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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/07/08 11:03, 提供元: フィスコ

Pウォーター Research Memo(3):高い顧客獲得力を原動力に、全国8水源と自社物流で物流費高騰に対応

*11:03JST Pウォーター Research Memo(3):高い顧客獲得力を原動力に、全国8水源と自社物流で物流費高騰に対応
■プレミアムウォーターホールディングス<2588>の会社概要

4. 強み
同社の強みの根源は「高い顧客獲得力による保有顧客の純増」であり、それによって積み上げられた業界首位の顧客基盤である。これにより、水源分散化や物流効率化などへの投資が可能となり、好循環を生み出している。

(1) 顧客獲得力
同社は宅配水市場でのシェアを近年大きく伸ばしている。この高い顧客獲得能力は、合併前のエフエルシーがデモンストレーション販売で国内トップクラスであったことに遡る。顧客獲得方法は様々だが、主に大型商業施設や大手量販店、ホームセンターなどで同社専用のブースを期間限定で出展し、デモンストレーション販売により4割弱の顧客を獲得している。また、培った営業ノウハウや従業員への教育に加え、従業員の育成とモチベーションを考慮して作り込まれた従業員評価制度により、能力を引き出す仕組みが充実している。

現在、主力の新規顧客獲得チャネルはテレマーケティングであり、約5割を獲得する。コロナ禍で増加した在宅時間の一部が定着した消費者層に対して、これらの手法の有効性は現在も継続している。環境の変化に柔軟に対応し、多様な販売チャネルから顧客を獲得できるのが、同社の競争優位性である。直近で著しく伸びたのがWeb販売であり、2割弱を獲得するまで増加した。これは、ウォーターサーバーのあるライフスタイルや同社のブランドがSNSなどを通じて拡散し、認知度が高まったことが一因である。

(2) 全国8水源体制のなか、存在感を増す自社工場
同社は水の安定供給及び地産地消をねらいとして水源を分散する方針を採る。現在、富士吉田(山梨県)、富士(静岡県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)、朝来(兵庫県)、北アルプス(長野県)、吉野(奈良県)、北方(岐阜県)の全国8ヶ所で月に最大250万顧客相当の生産が可能な体制を構築している。

水源を増やす難しさは、一定以上の顧客が確保できなければ工場の稼働率が上がらず製造コストが高くなる点にある。しかし、同社は保有顧客が継続的に増加していることで、工場稼働率を落とすことなく水源の開拓を実現している。なかでも3つの自社工場(北方、富士吉田、朝来)は最新鋭の設備で効率が高く、同社のコスト優位性の要因である。2026年3月期は岐阜北方工場の稼働が本格化したことにより、自社工場生産比率が84.8%(前期比4.0ポイント増)まで高まった。

また、水源の分散は、災害時などの事業継続計画(BCP)対策にもつながる。2016年の熊本地震の際に南阿蘇の供給がストップした際も、九州地方に配送する宅配水を他の水源から供給できた実績があり、分散化が災害対策としても有効であることを示している。

(3) 地産地消及び自社物流による物流効率化
宅配水業界にとって、近年の物流費の上昇は大きな経営課題である。同社は1WAY方式(使い切り容器)の配送を行うため、大手の配送業者を中心に配送を委託している。売上収益に占める配送費の比率は20%を超え、配送業界からは継続的に値上げのプレッシャーがかかる状況にあるため、物流費のコントロールは極めて重要である。

同社が推進する主要な戦略が、「水源の分散化による配送距離の短縮化」である。製造地と消費地が近接することで配送費を抑制できる。8工場は担当エリアが明確に分担されており、たとえば南阿蘇工場は九州地方、金城工場は中国・四国地方などを担う。エリア内で定期的にまとまった物量が確保できるため、トラックの積載効率も向上し、物流費高騰を回避する主要因となっている。

2019年3月期からは、大都市圏を中心に自社専用の配送を行う地域のパートナーを活用し、地産地消の物流インフラと大手配送業者を併用する独自の配送体制を構築した。2026年3月期には、自社物流(大手配送業者以外の配送パートナーであり、同社製品の配送を専門に行う)の比率は51.9%となっており、物流費の抑制に貢献している。

5. 保有顧客件数の推移
同社はKPI(重要業績評価指標)として保有顧客件数の推移を設定し管理している。保有顧客件数は、2016年7月の経営統合前の23万件から、統合直後には39万件に増加した。その後も安定した右肩上がりの成長を続け、2020年3月末には100万件を超え、2026年3月末には182万件に到達し、さらに200万件を目指している。

このように新規契約ペースが解約ペースを継続的に上回るため、安定した純増を継続している。解約率を抑制するうえでは、優良な顧客の獲得及び顧客満足度の向上が重要だ。同社は、クレジットカード決済比率の向上、長期契約(2026年3月期は新規顧客の9割以上が5年契約)顧客の増加などを通じて優良顧客の獲得に注力している。また、接客サービスの品質向上や、会員向けに食品などを優待価格で提供するプレミアムモールなどを通じて、顧客満足度の向上に取り組んでいる。



■業績動向
2026年3月期は天然水・浄水型で保有顧客が純増、営業利益で8期連続の増益を達成
1. 2026年3月期の業績動向
2026年3月期の売上収益は80,323百万円(前期比4.5%増)、営業利益12,647百万円(同10.1%増)、税引前当期利益12,037百万円(同32.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,450百万円(同50.1%増)となり、営業利益は8期連続の増益を達成した。

売上収益は、新規契約獲得が堅調に推移し、解約率の抑制ができた結果、保有顧客数が増加し着実に伸長した。2026年3月末の保有顧客数は182万件と、前期末から9万件の純増となった。新規顧客獲得では、同社の強みであるデモンストレーション販売をはじめ、テレマーケティング・Web販売による販売が伸びた。同社が得意としてきた天然水宅配型に加え、浄水型での顧客獲得も好調である。新規の顧客のうち長期契約プラン(5年契約)での契約が9割に達しており、安定した顧客の増加につながっている。加えて、単価の高い高機能サーバーを選ぶ顧客が増加したこと(新規顧客の46%)も、顧客単価の上昇を通じて増収に寄与した。

売上総利益に関しては、最新鋭の岐阜北方工場の稼働向上による原価低減に努めた結果、売上総利益率が前期比0.9ポイント増の85.8%に向上した。販管費では、人件費や販売促進費などの増加はあったものの、物流費の安定化につながる自社物流網の構築、顧客獲得に関わるコストの効率化などにより費用をコントロールし、販管費率で前期並みを維持した。結果として、営業利益で8期連続の増益となり、2016年7月の企業統合以降の過去最高を更新した。営業利益率は15.7%(前期比0.8ポイント増)と収益性がさらに向上した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


《HN》

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