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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/23 13:04, 提供元: フィスコ

飯野海運 Research Memo(4):環境負荷軽減や競争力強化に向けた環境配慮型船舶を積極投入

*13:04JST 飯野海運 Research Memo(4):環境負荷軽減や競争力強化に向けた環境配慮型船舶を積極投入
■飯野海運<9119>の事業概要

3. 環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船
海運業界は地球環境負荷軽減への取り組み強化が求められており、近年様々な環境規制が発効している。2020年1月には船舶燃料に含まれる硫黄分濃度を従来の「3.5%以下」から「0.5%以下」とする船舶燃料硫黄分規制(Sox規制)の適用が開始された。2023年には国際海事機関(IMO)により就航船のエネルギー効率指標であるEEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index)規制および燃費実績の格付け制度であるCII(Carbon Intensity Indicator)規制が導入された。CII規制は、船舶の年間燃費実績をA〜Eの5段階で評価し、一定基準を下回る場合には改善計画の提出が義務付けられるなど、継続的な省エネ運航が求められている。また、IMOは2023年にGHG削減戦略を改訂し、2050年頃までに国際海運からのGHG排出ネットゼロ達成を目標として掲げるとともに、2030年及び2040年に向けた中間目標を設定した。この削減目標達成のためのネットゼロフレームワークやライフサイクルベースでのGHG排出量の評価方法に関する議論が現在も進められている。欧州を中心として地域単位の環境規制導入も始まっており、2024年1月にはEU排出量取引制度(EU-ETS)が海運分野にも適用された。これにより、EU関連航海に係るGHG排出量について排出枠の購入と償却が義務付けられた。2025年からはFuelEU Maritimeが施行され、同航海において使用される燃料のGHG排出強度に対する規制が始まった。加えて、英国においてもUK排出量取引制度(UK-ETS)の海運分野への適用が予定されており、2026年7月からは英国国内航海を対象に導入される見込みである。このような規制強化を背景に、同社はGHG排出量の削減および規制対応による競争力強化に向けた取り組みを推進している。

同社は環境への取組として次世代燃料船の整備に力を入れており、2019年12月にはメタノールも燃料として使用可能な同社初の二元燃料主機関搭載メタノール船が竣工した。2022年2月にはEquinor ASA向けに同社初のLPG二元燃料主機関搭載VLGC「CALLUNA GAS」が竣工したほか、2023年3月には同社として2隻目となるLPG二元燃料主機関搭載VLGC「OCEANUS AURORA」が竣工した。本船は同社にとって、クリーンエネルギーとして注目されているアンモニアを貨物として積載可能な初めてのVLGCであり、2024年には風力推進装置ローターセイルが設置されるなど燃料転換と省エネ機器の両方を兼ね備えた船である。2024年2月には三井物産<8031>向け新型アンモニア運搬船「GAS INNOVATOR」が竣工した。米国ABS(American Bureau of Shipping)によるアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて設計・建造された世界初のアンモニア運搬船である。また同年6月にはBorealis AG向けLPG二元燃料主機関搭載Ice Class VLGC(耐氷船)の長期定期用船契約を締結(2027年3月期竣工予定)した。本船はVLGCとして最大船型であり、輸送貨物1トン当たりの燃料消費量を削減するだけでなく、燃料としてのLPGは従来の重油に比べ、二酸化炭素(CO2)、粒子状物質(PM)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)の排出量を削減することが可能である。同年10月にはわが国初となるメタノール二元燃料焚き大型原油タンカーの建造(2028年3月期竣工予定)並びに出光タンカー(株)との用船契約への投入を決定した。2025年9月にはINEOS Europe AG向け大型液化エタン船1番船「IINO INEOS VESTA」が竣工、2026年1月には2番船「IINO INEOS SUNNA」が竣工した。本船はエタンを主燃料とする二元燃料主機を搭載しており、従来の重油専焼船と比べてCO2排出量を大幅に削減することが可能である。これらの取り組みは、将来的なゼロエミッション燃料への転換を見据えたものであり、規制対応のみならず中長期的な競争力確保の観点からも重要性が増している。

このように、海運業における環境規制は年々強化されており、同社は次世代燃料船の導入、省エネ設備の搭載、運航効率の改善など、さらには燃料転換への備えを通じて、海外スタートアップとの協業なども活用しながら環境対応を加速させている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


《HN》

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