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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/11/14 19:29, 提供元: フィスコ

IDOM Research Memo(8):米国自動車ディーラーとの比較(1)

*19:29JST IDOM Research Memo(8):米国自動車ディーラーとの比較(1)
 

IDOM<7599>

日本と米国では商習慣、法制度など相違点が多いため、一概に比較は成立しないと思われるが、米国の中古車市場では過去10年程度で大きな変化が進んだことから、参考として米国の中古車市場の考察を示す。米国の中古車市場は非常に細分化されており、Automotive Newsによると、2021年時点で最大のディーラーブランドは米国市場の約2.3% 、中古車販売店上位100社は合計で約11.1%の市場シェアを占めた。主なセグメントとしてはフランチャイズディーラー、独立系ディーラー、オンラインディーラーとなっている。また、中古車の多くは個人間取引を通じて取引されている模様で、それらは統計では補足しきれていないと思われ、非常に多くの業者が参入する寡占化が進んでいない市場と言える。

・新車のテスラ・モーターズとともに中古車でもオンラインディーラーが拡大する米国市場
新車も含めた自動車流通を考えると、近年急成長したテスラ・モーターズはメーカーが独自のオンラインディーラー部門を運営している例となるが、他の大手メーカーは独自のディーラー部門を大規模には(もしくは全く)保有運営しておらず、資本関係の無い(もしくは薄い)ディーラーに販売を任せている建て付けが主である。これは、日本の自動車生産流通との大きな相違点と言える。米国では消費者がスポーツカー、RV、セダンなどの大きなセグメントを決めて、相応しいディーラーに行けば新車、中古車、メーカーの区別はなく自分に合った車を選べる環境にある。これは、自動車メーカーのロイヤリティを高めるには得策ではない一方で、消費者側には選択の自由と選択にかかる時間の節約に繋がっていると考えられる。日本の中古車ディーラーは新車を別のショップブランドで扱うことはあるものの、中古車販売店で新車を扱うことは無いが、消費者がメーカーブランドを跨って自分に合った中古車を選択出来る点では米国の自動車ディーラーと似ている。自動車産業の発展の仕方の相違により、米国と日本では異なった流通形態が主流となったと考えられるが、オンラインディーラー市場の成長と共にテスラ・モーターズが米国では主流ではなかったメーカーが運営するディーラー部門を短期間のうちに定着させたように、日本の自動車流通も仕掛け方次第では大きな変化が起こり得る市場であることは否定できない。

・日本でもオンライン化は可能か?
恐らく自動車販売業者の立場からは、各都道府県での登録申請方法が異なるしスケール化が見込みにくいとの意見が多くなるのではないだろうか。

事実、日本の中古車登録には非常に多くの書類と手続きが必要であり、日本での中古車販売のオンライン化には法制度の変更、簡素化も重要な要素になると考えられる。日本での中古車登録には、(1)登録識別情報等通知書、(2)譲渡証明書、(3)車庫証明書、(4)新所有者の印鑑証明書、(5)点検整備記録簿、(6)自動車重量税納付書、(7)自賠責保険証明書、(8)手数料納付書、(9)自動車税・自動車取得税申告書、さらに手続きを第三者が行う場合には(10)委任状が必要になる。都道府県別に書類の書式なども異なるケースもあり、中古車販売のオンライン販売の最大の障壁は法制度との指摘が根強い。

・日本でのオンライン化の本質的な論点
本質的な論点として、日本の消費者が10分で自動車購入を済ませたいのか?CARVANAの2023年フォーム10Kに引用されているコメントに、「2023年のCox Automotive Car Buyer Journey Studyによると、中古車購入者の68%だけがその体験に満足していました。従来の中古車小売モデルはコストがかかり、運用が難しく、拡張が困難です」という一文がある。中古車の購入において68%も満足しているのかと思う一方で、満足度調査は調査する時期によって変わるものであり、一般的な小売事業と比較すると低い数値だと思われる。顧客は商品購入に対して公平性、透明性を求めているのは万国共通であろう。ネットでのオンライン取引によりセールスマンやセールスマネージャーの意思が介在せず、極力一律な基準で整備、管理された商品を販売し、事前に実物を試乗できなかった不足分を7日間の返品ポリシーとして提供することは、販売会社として消費者への公平性、透明性の示し方としては非常に上手い一つのやり方と考えられる。10分に拘らなくても、誰かの意思が介在する余地の無い短時間で価格、サービスが決定されることで公平性、透明性の担保を示せれば、そのディーラーの信頼感、ブランド価値は上昇し、顧客の囲い込み、価格プレミアムなどに繋がる一つの要素になり得るだろう。


《HM》

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