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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/09/03 10:15,
提供元: フィスコ
エイチ・ツー・オー リテイリング:関西圏で圧倒的な基盤保有、今期の準備期間を経て中長期的な企業価値向上へ
*10:15JST エイチ・ツー・オー リテイリング:関西圏で圧倒的な基盤保有、今期の準備期間を経て中長期的な企業価値向上へ
エイチ・ツー・オー リテイリング<8242>は、関西地区を中心に百貨店・食品スーパー・商業施設を展開。同社の事業は「百貨店」「食品」「商業施設」「その他」の4セグメントで構成され、「阪急」「阪神」の強力なブランド力を有している。百貨店事業では、阪急本店を旗艦店として国内15店舗(阪急11店舗、阪神4店舗)を運営し、関西エリアで圧倒的な存在感を誇る。食品事業では、イズミヤ(74店舗)、阪急オアシス(75店舗)、関西スーパーマーケット(63店舗)、デイリーカナート(21店舗)で関西エリアに約240店舗を展開。2023年4月にイズミヤと阪急オアシスを運営会社統合し「イズミヤ・阪急オアシス株式会社」としたが、店舗ブランドは維持しながら地域特性に応じた店舗フォーマットの最適化を推進している。2024年7月には関西フードマーケットを完全子会社化し、食品事業の基盤を一層強化した。
同社の競争優位性は大きく三点に集約される。第一に、阪急本店の圧倒的な集客力と収益力である。売上高で国内百貨店第2位(新宿伊勢丹に次ぐ)の規模を誇り、都心立地の優位性を最大限に活かした高付加価値商品の提供により、富裕層・インバウンド需要を着実に取り込んでいる。特に西日本エリアでは第1位のポジションを確立しており、関西経済圏における消費の中心地としての役割を担っている。第二に、関西エリアにおける強固な基盤により、スケールメリットを活かした効率的な事業運営を実現している。百貨店から食品スーパーまで幅広い業態展開により、顧客の所得層や生活スタイルに応じた多様なニーズに対応可能な体制を構築。第三に、阪急阪神東宝グループの一員として、鉄道・不動産・エンタテインメントなど多様な事業とのシナジー効果を享受できる点が挙げられる。これらにより、地域密着型の総合小売グループとしての地位を確立している。
2026年3月期第1四半期の売上収益は163,644百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益は5,504百万円(同40.6%減)と増収減益で着地した。百貨店事業では国内売上が微増にとどまる一方、インバウンド売上は前年の高水準からの反動減もあり大幅に減少。数年来の食品価格上昇に加え、米価格の上昇もあり客単価が約2%増、客数も堅調に推移した結果、既存店売上は約3%超と好調に推移。また、食品事業における2つの新店舗フォーマット(価格訴求型・高付加価値型)は予算比10%超を想定以上の推移となっており、消費の二極化に対応した戦略の有効性は確認されている。
2026年3月期通期の売上収益は690,000百万円(前期比1.2%増)、営業利益は30,000百万円(同13.9%減)を見込む。百貨店事業では阪急本店の改装影響による売場閉鎖が継続し、インバウンド需要も引き続き厳しい環境が予想される。ただし、改装は将来の競争力強化に向けた必要投資であり、2027年3月期以降の収益回復に向けた準備段階と捉えている。改装完了後は、より魅力的な売場構成により集客力と収益力の向上が期待される。食品事業でもイズミヤ・阪急オアシスの統合によるシナジー効果の実現を推進。今後も、関西スーパーマーケットも含めたバックオフィス機能や物流の統合などにより、食品事業全体でのシナジー効果を本格的に追求する段階に入っている。
市場環境について振り返ると、百貨店市場は全体として6兆円規模まで回復しているものの、構造的には縮小傾向にあるようだ。しかし同社は、都心店と郊外店で異なる戦略を採用することで環境変化に対応。都心店については引き続き百貨店としての価値を追求し、シェア拡大を図る一方、郊外店はショッピングセンター型への転換を進めている。業態転換を実施しているが阪急・阪神ブランドの価値を活かしつつ、地域のニーズに合わせた柔軟な対応を行っている。食品事業においては、関西エリアの人口動態は比較的安定しており、きめ細かな地域対応により市場シェアの拡大余地は大きい。価格訴求型、高付加価値型店舗を地域特性に応じた展開していくことにより競争力を強化している。
中長期的な成長に向けて、同社は2030年度に営業利益350-400億円、ROE8%以上を掲げている。百貨店事業では、海外顧客売上2,000億円(うちVIP売上1,000億円)を目標に、専門人材を従来の10名から30名体制に拡充するなど国内富裕層を含めたVIP顧客への対応力を大幅に強化している。食品事業では、現在の店舗網を維持しつつ利益率改善に注力。統合によるコスト削減余地がまだ大きいことから、今後も着実な利益成長が見込まれる。
株主還元については、DOE(株主資本配当率)1.8%以上を基準とした安定配当と機動的な自己株式取得を組み合わせた還元策を実施。中期経営計画(2024-2026年度)で掲げた3年間累計300億円の自己株式取得については、初年度44億円を実施済みで、残り2年間で着実に実行していく方針。また、株主優待では1単元保有の株主に向けて「株主優待券、「500円割引券(食品スーパー)」、「米」から選択制で優待を実施している。そのほか、PBRは一時1倍超えも足下では1倍割れ、目標とする1.2倍以上達成に向けては、業界水準(15倍程度)に対し低位なPERが課題と認識しているようだ。PBR1倍割れの解消に向けても、資本コストを意識した経営と資産効率の改善を推進。不採算事業の整理や資産売却も視野に入れた構造改革を進めており、非効率資産の整理により財務体質の改善を図っている。
近畿経済産業局の資料によると、関西は、人口約2,117万人、約8,236億ドルのGDPという巨大なマーケットを有しているという。これはスイスやトルコのGDPに匹敵する規模となっており、関西の実質経済成長率は、近年、日本全体の伸び率を上回っている。これに加えて、大阪・梅田エリアは、梅田再開発、万博、IR(統合型リゾート)により集客力が向上する見込みであり、このような地域において盤石な基盤と資産を有している同社の今後の持続的な成長は想定しやすい。2025年度の業績としては一時的に減益を見込むものの、これはあくまで来期以降の成長に向けての準備段階ということはしっかりと押さえておきたい。2026年度は成長投資効果を取り込んで、各目標達成を目指すようだ。株価は、今年4月の急落前水準に戻っていないなか、PBRも0.8倍台と割安感が残っており、見直し余地が大きそうだ。
《FA》
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