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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/17 12:01, 提供元: フィスコ

藤商事 Research Memo(1):2026年3月期は、下期の新機種投入効果で前期並みの営業利益を目指す

*12:01JST 藤商事 Research Memo(1):2026年3月期は、下期の新機種投入効果で前期並みの営業利益を目指す
■要約

藤商事<6257>は、パチンコ・パチスロ遊技機の中堅メーカーで、独創的な企画開発力に定評がある。「アニメ」「萌え」「ホラー」のIPを活用した機種開発に注力し、販売シェア拡大を目指す。無借金経営で手元キャッシュは潤沢で、財務の健全性は高い。

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期(2025年4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比64.8%減の8,851百万円、営業損失が3,753百万円(前年同期は5,725百万円の利益)と大幅な減収減益となった。新機種の投入が前年同期よりも少なかったことが主因で、パチンコ遊技機では新規タイトル2機種を発売し(前年同期は3機種)、売上高が同58.1%減の8,850百万円となった。またパチスロ遊技機は新機種投入がなく(同1機種)、4,005百万円の減収要因となった。減収に加えてスマートパチンコ中心の販売による本体販売比率の変化により売上総利益率が同8.0ポイント低下したこと、研究開発費が同583百万円増加したことも減益要因となった。投入した新機種のうち、7月に発売した「e女神のカフェテラス」は販売台数こそ計画を下回ったものの、業界最高峰の出玉性能や超美麗映像による演出が顧客から高い支持を受け、発売2ヶ月後でも高稼働を維持するなど今後に期待が持てる状況だ。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は売上高が前期比5.5%増の36,500百万円、営業利益が同2.9%減の3,100百万円と期初計画を据え置いた。販売台数はパチンコ遊技機で同22.3%減の58千台、パチスロ遊技機で同57.3%増の28千台を計画している。パチンコ遊技機は下期にメイン機種を1〜2機種投入するほか、シリーズ機種も含めて中間期の下振れ分の挽回を図る。一方、パチスロ遊技機は2〜3機種を投入する。増収にもかかわらず若干の減益を計画しているのは、研究開発費で約10億円、広告宣伝費で約4億円の増加を計画しているためだ。ただ、費用については毎年多めに予算を取る傾向にあり、新機種の販売台数が計画をやや下回ったとしても利益ベースでは計画並みの水準が見込まれる。

3. 成長戦略
同社ではここ最近、「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」のように若者世代を中心に高い支持を受けているコンテンツの版権を積極的に取得し、人気機種に育て上げている。2026年3月期も第4四半期にスマパチ「e異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜※」を投入する予定だ。スペックはライトミドル機で遊技しやすい仕様となっており、販売台数や稼働力が注目される。遊技機市場全体は緩やかな縮小傾向が続いているものの、同社の販売シェアはパチンコ遊技機で9%前後、パチスロ遊技機で3%前後と低く、シェアを拡大することで収益を伸ばす余地は十分にある。パチンコ遊技機市場では、現在設置率で約2割となっているスマパチの普及が今後進む見通しで、独創的な企画開発力を強みとする同社にとってシェア拡大の好機となる。「アニメ」系タイトルの積極投入とあわせて、SNSを活用したプロモーション戦略によりファン層の拡大を図り、収益成長につなげる戦略だ。また、パチスロ遊技機では開発ラインを増強し、年間投入機種を増やしながらシェア拡大を目指す。販売シェアの当面の目標として、パチンコ遊技機で10%以上、パチスロ遊技機で5%以上を掲げている。

※ 「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜」はライトノベル作品で2018年に書籍版が刊行され、2025年7月時点で全世界シリーズ累計400万部を突破する人気作品。2023年にテレビアニメ化され、2026年3月末にスペシャルアニメの放送が決定している。

4. 株主還元策と企業価値向上に向けた取り組み
同社は配当方針として、1株当たり50.0円を下限に業績連動部分として連結配当性向30%以上を目安に実施することを示している。これにより2026年3月期の1株当たり配当金は、前期と同額の55.0円(連結配当性向52.3%)を予定している。同社の株価はPBRで1倍を下回っているが、今後も経常利益で30億円以上の水準を継続し(株主資本コストを上回るROE)、配当方針の継続やIR活動の強化に取り組むことで企業価値を高めていく考えだ。

■Key Points
・2026年3月期中間期は新機種投入が少なく、営業損失を計上
・2026年3月期は期初計画を据え置き、下期投入の新機種で巻き返しを図る
・独創的な企画開発力を強みに販売シェアを拡大し、収益成長を目指す
・2030年3月期にPBR1.0倍、ROE8.0%を目標として掲げる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



《HN》

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