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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/03 13:06, 提供元: フィスコ

ダイナパック Research Memo(6):保有有価証券の売却資金を借入金返済やM&A資金に充当

*13:06JST ダイナパック Research Memo(6):保有有価証券の売却資金を借入金返済やM&A資金に充当
■ダイナパック<3947>の業績動向

2. 財務状況と経営指標
2025年12月期中間期末の資産合計は前期末比2,593百万円減少の74,211百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が1,050百万円、たな卸資産が244百万円それぞれ増加した一方で、売上債権が1,443百万円減少した。固定資産では有形固定資産が452百万円、無形固定資産が407百万円、投資その他資産が1,261百万円それぞれ減少した。投資その他の資産の減少は保有株式の売却や時価の下落により投資有価証券が1,244百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比1,735百万円減少の28,938百万円となった。有利子負債が1,526百万円、仕入債務が537百万円それぞれ減少した。純資産合計は同858百万円減少の45,273百万円となった。親会社株主に帰属する中間純利益の計上等により利益剰余金が1,061百万円増加した一方、保有株式の売却に伴いその他有価証券評価差額金が804百万円減少したほか、為替換算調整勘定が1,151百万円減少した。

経営の安全性指標を見ると、自己資本比率は前期末の59.7%から60.6%に上昇し、有利子負債比率が7.8%から4.5%に低下した。2024年12月期にTKTの株式取得資金を一部借入金で賄ったため、一時的に有利子負債が膨らんだが、2025年12月期に入って返済を進めた格好だ。ただ、Hoang Haiの株式取得資金の一部を借入金で調達するため、期末時点の有利子負債は再度膨らんでいる可能性がある。同社は成長戦略の1つとしてM&Aを推進しており、80億円を超える含み益を抱える投資有価証券を適宜売却していくことで、その一部を充当する方針であり、財務面での懸念はないものと弊社では考えている。

3. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比5.5%増の66,000百万円、営業利益で同69.2%増の2,900百万円、経常利益で同37.8%増の3,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.8%減の2,900百万円と2025年5月に上方修正した数値を据え置いた。同修正額は下期の業績計画について期初計画を据え置いたままで、中間期の段階利益が修正計画を上振れたことから、段階利益について上振れ余地を残した格好となっている。ただ、2025年10月より段ボール原紙の主要メーカーが値上げの実施を発表していることや、米国の関税政策が消費動向に及ぼす影響など先行き不透明な状況が続いていることもあり、今回は通期業績計画の見直しを行わなかったものと見られる。同社では、下期も引き続き販売数量の拡大や価格改定、原価低減活動に取り組むことで業績計画の達成を目指している。

なお、2025年8月にベトナムで段ボールケースの製造販売を行うHoang Haiの株式を取得し(出資比率80%)、子会社化し第4四半期から連結業績に加わることになる。2024年12月期の売上高は円換算で約5,115百万円、営業利益で約524百万円となり、売上高については10億円以上の上振れ要因となる見込みだ。一方、営業利益に関してはM&A費用やのれん償却額なども考慮すれば若干のマイナス影響が出る可能性があるが、営業利益率は10%以上と高い水準で安定して推移しており、2026年12月期以降は収益増に貢献するものと予想される。Hoang Haiの主な顧客先はグループ企業が展開している文具や紙器、たばこ向けで、グループ外企業では大手家具メーカー等が挙げられる。

今回、M&Aに至った経緯としては、売却を検討していた先方から声がかかったようで、ベトナムでの事業拡大を目指す同社との思惑が一致した。同社が2006年からベトナムに進出して段ボール事業を展開してきたことや、2024年にTKTを子会社化するなどM&Aの実績も評価して先方から白羽の矢が立ったものと思われる。ここ数年の業績、財務状況からすると海外事業の拡大を成長戦略の一つとして掲げる同社にとって、成長を加速していく絶好の機会を捉えたものと弊社では高く評価している。ベトナムの売上高はTKTを子会社化したこともあって2023年12月期の58億円強から2025年12月期は100億円を上回る水準に拡大し、Hoang Haiがフル寄与する2026年12月期には150億円強と3年間で3倍弱に急拡大すると見込まれる。国内で培ってきた段ボール製造販売事業の運営ノウハウをベトナム子会社にも移植していくことで、ベトナム市場でさらなる事業拡大を目指す考えだ。

ベトナムの経済成長率はアジア圏ではインドと並ぶ高い成長が見込まれており、段ボール需要も経済成長とともに拡大していくことが予想される。同社にとってもベトナムでの事業拡大が中長期的な業績の成長エンジンになるものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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