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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/26 13:05, 提供元: フィスコ

くすりの窓口 Research Memo(5):みんなのお薬箱事業は「医薬品卸と薬局をつなぐプラットフォーム」

*13:05JST くすりの窓口 Research Memo(5):みんなのお薬箱事業は「医薬品卸と薬局をつなぐプラットフォーム」
■くすりの窓口<5592>の事業概要

4. みんなのお薬箱事業
みんなのお薬箱事業は「医薬品卸と薬局をつなぐプラットフォーム」をコンセプトとして、医薬品卸売事業者と薬局における医薬品の流通改善を支援するサービスを提供している。主力サービスは、薬局・医療機関に代わって医薬品卸事業者に対する医薬品の仕入価格交渉を代行する「仕入サポートサービス」、薬局・医療機関におけるAIを活用した医薬品在庫管理・自動発注システム「eオーダーシステム」、及び医薬品売買ニーズマッチングサイト「みんなのお薬箱」による「不動在庫サービス」である。その他サービスとして、調剤薬局チェーングループ内店舗間の在庫を最適化する「店舗間共有機能」をリリースしたほか、電気コスト削減を支援する「みんくす電気」も展開している。

「仕入サポートサービス」はスケールメリットの享受を目的としたスキームで、収益は薬局等と医薬品卸事業者との間の医薬品売買における取引薬価・売買価格に応じて算定される手数料収入(ストック売上)となる。なお医薬品卸との調整で2025年3月期の営業活動が一時的に停滞したが、2024年11月にウィーズと業務提携(同社がウィーズの子会社J-Seedに出資)し、これまで医薬品卸事業者と価格交渉を行ってきたグローバル・エイチ(株)の株式を譲渡(2025年4月)して持分法適用関連会社から除外した。今後はウィーズが医薬品二次卸として培ってきたノウハウを生かした「仕入サポートサービス」(ウィーズが二次卸として加盟店と取引を行う形式)に一本化する。

「eオーダーシステム」は、薬局等における過剰在庫抑制・欠品防止や薬剤師の事務負担軽減などの効果を目指し、薬局等のレセプトコンピュータと連携させ、AIを活用して必要な医薬品の種類と量を判断して自動発注する。収益は初期導入費用(ショット売上)及びシステム利用料収入(ストック売上)となる。

「みんなのお薬箱」は国内最大級の医薬品売買ニーズマッチングサイトで、このサイトによる「不動在庫サービス」は全国の薬局の不動在庫(デッドストック)の有効利用を目的として、処方されずに不動在庫となった医薬品を売りたい薬局と、不足している医薬品を買いたい薬局の売買を仲介する。収益は売買が成立した医薬品の薬価に応じた手数料収入(ストック売上)である。なお2026年3月期には、グループ会社ピークウェルの自社倉庫管理をDXによって削減したコストを活用し、加盟薬局の不動在庫の高価買い取りなど価格還元策を実施したことで大手・中堅企業の獲得につなげている。

みんなのお薬箱事業のKPIとして、2026年3月期中間期末時点で施設保有数は前年同期比1,271施設増加して18,224施設となり、全国の対象施設数約17万施設に占める同社シェアは約10.3%となった(同社調べ)。また流通額(「仕入サポートサービス」+「不動在庫サービス」)は、2026年3月期第1四半期が同2,751百万円減少して55,763百万円、第2四半期が同19百万円増加して56,695百万円となった。流通額は一時的な営業活動停滞の影響で減少傾向だったが、ウィーズとの業務提携により医薬品卸との調整及び移管が完了して正常化し、前年同期比では第2四半期より回復に転じた。


基幹システム事業は「医科、薬局、介護のデータ連携プラットフォーム」

5. 基幹システム事業
基幹システム事業は「医科、薬局、介護のデータ連携プラットフォーム」をコンセプトとして、医療機関・薬局・介護施設に必要な事務処理システムや情報システムなどを提供している。主力サービスは、調剤薬局向けとして子会社モイネットシステムのオールインワンレセコン「Pharmy」、ハイブリッジの電子薬歴システム「Hi-story」、同社(2024年8月に同社がキューブイメージング(株)を吸収合併)の調剤監査システム「Cube.i」など、医療機関(病院・クリニック)向けとしてエーシーエスの医事会計・オーダリング・電子カルテシステム「HOSPITAC」、メディカルJSPのクリニック向け電子カルテシステム「Ex-Karte」及びレセプトコンピュータシステム「IJIα-5」、同社(2024年11月に同社が(株)ホスピタルヘルスケアを吸収合併)の外来受診支援アプリ「スマートガイドシステム」など、介護施設向けとして同社の電子介護記録システム「コメットケア」などがある。

なお外来受診支援アプリ「スマートガイドシステム」の導入事例として、2025年11月に済生会横浜市東部病院において「スマートガイドシステム」医療費あと払いサービスを開始した。これにより、患者は会計で順番を待つことなく帰宅できるなど、患者にとって快適な通院を実現するとともに、病院におけるDXを実現した。またハイブリッジの電子薬歴システム「Hi-story」について、機能を強化した新バージョンを2025年末〜2026年初にリリース予定である。

収益は初期導入費用(ショット売上)と保守料収入の(ストック売上)である。基幹システム事業はほかの事業に比べて、システムの新規導入に)伴う初期導入費用等のショット売上高の構成比が高くなるため、新規導入数の変動が業績変動要因となる。

基幹システム事業のKPIとして、2026年3月期中間期末時点の施設保有数は前年同期比384施設増加して8,184施設(内訳は薬局が同252施設増加して5,371施設、介護が同61施設増加して2,277施設、医科が同71施設増加して536施設)となり、全国の対象施設数約25万施設に占める同社シェアは約3.3%となった(同社調べ)。2026年3月期は基幹システム事業の薬局保有数1,000施設純増を目指す。


未病予防事業は健診・人間ドック・特定保健指導サービスをサポート

6. 未病予防事業
未病予防事業は健康保険組合と契約し、被保険者の健康診断・人間ドックのWeb予約サービスなどを提供する「くすりの窓口健診サポート」及び「EPARK人間ドック」や、薬局で受ける特定保健指導をサポートする特定保健指導サービスを提供している。第4の柱に育成すべく2026年3月期より本格展開し、中間期末時点の予約数(「くすりの窓口健診サポート」の予約数+「EPARK人間ドック」の予約数)は、大手健康保険組合との契約獲得が寄与して前期末比15,530件増の20,580件となった。

収益は、「くすりの窓口健診サポート」は受診を完了した際に発生する1名当たりの手数料(ストック売上)、「EPARK人間ドック」は利用者が受診したコースに対する手数料(ストック売上)、特定保健指導サービスは特定保健指導の初回面談時と完了時に発生する1名当たりの手数料(ショット売上)である。売上は実際に健康診断や人間ドックの受診を完了した月に計上されるため、通常は予約から2〜3ヶ月後に計上される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


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