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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/04/28 15:03,
提供元: フィスコ
SFP Research Memo(3):2025年2月期は地方出店やエリア別価格の導入が奏功、計画を上回る増収営業増益
*15:03JST SFP Research Memo(3):2025年2月期は地方出店やエリア別価格の導入が奏功、計画を上回る増収営業増益
■決算動向
1. 過去の業績推移
コロナ禍前(2020年2月期まで)の業績を振り返ると、店舗数の拡大がSFPホールディングス<3198>の成長をけん引してきた。特に、「磯丸水産」の出店が本格化した2010年9月期以降、業績の伸びが加速し、経常利益率も売上高の拡大に伴って大きく改善した。2013年9月期の経常利益率が目標とする8%を超えると、2015年9月期には11.7%にまで上昇し、その後も高い水準を維持した。2020年2月期末は「SFPフードアライアンス構想」の開始もあり店舗数は全業態で275店舗(2019年2月期末239店舗)及び売上高は40,216百万円(2019年2月期は37,751百万円)と拡大したが、以降は、コロナ禍の影響により売上高は2021年2月期で17,428百万円、2022年2月期は10,404百万円と大きく後退した。これにより不採算店舗の退店に取り組み、全業態の店舗数は2021年2月期末227店舗、2022年2月期末215店舗となった。その後、アフターコロナにおいては国内消費の回復やインバウンド需要の取り込み等により、2025年2月期の売上高は30,389百万円、経常利益率は7.5%と、コロナ禍前の水準に戻ってきた。新たなステージに向けて地方都市への出店や注力業態の育成にも取り組んでおり、全業態の店舗数は2024年2月期は205店舗、2025年2月期は208店舗となった。
財務面では、2014年12月の東証2部への新規上場に伴う公募増資(約127億円)により、2015年9月期末の自己資本比率は76.8%に上昇し、その後もおよそ70%を超える水準で推移してきた。2021年2月期はコロナ禍の影響により親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことと、約90億円の運転資金の借り入れを実施したことで自己資本比率が一時的に低下したものの、2022年2月期末には77.3%とコロナ禍前の水準に回復した。2024年2月期は上場維持基準(流通株式比率)への適合等を目的とする自己株式の取得により自己資本比率が58.2%に低下したが、自己資本利益率(ROE)は17.1%と大きく改善しており、財務バランスは非常に優れていると評価できる。2025年2月期末の自己資本比率は62.5%に回復した。
2. 2025年2月期の業績
2025年2月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の30,389百万円、営業利益が同7.9%増の2,186百万円、経常利益が同2.0%増の2,281百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.2%減の1,485百万円と期初予想を上回る増収及び営業増益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益だけが減益となったのは、前期における繰延税金資産計上の反動であり想定内である。
夏場において台風による影響を受けたものの、前期に伸長した営業時間効果の積み上げや好調なインバウンド需要の取り込みが年間を通じて奏功し、増収を確保した。既存店売上高(通期合計)は前期比4.9%増となり、とりわけ訪日客の売上高は高価格帯商品投入効果もあり高水準で推移している※。また、前期より取り組んでいる地方都市への出店効果も着実に積み上げることができた。
※ 訪日客の多いなんばエリアに2024年6月より先行投入した高価格帯の「豪華蟹丼・海宝丼」を、浅草エリアにも投入した。磯丸水産における2025年2月期第3四半期の訪日客売上高の割合は14.0%(前年同期は10.5%)に上昇し、同第4四半期も同水準(前年同期は11.4%)を維持しており、業績の底上げに寄与したことは明白である。
出退店については、新規出店8店舗(内、FC2店舗)及び業態転換3店舗であった一方、退店5店舗により2025年2月末の店舗数は208店舗(内、FC18店舗)となった。
損益面では、食事利用メインの訪日客増が原価率の押し上げ要因※1となった一方、メニュー見直し等により円安及び物価高による影響は限定的であり、原価率は29.1%(前期は28.9%)とやや上昇もほぼ前期並みの水準を維持することができた。販管費についても、前期における採用拡大※2に伴う人件費増や補助金効果の剥落による光熱費の増加により拡大したものの、販管費増を上回る増収となり営業増益を確保することができた。営業利益率は7.2%(前期は7.0%)に上昇し、コロナ禍前の2022年2月期との比較でも0.9ポイント改善し、筋肉質の利益構造が定着してきた。
※1 訪日客の特徴として、ディナー帯の利用が多く、食事ニーズが中心であることから原価率を押し上げる要因となっている。ただ、客単価は日本人客よりも高く、蟹・うなぎ・魚介類等のオーダーが多い傾向が見られる。
※2 期初時点で前期比約160名増となっており、その分の人件費が増加した一方、人手不足が課題となっているなかで、営業時間の伸長や新規出店に向けてもプラスの効果を生み出している。
財政状態については目立った動きはなく、現金及び預金の増加等によって総資産は前期末比5.0%増の13,963百万円となった一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同12.8%増の8,732百万円となったことから、自己資本比率は62.5%(前期末は58.2%)に改善した。
3. 四半期業績の推移
2025年2月期第1四半期の売上高は前年同期比7.2%増の7,671百万円、営業利益は同2.9%増の609百万円、第2四半期の売上高は同3.3%増の7,365百万円、営業利益は同28.6%減の297百万円、第3四半期の売上高は同3.5%増の7,273百万円、営業利益は同57.2%増の456百万円、第4四半期の売上高は同4.0%増の8,078百万円、営業利益は同13.2%増の822百万円となった。
2025年2月期第2四半期は台風の影響により一部店舗で休業が発生したものの、売上高はすべての四半期で前年同期を上回った。利益面でも第2四半期での足踏みを第3四半期以降の伸びで十分にカバーすることができた。特に繁忙期となる第4四半期はエリア別価格の導入効果もあり、営業利益率は10.2%(前年同期は9.3%)に上昇した。
4. 2025年2月期の総括
2025年2月期を総括すると、1) 食材費の高騰、2) 光熱費の増加(補助金効果の剥落)、3) 夏場における台風の影響、4) 採用拡大に伴う人件費増など、いくつかのネガティブ要因があったものの、好調な既存店の伸びによりカバーし、期初計画を上回る業績を実現した。なかでも営業利益率はコロナ禍前の水準を大きく上回った。筋肉質な収益構造への転換は新たなステージに向けて強みとなるだろう。活動面でも地方都市への出店やエリア別価格の導入、「鳥良商店」の全面リニューアルなどにおいて、今後の成長に資する実績を積み上げた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HN》
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