副題:上げ相場でも下げ相場でもブラックスワン相場でも利益を出す方法
本書は上げ相場でも、下げ相場でも、まったく予期しない相場でも利益を上げることができるトレード戦略について書かれたものである。ブル相場であろうと、ベア相場であろうと、経験や統計で予測できないブラックスワン相場であろうと、簡単で再現性のあるルールを適用し、トレンドが変わる瞬間までトレンドに従うことでだれでも市場で利益を出すことができるのだ。彼の古典をベストタイミングで全面改訂した本書では、トレンドフォロー戦略をリスク、利点、人々、システムに焦点を当てて分析している。何百万ドルも稼いだトレーダーや彼らの成功と失敗から、多くのことを学べるはずだ。こうした話は本書でしか読むことはできない。さらにトレンド哲学や、それがブーム、バブル、パニック、大暴落のときにどう機能したかも学ぶことができる。しっかりとしたデータと動かぬ証拠、そして行動ファイナンスを駆使して、トレンドフォローの中核となる原理を突き詰めた本書は、新米トレーダーからプロトレーダーまであらゆるトレーダーにとって役立つはずだ。市場からアルファを引き出すにはどうすればよいのか。その答えは本書のなかにある。
この改訂版では7人のプロトレーダーへのインタビューと彼の独自ネットワークを使って取得したトレンドフォローの研究論文が新たに加えられ、今日的なトピックが満載されている。パッシブインデックスファンドを超えた耐久性のあるポートフォリオを構築したい人、FRBを信じてばかりもいられないと思う人にとって、これほどパーフェクトな本があるだろうか。
「マイケル・コベルの本は絶対に手に取るべきだ」――エド・スィコータ(『マーケットの魔術師』に登場した伝説的トレンドフォロワー)
「トレンドフォローの哲学とその裏にある考え方(なぜそれが機能するのか)を網羅している本書はトレンドフォロー版『マーケットの魔術師』と呼ぶにふさわしい本だ」――バン・K・タープ(『マーケットの魔術師』に登場するトレーディングコーチ兼『新版 魔術師たちの心理学』『トレードコーチとメンタルクリニック』『タープ博士のトレード学校』[いずれもパンローリング]の著者)
「本書にはトレンドフォローマネジャーがなぜマネーマネジメントの分野で成功しているのか、そして、彼らがリスクと投資心理をどう管理しているのかについて多くのことが語られている。投資家は総合的なポートフォリオ戦略の一環としてトレンドフォローマネジャーを使うべきである。本書はその根拠を示している」――トム・バッソ(『新マーケットの魔術師』に登場するトレーダー兼『トム・バッソの禅トレード』[パンローリング]の著者)
「本書はすべての投資家が読むべき本だ。なぜなら、投資家がお金を稼ぐためにはトレンドが必要で、トレンドが変われば投資家はそれについていく(フォローする)必要があるからだ。ぜひとも一読をお勧めする」――ウェスリー・R・グレイ(アルファ・アーチテクトのCEO兼『ウォール街のモメンタムウォーカー』[パンローリング]の著者)
「本書を読みながら、彼のポッドキャストからの情報収集もお忘れなく。コベルはインタビューの天才で、偉大なトレーダーのポッドキャスト上でのインタビューは楽しいばかりでなく、ためにもなる」――アレクサンダー・エルダー(『投資苑』[パンローリング]の著者)
「規律あるアプローチを使ってリスクを限定し利益を最大化する方法を学ぶことができるという意味で、傑出した書籍という以外にない」――マーク・ファーバー(マーク・ファーバー・リミテッドの社長、Gloom, Boom & Doom Reportニュースレターの編集長)
「ひとたびお金の問題になると、だれもかれも同じ宗派になる」――ボルテール
序文
まえがき
第1章 トレンドフォロー
投機
勝つか負けるか
投資家かトレーダーか
ファンダメンタルズかテクニカルか
裁量かシステマティックか
ありきたりだけど重要なこと
変化は人生そのもの
トレンドが方向転換して終わるまでトレンドについていけ
波に乗る
第2章 偉大なトレンドフォロワーたち
デビッド・ハーディング
ビル・ダン
ジョン・W・ヘンリー
エド・スィコータ
キース・キャンベル
ジェリー・パーカー
セーラム・エイブラハム
リチャード・デニス
リチャード・ドンチャン
ジェシー・リバモアとディックソン・ワッツ
第3章 パフォーマンスの立証
絶対リターン
ボラティリティとリスク
ドローダウン
相関
ゼロサムゲーム
ジョージ・ソロス
バークシャー・ハサウェイ
第4章 ビッグイベント、大暴落、パニック
ビッグイベント1――大規模な景気後退
ビッグイベント2――ドットコムバブル
ビッグイベント3――LTCM
ビッグイベント4――アジア通貨危機
ビッグイベント5――ベアリングス銀行の破綻
ビッグイベント6――メタルゲゼルシャフト社
ビッグイベント7――ブラックマンデー
第5章 既成概念を打ち破れ
野球
ビリー・ビーン
ビル・ジェームズ
統計の時代
第6章 人間の行動
プロスペクト理論
心の知能指数(EQ)
NLP
トレーディングトライブ
必要なのは博士号ではなく好奇心
全力で取り組む
第7章 意思決定
オッカムの剃刀
素早くてシンプルな意思決定
革新者のジレンマ
過程と結果と直感
第8章 科学的手法
批判的な思考
線形か非線形か
複利運用
第9章 聖杯
バイ・アンド・ホープ
ウォーレン・バフェット
敗者はナンピンする
愚かなことは避けよ
第10章 トレードシステム
リスク、リワード、不確実性
システムについての5つの質問
あなたのトレードシステム
よくある質問
第11章 ゲーム
受け入れる
私を責めないで
レバレッジを下げれば、リターンも下がる
運は勇敢な人に味方する
第12章 エド・スィコータ
第13章 マーティン・ルエック
第14章 ジャン・フィリップ・ブショー
第15章 ユーアン・カーク
第16章 アレックス・グレイザーマン
第17章 キャンベル・ハーベイ
第18章 ラッセ・ヘジ・ペダーセン
第19章 数百年にわたるトレンドフォローの考察
トレンドフォローの物語――その歴史の研究
数世紀にわたるリターンの特徴
数世紀にわたるリスクの特徴
数世紀にわたるポートフォリオのメリット
まとめ
付録――含まれる市場と関連する前提
第20章 200年にわたるトレンドフォロー
序論
先物のトレンドフォロー――1960年以降
時系列の拡張――各商品の時系列データ
200年にわたるトレンド
結論
第21章 トレンドフォローは量ではなくて質が重要
要旨
さまざまなトレンドフォローモデル
異なるトレンドフォローモデル間での分散化
アスペクトのトレンドフォローアプローチ
アスペクトのモデルとほかのトレンドフォローモデルの比較
結論
付録
第22章 トレード戦略の評価
科学のほかの分野における検証
候補となる戦略の再評価
多重検定の2つの考え方
第一種過誤と第二種過誤
シャープレシオの低減
S&PのキャピタルIQ
インサンプルとアウトオブサンプル
トレード戦略と金融商品
限界と結論
第23章 ブラックボックス化されたトレンドフォロー――ベールをはがす
概説
私たちが提案する戦略
パフォーマンス結果とグラフ
セクターパフォーマンス
買いと売りのパフォーマンス
パラメーターの安定度
CTAはSP500に対する分散効果やヘッジ能力を持つのか
まとめ
第24章 リスクマネジメント
リスク
リスクマネジメント
最適な賭け
直感とシステム
シミュレーション
ピラミッディングとマルチンゲール
最適化――シミュレーションを使用
最適化――計算を使用
最適化――ケリーの公式を使用
運、ペイオフ、最適固定比率の関係
バランスの悪い分布と高いペイオフ
「ほぼ確実な死」戦略
分散
アンクルポイント
ポートフォリオボラティリティの測定――シャープレシオ、VaR、レイクレシオ、ストレステスト
ストレステスト
ポートフォリオの選択
ポジションサイジング
心理面の考察
リスクマネジメント――まとめ
第25章 先物トレードで掘り出し物をつかむ方法
序論
先物トレードで掘り出し物をつかむ方法
トレンドを追いかけるのは大変な仕事
プロはどのようにトレードしているのか
プロのコンピューターモデル
血も凍るような事実
謎を解く――なぜGRABシステムは負けるシステムなのか
市場との呼吸が合わない
さらに悪いことに、最高の動きを見逃す
利益が出ることは心地が悪い?
GRABトレードシステムの詳細
支持線のブレイクで買い、抵抗線のブレイクで売る
検証を行うことで予期しなかった振る舞いが明らかになる
GRABシステムの性質はパラメーター値の違いによって決まる
GRABトレードシステムのコード
第26章 戦略的マクロ投資はなぜ今も有効なのか
序論
マネージド・フューチャーズ
マネージド・フューチャーズとCTAの定義
機関投資家はマネージド・フューチャーズやCTAをどう見ているのか
歪度と尖度
データ
基本的な統計量
株式・債券ポートフォリオにヘッジファンドを加えるか、それともマネージド・フューチャーズを加えるか
ヘッジファンドとマネージド・フューチャーズのポートフォリオ
株式、債券、ヘッジファンド、マネージド・フューチャーズをすべてポートフォリオに組み込む
結論
付録A
付録B
付録C――歪度と尖度の再考
第27章 あらゆるところに存在するキャリーとトレンド
キャリーとトレンド――定義、データ、実証研究
金利先物のキャリーとトレンド
さまざまな資産クラスのトレンドとキャリー
さまざまな金利制度におけるキャリーとトレンド
結論
第28章 究極の偽善
エピローグ
あとがき ラリー・ハイト
トレンドフォローのポッドキャストエピソード
謝辞
著者について
注釈
参考文献
さて、現在のCTA(商品投資顧問業者)業界においては多くの運用会社がこの手法をとっている。そのパフォーマンスプロファイルは伝統的資産と直交しており、既存のポートフォリオに加えると優れた分散効果をもたらすことが知られている。特に、金融危機のような不測のインシデントの際には各種の投資戦略のなかで唯一ポジティブなリターンをもたらすことが実証されている。だが、それもかかわらず、資産運用業界にあってトレンドフォロー戦略は今もって特異な存在である。その理由は、先物市場が株式や債券といった有価証券の市場とは性質を異にすることに一因があるが、逆に、その性質自身が先物市場におけるトレンドフォロー戦略を有効ならしめているのである。
私たちは少しだけ話をした。しかし、彼が控えめにしているところを見ると、おしゃべりになど興味はないことは明らかだ。私たちは2人とも駐車係のほうに向かっている(こういった場所では自分で車を駐車することはなく、駐車係が駐車してくれる)。次の瞬間に起こったことは忘れられない。
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