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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/12/25 10:03,
提供元: フィスコ
ステップ Research Memo(3):ドミナント展開と効率的なマーケティング戦略で高い収益性・安定性を実現(1)
*10:03JST ステップ Research Memo(3):ドミナント展開と効率的なマーケティング戦略で高い収益性・安定性を実現(1)
■会社概要
2. 同社の特徴と強み
ステップ<9795>の特徴と強みは、「教師のプロ化による質の高い学習指導」「ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略」「高い収益性・安定性」に集約することができる。
(1) 教師のプロ化による質の高い学習指導
同社は「教師は学習指導のプロでなければならない」という考え方のもと、教師を正社員化し、授業内容の専門化・高技術化に努め、その学習指導力によって高い進学実績を積み上げることを成長基盤としてきた。2025年10月末時点における全教師数746名のうち正社員教師は724名で、そのほか専任講師(フェロー・嘱託職員)16名、非常勤講師6名(うち3名は英語科ネイティブ講師)の構成となっており、正社員比率は97.1%とほぼ100%がプロの教師と呼べる指導体制である。また、教師が生徒獲得のための勧誘活動(電話勧誘やポスティングなど)を行うことなく、学習指導に専念できる体制を整えていることも特徴の1つである。
同社では、各教師が「日々指導技術の研鑽を怠らず、一人ひとりの生徒と向き合い、学力向上に真摯に取り組んでいく」ことを基本方針として、研修会などを定期的に行いながらスキルアップに努めている。具体的には、新人・2年目研修をグループで隔週4時間、個人別に隔週2時間実施しているほか、地域別研修も隔週で金曜日に2時間半、必要に応じてフォローアップ研修や勉強会を隔週で火曜日に2時間実施し、教務力の向上に努めている。
こうした教師のプロ化による質の高い学習指導によって、2025年春の高校入試では神奈川県内の公立トップ19校※1で2,506名(前年比71名増)と過去最多の合格者を輩出し、全塾中で圧倒的トップの実績を残した。トップ19校のうち15校で塾別合格者数トップとなった。県内最難関校の横浜翠嵐高校については3年ぶりにトップの座を明け渡したが、弊社では2025年から全国学習塾協会が定める学習塾の合格者実績の基準が大幅に変更(緩和)されたことが影響したものと見ている※2。一方で、ここ数年注力してきた川崎エリアの最難関校である多摩高校に関しては、初めてトップを奪取するなど大きな成果を上げた。また、神奈川県の学力向上進学重点校に指定された8校※3で見ると1,367名が合格し、全合格者数の52.7%(前年は50.9%)をステップ生で占めるなど圧倒的な実績を残している。学習指導の質の高さもさることながら、過去の入試問題の分析・対策能力や的確な進学指導力などが高い合格実績につながっている※4。県内の競合大手としては、臨海セミナー、湘南ゼミナール(スプリックス<7030>の子会社)などがあるが、いずれも公立トップ19校の合格者数では同社の半分以下の水準であり、県内公立トップ校を目指す学習塾としてのブランド力は強固なものとなっている。さらに、ステップ生の通学圏内で男女共学校として最難関と位置付けられる東京学芸大学附属高校(国立)でも、223名(帰国生と内部進学除く)と過去最多の合格者数となり、繰上げ合格を除く正規合格者192名は同総数378名に対して50.8%のシェアを占めた。同社によると17年連続で全塾中トップの合格者数になったようだ。
※1 神奈川県内の公立旧学区トップ19校のこと。
※2 合格実績基準が変更前の「受験直前の6ヶ月間のうち、継続的に3ヶ月を超える期間、当該学習塾に在籍し、通常の学習指導を受けた者とし、かつ、受講時間数が30時間を超える場合とする」から変更後は「受験直前の6ヶ月間のいずれかに「在籍」があり、かつ同期間に受講契約に基づく30時間以上の「受講」の実態がある生徒、あるいは継続して3ヶ月以上の「受講」の実態がある生徒」を合格実績にカウントする対象生徒とした。「受講」には対面授業のほか、オンライン受講、映像授業等を含む。
※3 学力向上進学重点校:神奈川県教育委員会が、県立高校改革実施計画において、将来の日本や国際社会でリーダーとして活躍できる人材を育成する学校として位置付けた学校。横浜翠嵐、湘南、厚木、柏陽、川和、小田原、横浜緑ケ丘、多摩の8校が選定されている。
※4 合格率もほかを圧倒している。例えば、横浜翠嵐高校ではステップ生が62.5%だったのに対してその他受験者は48.1%、湘南高校では同様に72.1%に対して53.9%、多摩高校では同様に77.4%に対して55.0%であった。
一方、現役高校生向けの高校生部門について見ると、2025年春の大学受験合格者数は国公立大学で410名(前年比56名増)、早慶上智大学で668名(同74名増)、MARCH及び東京理科大学で2,352名(同133名増)となり、延べ合計では3,430名(同263名増)と過去最高を更新した。また、最難関の東京大学合格者数も過去最多となる21名(同7名増)となった。これら合格者の大半は公立の現役高校生であり、公立高校から難関大学に現役合格できる塾としてのブランド力は年々高まっている。以前は入塾する高校1年生の大半が中学部のステップ生だったが、最近はステップ生以外の入塾希望者も増加傾向にあり、横浜校ではすべての学年及び全教科で早々に定員に達し募集を打ち切る状況が続いている。
同社が高い合格実績を残し続けている要因として、教務力の高さに加えてチューター制度が有効に機能していると考えられる。チューターとは、高校生の学習や進路、悩みなどの相談を受け、個人に合わせた学習計画や合理的な受験対策を提案するなど的確なアドバイスを行うスタッフである。高校生部門では各校舎に専任のチューターを2〜9名配属しており、受験への不安を抱える生徒にとって良きアドバイザーとなっている。また、数年前からチューターの機能を小中学生部門の校舎でも導入しており、窓口業務とチューターの機能を果たすスクールキャストと呼ばれる正社員スタッフを増員している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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