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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/24 12:07, 提供元: フィスコ

ヤマタネ Research Memo(7):「成長期」に入り、未利用バイオマスの活用や越中島開発事業を推進(2)

*12:07JST ヤマタネ Research Memo(7):「成長期」に入り、未利用バイオマスの活用や越中島開発事業を推進(2)
■ヤマタネ<9305>の中期経営計画の進捗状況

3. 取り組み状況
企業価値向上に向けて以下の取り組みを進めている。

(1) 事業戦略
物流カンパニーでは既存事業領域の収益力強化策の一環として、現在運営中の機密文書保管事業に電子化事業を加え、アーカイブ事業の拡大を図る。

同社は2025年7月、HHESが設立したヤマタネドキュメントマネジメントの全株式を取得し、100%子会社化した。HHESが運営していたアーカイブ事業及びその子会社キョクトウが展開する電子化事業が、同社グループに加わった。

この事業統合を通じて、同社は自社運営のアーカイブ事業の商圏拡大と、成長市場と見込む電子化事業の強化による収益力と競争力の向上を目指す。キョクトウが強みとする電子化事業は現在関西圏が中心だが、今後は関東圏にも拡大することで、営業エリアの拡大を図る。また、既存の物流事業や文書保管事業と組み合わせることで、文書の集配、電子化、システム管理、保管、溶解処理といった文書管理コンサルティングにおいて、一気通貫でより手厚いサービス提供体制が整う。同社は電子化事業の市場成長率を年率約8%と見込んでおり、2031年までに2025年3月期の予想売上高(約3億円)を2.5倍程度に成長させる計画だ。

食品カンパニーでは、産地のすべての課題解決に取り組むことを掲げており、現在その一環として未利用バイオマス活用のための新事業に取り組んでいる。

2025年4月にはJA新みやぎ及びトレ食との間で未利用バイオマス(籾殻など)の有効活用に関する協定を締結し、同時にトレ食への出資も発表した。玄米生産時に排出される籾殻からセルロースを抽出し、高付加価値材料に加工する技術の活用を目指す。高付加価値材料とはセルロースナノファイバーや、生分解性プラスチックの代替材料、先端的な複合材料などを指し、様々な可能性がある。

事業2期目となる2027年3月期に売上高約2億円、営業利益率10%超を見込む。SAM(獲得可能な最大の市場規模)はセルロース生産推定量ベースで年に約520トン、TAM(獲得できる可能性のある全体の市場規模)はトレ食がセルロース化処理可能な推定量で年に約18万トンと見込まれており、軌道に乗れば将来有望な事業となる。

当面は籾殻の再利用に特化して事業を進めるが、将来的には籾殻以外の未利用バイオマスにも対象範囲を広げ、活用技術を確立し、日本の農業が抱える未利用バイオマス処理問題に対して包括的なソリューションを提供すると同時に同社の収益性向上につなげていく。なお、現在はJA新みやぎ以外への展開を検討しており、具体的な産地の選定を進めている。

不動産カンパニーでは、越中島開発事業を推進している。2025年5月に発表された「越中島開発グランドビジョン」によると、東京都江東区越中島に所在する約9,900坪の開発対象地を活用し、今後100年にわたり同社を支える次世代の再開発事業として推進する。都心に近接する大規模事業用地のポテンシャルを生かし、地元地域(東京都、江東区の自治体や地域住民・団体)への貢献と同社の株主価値の最大化の両立を目指している。再開発のコンセプト「「続く」を支える。」をキーワードに以下の3つの方針を掲げた。この3つの方針は再開発のゾーニング※にも適用されており、「まち」「食文化と農業」「人」それぞれのゾーンにおいて再開発事業が検討されている。

※ 都市計画では、土地を住宅地や商業地などを利用目的別に区画割することを指す。

1) 「まちの「続く」を支える。」:内外のひとやモノの交流点を提供する
2) 「食文化と農業の「続く」を支える。」:食文化、農業の「みらい」に触れる機会を提供する
3) 「人の「続く」を支える。」:水辺と緑に囲まれた上質な住環境と、災害に強い防災拠点を提供する

開発では都市計画法等に定める都市開発諸制度を活用し、効果の最大化を目指す。現状は低・未利用地で容積率は300%だが、今後当局との協議により土地利用転換を推進する。建築物と公共施設の一体的・総合的な市街地の開発整備、用途・容積率等の制限緩和を進め、容積率を500%超まで緩和することを目指す。これにより商業施設、ホテル・観光拠点、複合住宅、公園といった施設の建設を可能とすることで土地利用を最大化する。

また周辺との共同開発も視野に入れており、地域や官民連携による事業推進の形で、地域住民との対話を通じてともにまちづくりを進め、地域に愛されるまちを目指す。当局とも公共施設のあり方を含めて密に連携しながらまちづくりを展開する。事業パートナーについては大規模再開発の経験豊富なアドバイザーの支援を受けつつ、「越中島開発グランドビジョン」に共感する事業者(デベロッパー・ゼネコン等)を選定し、それぞれのノウハウと資金を活用して事業推進を加速させる。

想定スケジュールとして、2026年3月までにパートナー事業者を選定した後、地域や自治体との協議を推進し、2031年に当局の許認可を得て工事に入り、2034年以降の竣工、運用開始を計画している。

(2) ガバナンス
越中島開発事業等のCRE戦略の着実な実行に向けて、取締役会のさらなる機能強化を進めている。不動産に関する豊富な経験と知識を持つ社外取締役を既に招聘し、選任しており、ガバナンス面の強化を図っている。

(3) 財務・資本政策
「ヤマタネ2028プラン」に掲げる株主還元方針に従い、2026年3月期は1株当たり配当金を62.5円に増配する予定である。なお、2025年6月1日を効力発生日として普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行ったほか、40億円を上限とする自己株式取得への対応を進めている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)


《HN》

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