前作でも紹介したとおり、著者が優待バリュー株投資という手法に至り、数億円の資産を築くことになった過程で、数多くの投資本に接してきた経験が生かされた。
当初、著名投資家の戦術に従いかろうじて生き延びていた著者は、やがて「著名なプロ投資家といえども常に正しいわけではないこと」「どのように考え工夫しても投資では負ける場合もあること」を知る。そこで、本格的に取り組んだのが、数多くの本を読みあさり独学で投資知識を深めること。この頃に買った本には『生き残りのディーリング』『カウンターゲーム』『ピーター・リンチの株で勝つ』『バフェットのポートフォリオ』などがある。
その後、バリュー投資一筋になってからは、難解で半分も理解できない『バリュー投資入門』のような名著にも挑戦。“量をこなせば、いつかは質に変換するはず”という確信のもと、名著とされる投資本を次々と読破。難しくて最初はよく理解できなかったものも、市場での経験を積みながら繰り返し読むにつれて、“知識が複利で膨れ上がって”少しずつ理解できるようになっていく。数年後に気付いた時には、いつの間にか自分の血肉となったと実感できるように。
やがて著者は読書の興味の対象を広げ、モメンタム投資の名著(リバモア、ワイコフ、ダーバス、オニール、ミネルヴィニら)に没頭し『ウォール街のモメンタムウォーカー』などから大きな影響を受けた。また、長く勝ち抜いている投資家はメンタルが強靭で安定していることに気づき、相場心理学・行動経済学に関する本も大量に読み始め、『リスクの心理学』などから多くのことを学んだという。「良い投資本は、定価の数千倍の利益を生み出してくれる可能性がある」ことを実体験として学び、高価な本も買うようになる。
その著者が、ブログ「みきまるの優待バリュー株日誌」で連載し、多くの読者に支持を得てきた人気シリーズの書籍化に踏み切ったのが、前作『みきまるの【書籍版】株式投資本オールタイムベスト』だ。
今回は、前作でも章立てした「バリュー」「モメンタム」「インデックス」に、“『マーケットの魔術師』から広がる世界”“相場心理”“日本の投資家”の3ジャンルを加えた構成で、前作より幅広く、読書観や投資思想を披露し語りつくす。 前作と合わせれば、さらに深いマーケットの知恵や儲けるコツを学べる一冊になるだろう。読者にもぜひ「大量の投資本を読むことによって、積み上がった知識が有機的に繋がり、同時に自分の投資家としての“足りないところ”が次々と明白になった」という著者の読書体験をなぞってみてほしい。
あとがき
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