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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/25 14:04, 提供元: フィスコ

ベイシス Research Memo(4):ストックビジネスの安定性と全国対応力、テクノロジー活用で競争優位

*14:04JST ベイシス Research Memo(4):ストックビジネスの安定性と全国対応力、テクノロジー活用で競争優位
■強み

ベイシス<4068>の強みは、売上の大部分を占めるストックビジネスの安定性、大手通信工事会社とは異なる得意領域、高い技術力を持つエンジニアと全国展開を可能にするパートナー網、さらにテクノロジーを活用した効率化にある。これらにより通信やIoTの分野で優位性を確立している。

(1) ストックビジネスの安定性
通信キャリアから直接依頼を受けるインフラ関連業務には、5GやWi-Fi設備などの構築・工事と、運用・保守・監視といった業務がある。同社では構築・工事などのフロービジネスが売上高の2〜3割にとどまる一方、継続性の高いストックビジネスが7〜8割を占める点が強みとなっている。取引先はソフトバンク、楽天モバイル、KDDI、NTTグループと幅広く、全通信規格に対応できる体制を持つ。

IoT分野では、電力・ガス会社との取引実績が多く、現在はスマートメーターへの切り替え案件が多い。電力会社向けはピークを過ぎたとみられるが、ガス会社向けが本格化しているほか、交換需要や故障対応で安定した案件が見込まれる。防犯カメラや各種センサーなど多様なIoT機器の設置も拡大しており、今後は保守・運用・管理を伴うストックビジネスへの比重が高まる見通しである。

なお、総務省「5Gの整備状況(令和5年度末)の公表」によると5Gは人口カバー率が98%を超えた。そのほとんどが6GHz未満の周波数帯である「Sub6」と呼ばれる周波数帯によるものだ。30〜300GHzの周波数帯であるミリ波と比べ減衰が少なく、広域まで電波が届き、障害物があっても回り込んで届くという特徴がある。ただし、速度と同時接続の性能に関してはミリ波に大きく劣る。消費者が真の5Gを体感するためにはミリ波によるサービスが必要となるため、5Gに関連するインフラ構築需要は今後も継続すると弊社は考えている。

(2) 大手通信工事会社とは異なる得意領域
同社は大手通信工事を手掛けるミライト・ワン<1417>やエクシオグループ<1951>などが類似企業として取り上げられやすいが、実際には得意領域が異なり競合は少ない。大手通信工事会社が主に手掛けるのは基地局工事などのフロービジネスであり、同社の主力である運用・監視・保守といったストックビジネスでは競合しない。むしろ、かつてはメーカー子会社などが担っていた領域を直接受注する形に移行しており、低コスト構造と合わせて他社が参入しにくい市場環境を築いている。

また、同社が手掛ける業務は、現場で工事を行う業務とパソコンで監視する業務とでは性質が大きく異なる。通信工事会社は現場での工事を志向するため、運用や保守業務を敬遠する傾向がある。かつては無線機メーカーやメーカー子会社等が競合だったが、割高な発注金額を理由に、実際に作業を行っていた同社と通信キャリアとの直接取引になったという経緯がある。さらに、テクノロジーの活用による同社の低コスト構造も相まって、現状他社が積極的に参入しにくい領域になっていると見られる。

(3) 高い技術力を持つエンジニアと全国展開を可能にするパートナー網
IoTの大量設置案件に対応できる全国規模の体制を持つ企業は、現時点で同社以外には見当たらない。一定の地域に数台を設置する業者はあっても、数十万個といった大量の設備を全国的に設置する必要があるIoTの特性を考慮すると、全国規模で対応できる業者は同社のみである。同社では、第一級陸上特殊無線技士などの国家資格を持つエンジニアが5割以上を占め、2025年6月末時点では522社のベイシスパートナーズを持つ。これにより全国の施工・保守・点検を一括して受注し、地域ごとに協力会社に発注する仕組みを構築している。このネットワークが競争力の源泉となっている。

(4) テクノロジーを活用した効率化
同社は独自のプロジェクト管理ツール「BLAS」や画像認識AI、RPAを活用し、業務プロセスの効率化を進めている。たとえば電力会社のスマートメーター切替案件では、アナログメーターの指針値確認と記録を従来は手作業で行っていたが、AIと自動化により事務負担を大幅に削減。現場作業員が報告書作成のために事務所へ戻る必要もなくなり、移動負担の軽減にもつながっている。

たとえば、電力会社のスマートメーターへの切り替え案件では、1日1,000件の作業を行うなか、新旧メーター間で電力使用量の引き継ぎを行うために、交換前のアナログメーターの指針値を記録する必要がある。この記録は料金請求にも関わるため、厳密な確認が求められる。従来は、現地作業員が指針値の記録後、事務所に戻って工事報告書を作成し、管理者がこれを1件ずつ確認していた。このため、作業員の報告書作成や管理者のチェックが大きな負担となっていた。

しかし、「BLAS」ではAIによる画像認識やRPAを活用したチェック作業の自動化により情報管理を効率化している。これにより、現地作業員は報告書作成のために事務所に戻る必要がなくなり、移動の負担も軽減された。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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