen (including tax 380 yen) , Free shipping fee to Japan.
This product will be shipped on Dec. 22.

  

副題: 問題認識を共有し組織や仕組みの改善と発展に繋げる

ソフトシステム方法論の古典、復刊

現実的な問題をシステムで改善しようとするソフトシステム方法論を
確立したチェックランド教授による増補改訂版。

最初のソフトシステム方法論(SSM)に関する2冊の原著作を再発行するに当たり、1999年の観点から、新しい内容を追加することは適切でしょう。ただ、原著の文自体を改変するのは適切ではないでしょう。何故なら、原著に記された内容は、この物語の最初の部分を雄弁に語っているからです。SSMの30年に及ぶ研究とその適用を反映させて、この物語を最新のものにアップデートし、現在では、人間の営みに関わる問題状況を探求するために十分に検証され成熟したものとなったプロセスについて要約することは、適切と思われます。これこそが増補版で成すべきことであり、原著作の幅を広げることに繋がります。

増補改訂の章では、次のことを検証します。ソフトシステム思考が出現した理由は、技術的にうまく定義されていない問題の解決に、従来のシステム工学の方法が十分機能せず失敗したことであること。そのため、1972年から1990年代を通して方法論全体の表現形式を進化発展させたこと。この進化過程は、実際の適用によって磨かれた、知的「装置」としてのSSMの重要な発展を網羅していること。次に、これら発展を踏まえて、方法論の全体について再検討を試みます。まず、「方法論」が「方法」と同じ意味で解釈すべきでないことを検討します(二次文献では、この違いはほとんど完全に無視されていますが)。次に、「SSMが使われている」との主張が意味を持つためには、何がなされていなければならないのかについて再検討します。最後に、方法論が内部化され、その使用法が素朴なものから高度に洗練された段階に移行する際に、何が起こるかについて論じます。最後の節では、SSMを社会的調査研究というより大きな文脈に関連付けます。この章の構造自体、SSMの開発に内包された循環的な学習の小さな省察であり、それは、今後も間違いなく継続するでしょう。(著者「改訂版の序文」より)

本書は、“SYSTEMS THINKING, SYSTEMS PRACTICE”(1981)(以下、原著)に、約70ページに及ぶ増補改訂が加えられて再刊された“SYSTEMS THINKING, SYSTEMS PRACTICE:Includes a 30-Year Retrospective”(1999)という増補改訂版に対し、原著の翻訳部分は原則としてそのままに、増補改訂部分を新たに翻訳してできたものです。 原著がこのような形で再刊されたということは、原著が、“本物は生き延びる”という原則を示す名著であるからでしょう。著者チェックランド教授は、本を書くにあたって、彼の学生から、“1冊の本を書くことで、2冊の駄作を駆除するようなものを書くべきだ”と警告されたことを述べていますが、実際には、原著の主題であるソフトシステム方法論(Soft Systems Methodology = SSM)に啓発されて、2冊以上の良書が作られております。

原著の翻訳に際して「訳者はしがき」で述べたように、原著が本格的な本であることから、システム論の標準的教科書となると考え、翻訳のプロジェクトを始めました。実際、原著の翻訳以降、チェックランドの著作が何冊か翻訳・出版されました。この分野の研究・実践に幾ばくでも貢献できたのならば、それに勝るよろこびはありません、

原著の翻訳を行ってから35年、増補改訂版が出て20年の時を経て、この増補改訂版の翻訳の機会を得たことは、原著が本として長命を保ったことの証であります。 (共訳者「復刊にあたって」より)


■著者紹介

ピーター・チェックランド(Peter Checkland)
マネジメント・サイエンティスト兼ランカスター大学のシステム科学名誉教授。1930年、イギリス・バーミンガム生まれ。システム思考・システム実践に基づく、ソフトシステム方法論(SSM)の開発者である。現実的な問題を、システム的に望ましく文化的に実現可能なソリューションで改善できるというシステム実践の分野を確立し、現在のデータサイエンスと組織変革マネジメント研究の先駆けとなった。1986年から、Society for General Systems Research(現・ISSS = International Society for the Systems Sciences)の会長を務めた。2007年、オペレーショナルリサーチへの継続的かつ重要な貢献が認められ、英国OR学会からビールメダルを受賞。2008年、米国のINCOSE(The International Council on Systems Engineering)からパイオニアアワード受賞。

原題:Systems Thinking, Systems Practice : Includes a 30-Year Retrospective by Peter Checkland

翻訳者

高原康彦、中野文平、木嶋恭一、飯島淳一、佐藤亮、高井徹雄、出口弘、堀内正博

目次

〔増補版〕
ソフトシステム思考の出現
ソフトシステム方法論 ―― 全体について
ソフトシステム方法論 ―― そのパーツ
ソフトシステム方法論 ―― 全体を見直す
ソフトシステム方法論 ―― その文脈について
結論
付録:システム理論とマネジメント思考
〔旧版〕
イントロダクション
第1章 システム論の主題
第1部 システム思考――科学としてのシステム運動
第2章 人間の活動としての科学 : その歴史と方法
第3章 科学とシステム運動
第4章 システム思考
第2部 システム実践――問題解決にシステム概念を利用するための行為研究
第5章 “ハード”システム思考――エンジニアの貢献
第6章 “ソフト”システム思考の発展
第7章 システム方法論の実践
第3部 結論
第8章 システム思考に対するシステム実践の意味
付録1 概念モデルの構築
付録2 システム研究を始めるための練習帳
増補改訂版の翻訳を終えて
(フェニックスシリーズ107)

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