世界中の著名なスポーツ選手や政治家、実業家などが実践している考え方がある。ギリシャ哲学ストア派の思想である。誰でも一度は「ストイック」という言葉を耳にしたことがあるだろう。「ストイック」というのはストア派に由来するが、禁欲的とか感情を殺すとか、自分に厳しいイメージが強い。しかしこれはまったくの誤解である。哲学と聞いただけで敬遠してしまいがちだが、本書はそれらの哲学書とは一線を引く。1日1節の読み切りとなっていて入りやすい。
3つの原則「ものの見方」「行動」「意志」に沿って構成され、毎月、特定のテーマに焦点を当てる。そして毎日、新たな視点を示す哲人の言葉を紹介し解説を加えている。
本書を手にとる人のなかには、ストレスを抱える人、過労で苦しむ人、あるいは何か依存症と闘っている人もいるかもしれない。年齢や職業・立場に関係なく、そしてどんな苦難に陥っていようとも、ストア派の知恵はきっと役に立つ! ストア哲学が歴史上の偉人や現代の著名な人々に支持されるのも、人生の苦境に耐え抜く強さと耐力を教えてくれるからなのだ。
誰の人生にもさまざまな苦難が立ちはだかるが、それを苦難ととらえるのは自分自身。物事はただそこにあるだけ―よいも悪いもないのだ。どうすれば悩みのない境地にたどり着けるのか。その答えがここにある。あとは実践するだけだ。
「『ストア派哲学入門』は豊かな恩恵のある、実践的な知恵の泉である。この知恵を得れば、自分でコントロールできるものに集中し、身を縛る誤った思い込みを捨て去り、もっと的確な行動がとれるようになる。毎日読み進めるうちに、心の曇りが晴れて、物事がうまく回り出し、心の平静が得られることだろう」
――ジャック・キャンフィールド
『あなたの潜在能力を引き出す20の原則と54の名言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『絶対に成功を呼ぶ25の法則』(小学館)および『こころのチキンスープ』(ダイヤモンド社)シリーズの共著者
「『ストア派哲学入門』はまさに宝である。これがあれば、正しい選択をし、自己欺瞞の罠を避け、物事の真の価値にふさわしい行動をとることができるようになる。それも絶えず公益を考えながら。こんなふうに魂を気遣うならば、一人ひとりがよい人間になるばかりか、強靱な社会さえも生まれるだろう」
――ジョゼフ・A・マチャレロ
『ドラッカー 365の金言』『プロフェッショナルの原点』(ダイヤモンド社)
『ア・イヤー・ウィズ・ピーター・ドラッカー(A Year with Peter Drucker)』の著者
スティーブン・ハンゼルマン(STEPHEN HANSELMAN)
30年以上出版業に携わり、書籍販売、出版、著作権代理業を手がけてきた。ハーバード大学神学大学院の出身であり、同大学院で修士号を取得したほか、ハーバード大学哲学部でも幅広く学んだ。ニュージャージー州サウスオレンジに家族と住んでいる。
ストア派の実践方法を詳しく知りたい方や、『デイリー・ストイック』のEメールを購読したい方は、下記サイトまでどうぞ。 www.DailyStoic.com
Part 1 ものの見方
1月 曇りなき精神
2月 情念と感情
3月 自覚
4月 偏りのない思考
Part 2 行 動
5月 正しい行動
6月 問題解決
7月 務め
8月 プラグマティズム(実用主義)
Part 3 意 志
9月 胆力と粘り強さ
10月 徳と親切
11月 受容/運命愛
12月 死の運命を考える
ずっとストア派でいる
後期ストア派の実践の体系およびキーワード一覧
翻訳・参考文献・出典について一言
さらに学びたい方のために
ライアン・ホリデイの「苦境を好機にかえる法則」「エゴを抑える技術」に関わったことで、この「ストア派哲学入門」の編集はとてもスムーズに進めることができた。すでに「苦境」本では「正しいものの見方」を学び、「エゴを抑える技術」では「思いがけない自分の内に潜むエゴ」に気づいたことで(愕然とし大赤面したが)、ストア派の思想の真髄ともいえる考えを知ることができたからだ。
これまで多くのすばらしい言葉に多くの気づきを得てきたが、系統だった思想に触れたのはストア派哲学が初めてだ。と言っても、ほんの上辺をなぞっただけにすぎないが……。
今回編集という仕事を通じてストア派に出合えたことは、自分の人生でも画期的なできごとだと感じている。これまでは、どうにもならないことに揺れて悩んでいたが、そういう自分を軌道修正できるようになったのだ。それもたった一瞬で! ストア派の考え方――自分が変えられることにエネルギーを向けよう――を思い起こすことで、心の霧が晴れる! 他者の考えや過去のこと未来のことなどは、悩んでどうなるものではない。
「自分の力がおよばないことにエネルギーを注いでも意味がないではないか」「イヤ、意味がないだけではない。時間の無駄、エネルギーの無駄、そしてそこから生じる疲弊はとてつもない人生の損失ではないか」というアウレリウスの声が聞こえてくるようになった(笑)。そう気づくことで気持ちの切り替えができる。
本書ではストア派を研究しつくした著者が、私たちの日々に有用な哲人たち(主にマルクス・アウレリウス、セネカ、エピクテトス)の言葉を毎日1節366提示している。「生まれて、生きて、死ぬ」という人間の営みは、過去も現在も未来もずっと変わらない。だからこそ、2000年前に生きた人びとの知恵が、今の自分の心に直に語りかけてくるのだ。 本音をいえば、ライアン・ホリデイの前著2冊を先に読んでから、本書に入るほうがより理解しやすいと思う。なぜなら前2冊を読むことで、3人三様の人生の背景や視点が見えてくるからだ。好みをいえば、私はアウレリウスに心ひかれる。不本意にもローマ皇帝となったアウレリウスは、直面する多くの困難のなかで揺れる自分を叱咤しつづけた。その姿勢は胸に迫るものがある。
こんなふうにストア派の哲人たちをほんの一片でも語れるようになれたことは、とてもステキなことだと思う。著者ライアン・ホリデイに感謝したい。
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