相対性原理が解き明かすマーケットの仕組み本書はジョン・ボリンジャー自身によるボリンジャーバンド(標準偏差バンド)の解説書である "BOLLINGER ON BOLLINGER BANDS"の邦訳である。ボリンジャーバンドそのものは、あまりにも有名であり、ここで改めて解説するまでもないと思うが、移動平均線とボラティリティを基にした極めて統計学的に合理性のあるテクニカル分析ツールとして、知らぬものはないと言っていいと思う。 しかしその利用法については、巷に流布しているもののなかには必ずしも適切でないものもあったようである。著者自身が述べているように、ボリンジャーバンドに関する神話で最も有名なものは、価格が上部バンドと交差したときに売り、価格が下部バンドと交差したときに買うといった、平均値への回帰を前提とした逆張りでの利用法である。ところが、ボリンジャーは本書の中でそういった単純な利用法をやんわりと否定しているのである。むしろ彼の核となるテクニックは、ボラティリティ・ブレイクアウトにボリンジャーバンドを使った順張りである。これはほとんどの読者にとって驚くべき事実であろうと思う。 さて、ボリンジャーが一貫して本書で説く概念は、相対性、自主性、そして客観性である。 マーケットに限らず、絶対的な真実、尺度といったものは現実社会には存在しない。同じ事象に関しても、立場や考え方が異なれば理解や解釈の仕方が異なり、従ってそれに対する対応も異なってしかるべきなのである。著者が説くようにすべては相対的な存在であり、もし誰かが唯一絶対的なルールや尺度を当てはめてうまくやっていると主張したとしても、それは狭く限定されたパラダイムの中でのローカルルールに縛られているにすぎない。そしてもしそういった態度でマーケットに臨むならば、早晩苦い思いをすることになるであろう。 また、ボリンジャーは自主性についても多くのスペースを割いており、トレードにおいては、それが極めて重要であると言う。たしかに、わざわざ危険をおかしてマーケットに参加する以上、すべての意思決定、行動は他人から与えられたものではなく、あくまで自分が自分の意思で主体的に選び取ったものでなくてはならないはずである。
さらにボリンジャーはトレードにおける客観性を繰り返し説いている。特に価格とボリンジャーバンドとのタグそのものは、単独では決定的な意味をもたず、必ず他の何らかの指標による裏付けが必要であるというくだりは大変興味深い。またいわゆるシステムトレードにおける最適化の問題にも多くのページを割いており、そこでも客観性の重要さが強調されている。
「はじめに」より昔からの格言によると、市場で儲けるには、安く買って高く売るか、逆に高く売っておいて安く買い戻すかだという。しかし市場は、以前にもまして価格変動が激しくなり、パターンも複雑になっているのでこれを実行するのがだんだんと難しくなっている。世界中で最も先物取引が活発な(シカゴ取引所)の立ち会い場で生まれた寓話がある。それは、立ち会い場を治める神がいて、その神の定める規則はただ2つというものだ。ひとつは底値で買えるのは生涯で一度だけ、2つめは天井で売れるのも生涯で一度だけというものだ。もちろん、この寓話の意味するところは、逆に天井で買ったり底値で売ったりすることが如何に多いかということにある。
本書の目的は、株式を買った後でまだ値下がりが続く安値買いの罠や、売った後でどんどん値上がりが続く高値売りの罠など、投資家が陥りやすい数々の罠を避けるための手助けをすることにある。ここでは、昔ながらの感情に基づいた市場攻略法を相対的なフレームワークに置きかえることによって、綿密な価格評価を可能にし、絶対的な真実をあてにすることなく、一連の理性的な投資の意思決定を導きだすことを目的とする。安く買い高く売るのだが、それは“相対的な意味”で安い、あるいは高いからそうするのである。絶対的なものに頼ることは最小限にとどめたい。「高い」の定義はトレーディング・バンドの上部を指すものとし、「低い」の定義はその下部を指すものとする。さらにここでは、このフレームワークをあなたの好みとあなたの個人的なリスクー報酬特性の基準に合わせるため、多くの提案を行っている。 (つづきを読む) 目次第1部 序論第1章 はじめに 第2章 原材料 第3章 時間枠 第4章 継続的アドバイス 第5章 自主判断 第2部 基礎理論 第6章 歴史 第7章 構造 第8章 ボリンジャー・バンドの指標 第9章 統計 第3部 ボリンジャー・バンドの独自の働き 第10章 パターンの識別 第11章 ファイブ・ポイント・パターン 第12章 W型ボトム 第13章 M型トップ 第14章 バンド・ウォーク 第15章 スクイーズ 第16章 メソッド・:ボラティリティー・ブレイクアウト 第4部 ボリンジャー・バンドに用いる指標 第17章 ボリンジャー・バンドと指標 第18章 出来高指標 第19章 メソッド・:トレンドのフォロー 第20章 メソッド・:反転 第5部 応用課題 第21章 指標の標準化 第22章 デイトレーディング 第6部 要約 基本原則15条まとめ 用語集 著者紹介ジョン・ボリンジャー John Bollingerボリンジャー・キャピタルマネジメントの創始者兼社長。同社は個人、企業、信託会社、退職年金基金に対してテクニカル分析に基づくマネー・マネジメント・サービスを提供する投資マネジメント企業である。ボリンジャー・キャピタルマネジメントはまた、機関や個人に対する資産点検手法を開発し、そのサービスを行っている。ボリンジャー氏は、「キャピタルグロース・レター」を発行し、CNBCで週間論評と市場分析を行っている。同氏は長年ファイナンシャルニューズ・ネットワークの主席マーケット・アナリストを勤めた。また、「ウォールストリート・ジャーナル」、「インベスターズ・ビジネスデイリー」、「バロンズ」、「テクニカル・アナリシス・オブ・ストックス・アンド・コモディティーズ」、「ニューヨーク・タイムズ」、「ロスアンジェルス・タイムズ」、「USAトゥデイ」などの刊行物に対する頻繁な寄稿者であり、花形の投資専門家である。現在「ボリンジャーバンドレター」にて、マーケットレポート配信およびポートフォリオを公開中。 (ウィザードブックシリーズ29) |
成田氏による解説動画動画右下の「YouTube」クリックで、YouTubeのパンローリングチャンネルで視聴ができます。 ボリンジャーバンドとボリンジャーバーの活用法ボリンジャーバンド 中央バンドの設定ボリンジャーバンド スクイーズの解説 |
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