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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/15 12:46, 提供元: フィスコ

大豊建 Research Memo(6):中期経営計画のアジャスト版を推進、収益力の向上と資本効率改善を図る

*12:46JST 大豊建 Research Memo(6):中期経営計画のアジャスト版を推進、収益力の向上と資本効率改善を図る
■中長期の成長戦略

大豊建設<1822>が2023年5月に公表した2024年3月期から2028年3月期までの中期経営計画では、人的資本経営の強化及び事業構造の変革を基本方針として掲げ、企業価値と生産性の向上を目指してきた。しかし、計画開始後は建設資材や人件費の上昇、品質確保にかかる追加費用の発生などにより採算が悪化し、2024年3月期及び2025年3月期は業績目標を達成できなかった。このため基本方針を維持しつつ、外部環境の変化を踏まえた中期経営計画のアジャスト版を2025年5月に公表した。

中期経営計画アジャスト版では、2028年3月期の売上高1,600億円、営業利益67億円、営業利益率4.2%、当期純利益46億円、ROE7%程度を目標とした。さらに2031年3月期には連結売上高1,700億円、営業利益85億円、営業利益率5.0%、当期純利益60億円、ROE8%以上を目指す。

2026年3月期は売上高1,398億円、営業利益69.0億円、営業利益率4.9%、当期純利益が45.6億円、ROEが6.2%となり、営業利益、営業利益率は中期経営計画における2028年3月期計画値を上回って着地した。ROEも2026年3月期計画値の5.6%を上回っており、収益性の改善は想定以上に進んだと言える。足元では利益面の回復が進んでいるため、今後は受注マネジメント、現場支援体制、設計変更獲得力の強化により、利益水準を一過性の改善にとどめず安定的に再現できる体制を構築することが重要である。

人的資本経営では新人事給与制度の運用を開始したが、従業員の声を踏まえた改善を検討している。2026年3月期からはストレスチェックとエンゲージメントサーベイを統合し、健康経営に関する課題の把握と改善に取り組んでいる。採用方法の多様化、人事評価・昇進制度の改革、研修制度の改革も進めており、施工管理人員の確保と育成が中長期の受注キャパシティ拡大を支える。DX・研究開発では、2026年8月に新基幹業務システムの運用開始を予定しているほか、自社生成AIである「大豊AI」を全社的な業務効率化に活用している。「大豊AI」は施工計画など各種資料作成への活用を目指しており、現場管理職員の負担軽減や省人化、生産性・利益率の向上に資する可能性がある。

技術面では、ニューマチックケーソン工法の掘削自動化システムで現場公開実証実験を実施するとともに、シールド工法の泥土圧管理システムの構築も進めている。これらは同社が得意とする特殊土木分野の競争力を高める取り組みであり、省人化による人手不足の解消と生産性向上、施工品質の安定、公衆災害リスクの低減による安全性向上に寄与するものだ。環境技術では浚渫土脱水ケーキの除塩技術の開発や大学、麻生グループ、同社が参画する低炭素コンクリート技術の共同開発にも取り組んでいる。建設業界では環境負荷低減への要請が強まっており、これらの技術蓄積は将来の受注競争力強化につながる取り組みだ。

事業構造の変革では、得意技術による基幹事業の拡大を進めている。土木事業では、国土強靭化に資する防災・減災分野やインフラ更新領域が成長ドライバーとなる。建築事業では、民間住宅が利益を出しやすい状況にある一方で、防衛関連事業などの官公庁工事を成長領域と見ている。

新領域では、京都市Park-PFI事業の施設が開業し、今後20年間にわたり駐車場とカフェを運営する。請負工事にとどまらない事業領域への取り組みであり、収益源の多様化に向けた一歩と位置付けられる。また、富士ピー・エスとの業務提携締結により受注機会の拡大、保有技術の連携、PCa部材の活用を進める。PCa部材の活用は、生産性向上や工期短縮への寄与が期待されるため、施工体制の効率化という観点でも注目される。

資本政策面では、同社は株主資本コストを5〜6%程度と認識し、2031年3月期にROE8%以上を目標としている。PBR1.0倍以上を安定的に確保するため、収益力の向上、成長投資、政策保有株式の縮減、株主還元、IR活動の強化を進める。政策保有株式については便益を検証し保有の適否を判断したうえで、今後も縮減を進める。配当性向70%以上と利益目標の達成による増配継続を目指し、状況に応じて自己株式取得も検討する。中期経営計画では収益力の回復に加え、資本効率と市場評価を意識した内容へと重点が広がっており、今後は利益成長とROE向上を並行して進められるかが企業価値向上における焦点となろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)


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