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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/06/02 13:34, 提供元: フィスコ

SI Research Memo(4):2025年2月期は継続事業ベースで実質2ケタ増収増益に

*13:34JST SI Research Memo(4):2025年2月期は継続事業ベースで実質2ケタ増収増益に
■システムインテグレータ<3826>の業績動向

1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は売上高で4,768百万円、営業利益で271百万円、経常利益で302百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で583百万円となり、いずれも期初計画(売上高4,508百万円、営業利益160百万円、経常利益178百万円、親会社株主に帰属する当期純利益109百万円)を超過達成した。ERP事業において想定を上回る受注を確保したことに加え、生産性向上をはじめとする全社的な収益性改善の取り組みが奏功し、業績の上振れ要因となった。

前期の単体業績と比較すると売上高で1.4%減、営業利益で17.3%減となったが、これはE-Commerce事業を分社化し持分法適用関連会社としたためである。継続事業ベースで見ると売上高で15.7%増、営業利益で73.9%増の2ケタ増収増益となった。ERP事業の拡大に加えて、AI事業やその他事業の損失額が縮小したことが主因だ。

なお、単体売上高は4,676百万円となっており、連結との差額は92百万円となるが、これはベトナム子会社の外部顧客向け売上高である。ベトナム子会社は48名の陣容で、同社のほかベトナム国内で外部企業からも受注し、売上を計上している。営業利益は単体で280百万円となっており、連結との差額は2025年3月に子会社化したシステム開発研究所の株式取得費用となる。

売上総利益率は前期の33.7%から32.5%に低下したが、主にERP事業の構成比が高まったこと、積極的な人材投資並びにSAP事業の立ち上げ準備等によるエンジニアの一時的な稼働率低下、大阪支社や福岡支社の移転・増床に伴う費用増が要因である。期末の単体の従業員数は229名でエンジニアを中心に前期末比13名増となった。販管費は前期比22百万円減少した。主要項目では研究開発費が46百万円増、減価償却費が5百万円増となった一方で、人件費関連が12百万円減、その他経費が61百万円減となった。なお、大阪支社、福岡支社の移転・増床に伴う一時費用として25百万円を計上した。

営業外収支が前期比で23百万円改善したが、主には持分法による投資利益31百万円の計上による。また、特別利益として持分法適用関連会社の残りの株式を2025年1月にすべて売却したことによる関係会社株式売却益547百万円を計上した。


旺盛なDX投資を背景にERP事業の高成長が続く

2. 事業セグメント別動向
(1) ERP事業
ERP事業の売上高は前期比16.9%増の3,850百万円、セグメント利益は同7.7%増の701百万円となった。製造業を中心に新規顧客からの引き合いが増加し、体制強化に取り組んできた効果もあって、売上高は2ケタ増ペースが続いた。また、製造業界における幅広い業務領域での需要取り込みを目的に、2024年9月にスマート製造ソリューション部を新設し、2016年から取り扱ってきた生産スケジューラ「Asprova」に加え、生産管理(SCM)システム、実績管理システムなどのソリューション展開を進めた。2025年1月にはビジネスエンジニアリングとビジネスパートナー契約を締結し、生産管理システム「mcframe」の販売を開始した。「mcframe」は中堅・大手企業向けで国内トップクラスのシェアを持つ。同社は「GRANDIT」の既存ユーザーへの導入提案に加えて、自社営業やビジネスエンジニアリングからの顧客紹介によって新規受注の獲得を進める。

新たに開始した「SAP S/4HANA」の導入支援事業についても二次請けで初めて受注を獲得し、複数社の引き合いも入っており、順調な立ち上がりを見せている。開発リソースについては「GRANDIT」で約120人、そのほかのシステムで約20人体制となっている。また、ベトナム子会社も同社以外の日系製造業向けERP案件を受注するなど順調に拡大しており、利益も若干ながら貢献したようだ。同子会社については、売上高の約5割を外部顧客の受注案件で占めている。

利益面では、大阪支社及び福岡支社の移転・増床費用の計上やSAP事業の立ち上げ準備によるエンジニアの一時的な稼働率低下により利益率が前期の19.8%から18.2%に低下したが、増収効果により増益となった。

(2) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前期比6.9%増の790百万円、セグメント利益は同0.5%増の333百万円となった。売上高の約7割を占める「OBPM Neo」が既存大手IT企業の追加案件や新規契約の獲得により順調に拡大した。KPIとするMRR(月次売上収益)は同3百万円増、伸び率で12%増と2ケタ成長が続き、解約率も0.4%と低水準で推移した。「Object Browser」シリーズは継続的なバージョンアップにより安定した需要を取り込んだが、買取型からクラウド型への移行を進めていることもあって、売上高は前期比横ばい水準に留まった。利益面では、組織改編に伴う一時的な販売費用の増加により、前期比微増に留まった。

(3) AI事業
AI事業の売上高は前期比147.8%増の92百万円、セグメント損失は22百万円(前期は42百万円の損失)となった。売上高はディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」の導入可能性を判断する簡易検証案件やPoC案件が増加したほか、製造業で用いられる図面を読み取り、大規模言語モデルと確認ルールを用いて図面の確認業務(検図)を効率化するPoC案件を複数受注したことが、増収要因となった。増収に伴い損失額も縮小したが、外観検査領域における収益化の目途は立っておらず、今後は検図領域での展開も進めながら収益化を目指す。

(4) その他
新規事業が含まれるその他の売上高は前期比30.3%減の35百万円、セグメント損失は11百万円(前期は57百万円の損失)となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」が低迷したほか、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」の事業を前期末で撤退したことが減収要因となった。ただ、事業撤退による関連コストの減少により損失額は縮小した。なお、「TOPSIC」については2025年2月末でAtCoderに事業を譲渡した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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