エドウィン・ルフェーブルの『欲望と幻想の市場』を彷彿させる本書は、先物のデイトレードで1年に100万ドルの利益を上げたトレーダーの浮き沈みや成功と失敗を内側から見せてくれる。この詳細な日誌のなかで、ミラーは安定的な利益を上げるために、ミスや計算違いや自滅的な行動といった地雷を避けて注意深くトレードしていく様子を、隠すことなく見せてくれている。本書には、2008〜2012年にかけた彼のトレード日誌の一部と、2004〜2011年にかけて彼が行った先物でのトレードのパフォーマンス(約2000日分の実際のトレード結果と分析)が掲載されている。
本書を読めば、筆者が毎日トレードをするという挑戦を続けることで集中と意欲、攻撃性の抑制、そしてトレードの場に行くこと(特に寝不足の朝であっても)の重要性を学んでいった過程を読者も経験することができる。彼が日々刻々と成長していく様子を日誌を通じてたどっていくと、彼がどのようにして自分の強みや弱みを理解したり、日々の目標を達成したりしなかったり、結果を分析したり、学んだことのすべて(スポーツやポーカーや人生で得た価値ある洞察を含めて)を先物のトレードに応用してきたかが分かるだろう。
もしあなたが仕事を辞めてフルタイムのトレーダーになることを考えているならば、本書はあなたがしようとすることを具体的に見せてくれる。彼の成功までの道のりは、有頂天と挫折が断続的に繰り返す困難に満ちたものだった。彼の念入りな計画と知性と献身をもってしても、トレードを始めた当初はみんなと同じように訓練不足と未熟さから損失に見舞われる経験をした。それでも彼は屈辱を味わったあと、そこから学び、やがて成功を収めた。ミラーの失敗が分かれば、あなたは彼が犯したミスを避けることができるだろう。
本書は、トレードの成功には単純にチャートを読む以外にも多くのことが必要だということを教えてくれる。それはトレードが数字をやりくりするだけではなく、マーケットやほかのトレーダーや自分自身との戦いだからだ。スポーツと同じで、勝利は優れた計画と練習と実行の賜物であり、自分のプレーができなければ負けは見えている。もしあなたがフルタイムのトレーダーでも、パートタイムのトレーダーでも、トレーダーになることを検討しているだけでも、著者の洞察に満ち、示唆に富んだ心の内をのぞくことで、勝者のトレードをするために不可欠な教えを受けることができるだろう。
「私は、ミラーが大勢のフルタイムのトレーダーを前にして、ライブトレードで利益を上げる様子を2日間にわたって見る機会に恵まれた。彼が教える手法は堅実で、何よりも安定的に勝つことができることは本書を読めば分かる。ミラーの生活に密着し、彼の実際のトレードと考え方を同時に見ることができる本書は、従来のトレード本の範疇をはるかに超えている。デイトレードを極め、実際に何年も成功を続けてきたトレーダーから直接学びたい人にとって、これは必須の書と言える。ぜひ読んでほしい」――ローレンス・コナーズ(『コナーズの短期売買戦略』『コナーズの短期売買実践』『高勝率システムの考え方と作り方と検証』[パンローリング]の著者)
「私はミラーがトレードする様子を数年にわたって直接見てきたが、率直に言って彼は最高のトレーダーのひとりである。本書は啓発的であるとともに、成功したトレーダーの考え方を理解する助けになる」――スティーブ・デマレスト(MBトレーディング社長)
はじめに
「レース」
目の前のニンジン
本書の構成
2008年7月4日(金) 初登場
公開したトレード日誌の意図と使い方
日誌をつけることとパフォーマンス
自信と謙虚さのバランス
竹とチャンス
トレード本ではあるけれど
パート1 始まり
幼いころのトンネルの時代
遅咲きの人生
最初の仕事
仕事を辞めない
どん底から這い上がる
展望の変化
勝負をかけるチャンス
パート2 100万ドルのレースを記録する
2008年7月の日誌より
2008年7月4日(金) 礎
2008年7月5日(土) なぜうまくいったのか
2008年7月6日(日) ポーカーの効果
2008年7月11日(金) もう分かっただろう
2008年7月14日(月) 今日からは日中に日誌を書く
2008年7月17日(木) 時間外取引のバイアス、計画とトレード
2008年7月22日(火) 強みを生かせ
2008年7月23日(水) 教科書どおりの「トレンド日の翌朝」
2008年7月24日(木) マーケットのバイアス
2008年7月25日(金) 朝のトレード
2008年7月28日(月) ファウルにする
2008年7月30日(水) まだ仕事は残っている
2008年8月の日誌より
2008年8月2日(土) グレースの物語
2008年8月5日(火) FOMCの開催日
2008年8月6日(水) FOMCのあと
2008年8月7日(木) ブラインドとアンティと忍耐
2008年8月8日(金) 1回はだまされたが……
2008年8月11日(月) リズムの変化
2008年8月13日(水) 2つのマーケットの話
2008年8月18日(月) トレンド日
2008年8月19日(火) とにかくプラスで終わればよい
2008年8月20日(水) ボラティリティ再び
2008年8月21日(木) レンジ、レンジ、ブレイク
2008年8月22日(金) 電話を持ったまま
2008年8月26日(火) 銀なのか、金なのか
2008年8月27日(水) ちょっと一息
2008年8月30日(土) 地表に向かって掘る
2008年9月の日誌より
2008年9月4日(木) ゾーンに入っている
2008年9月8日(月) 最高のパフォーマンスとはいかなかった
2008年9月9日(火)
2008年9月10日(水) 堅実なパフォーマンス
2008年9月11日(木) 午前中は攻撃、午後は守備
2008年9月12日(金) 楽しいことには……
2008年9月18日(木) マーケットの恵み
2008年9月19日(金) 忘れ難い週
2008年9月23日(火) 最終ラップに向けてハードルを上げる
2008年9月26日(金) 「トレード」を手仕舞う
2008年9月30日(火) ここからが難しい
2008年10月の日誌より
2008年10月6日(月) 混乱の月曜日
2008年10月6日(月) 混乱後の分析
2008年10月7日(火) 仕事に戻ろう
2008年10月8日(水) 86%を回復する
2008年10月10日(金) 惨事を避ける
2008年10月15日(水) 休日
2008年10月17日(金) 7回表で見限る
2008年10月21日(火) グチャグチャ言うな、ドン
2008年10月22日(水) 壁にぶつかる
2008年10月23日(木) 立場が違うぞ
2008年10月23日(木) 虎の目
2008年10月24日(金) 防御的勝利
2008年10月28日(火) 地雷を避ける
2008年10月29日(水) 出遅れた
2008年10月30日(木) ファイナルテーブルにようこそ
2008年10月31日(金) 朝の強み
2008年10月31日(金) 10月のまとめ
2008年11月の日誌より
2008年11月4日(火) 新しいゲームのようだ
2008年11月10日(月) 戦いだ
2008年11月12日(水) 冷えたエンジンを始動する
2008年11月13日(木) 急がないとやられるぞ
2008年11月15日(土) モメンタムの力
2008年11月20日(木) Bのゲームを管理する
2008年11月21日(金) トレードスタイルは問わない
2008年11月25日(火) 荒いペース
2008年11月26日(水) TICKの教え
2008年11月28日(金) 警告サイン
2008年11月29日(土) ゴールを調整する
2008年12月の日誌より
2008年12月3日(水) 針路を維持せよ
2008年12月6日(土) 「たったひとつの大切なこと」
2008年12月10日(水) だれのせいか
2008年12月11日(木) 復活
2008年12月12日(金) 今週をふり返って
2008年12月15日(月) すべきことをしたのか
2008年12月17日(水) 残りの2ストローク
2008年12月19日(木) そのときが来た
2008年12月26日(木) 目標1ドルの年
2008年12月29日(木) 年末の成績表
2008年12月31日(水) 今日は踊ろう
パート3 レースのあとに――2009年の挑戦より抜粋
2009年1月22日(木) ジェットコースターのような1日
2009年1月11日(日) ジャズトレーダー
2009年2月10日(火) ゴミ箱行きの日
2009年2月11日(木) 日が昇った
2009年3月11日(水) 不愉快な時間
2009年3月11日(水) さらなる解説
2009年4月4日(土) 40歳以降の人生
2009年5月16日(土) すべての始まり
2009年5月16日(土) ほんの少し足りない
2009年6月17日(水) デンタルフロスをする理由
2009年6月25日(木) 夏の休暇の過ごし方
パート4 ジェリートレーダーの誕生
起源
メンバー選び
メンバーのコメント
2009年8月19日(水) 「ノーカントリー」
2009年8月22日(土) チームワークと単純さ
2009年9月22日(火) 成功へのカギ
パート5 ジェリープログラムのあと――2010〜2012年の日誌より抜粋
2010年1月8日(金) ポーカーとトレードと集中
2010年1月29日(金) 職場の安全
2010年4月18日(日) 人生の「、」に注目する
2010年3月25日(木) クビだ
2010年5月8日(土) 急落の分析
2010年9月21日(火) お金は眠らない
パート6 MFグローバルの破産
2011年11月4日(木) MFグローバルという氷山に乗り上げて凍りつく
種類の違うトレード
2011年9月22日(水) 勝利
パート7 上がったあとは……
動いている物体は動き続ける
マクロレベルのトレイリングストップ
百聞は一見にしかず
パート8 最後に
付録――日誌とジェリーで使用した略語と頭字語
参考文献
ところで、読者のなかにはトレード手法について強い関心を持つ方もおられると思う。初めに書いておくが、著者のトレード手法はトレンド日の翌日にフォーカスし、DAXの動きやTICKおよびVIXを参考指標とする短期トレードであり、これと言って特に際立ったものではない。したがって、単にトレード手法だけを見た場合は、本書の価値や新規性は分かりにくいし、ミラーの成功の理由にも謎が残ることになる。
では、あの困難な年に、著者が安定的かつ高いパフォーマンスを残せた背景は何だろう? (続きを読む)
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