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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/04/07 13:06, 提供元: フィスコ

シイエム・シイ:製品・技術情報の知見を活かす独自モデルで成長、データビジネスの進化に注目

*13:06JST シイエム・シイ:製品・技術情報の知見を活かす独自モデルで成長、データビジネスの進化に注目
シイエム・シイ<2185>は、顧客企業であるメーカーの技術マニュアル制作と戦略支援を提供する企業である。マニュアル制作業務を通じて得られる技術情報の深い理解をベースとし、顧客企業の社内研修やマーケティングなどにおける戦略支援ビジネスの拡大につなげる点が同社のビジネスモデルの特徴だ。2024年9月期における事業分類別の売上高は、マニュアル制作事業(Manuals領域)が9,106百万円、戦略支援事業(Knowledge領域)が9,949百万円、その他が468百万円となっており、主力のマニュアル制作事業と戦略支援事業でほぼ50%ずつの構成比となっている。
同社のようにマニュアル制作事業で得た知識を戦略支援事業につなげるビジネスモデルを採用している競合は見当たらないが、マニュアル制作など部分的には競合が存在する。取扱説明書や修理書など、大手自動車メーカー向けの技術マニュアル制作の同社シェアは約50%にのぼる。同社は自動車メーカーを中心とするモビリティ関連企業の顧客比率が高く、売上高ベースではモビリティ関連企業向けが75%、とりわけトヨタ<7203>向けの売上は約34%と高い比率となっている。同社は近年非モビリティ業界の顧客開拓を進めており、2021年9月期に53%であった非モビリティ関連顧客比率(顧客数ベース)は2024年9月期には71%まで増加、主力のモビリティ関連企業とのビジネスの拡大とともに顧客企業の業種分散も進めている。
同社のマニュアル制作事業の優位性は、製品・技術情報への知見を持つ多くのプロフェッショナル人材である。主力の自動車関連では、メーカーの用意する仕様書や設計図を読み取り取扱説明書や修理書に落とし込むテクニカル・ライティングの業務が必要となるが、同社に在籍する100名以上の整備士資格保有社員、32名の国家整備士1級取得者の経験と能力が大きな強みだ(2024年11月時点)。マニュアル制作には新車発売の数年前から自動車メーカーとの密接な連携が必要であり、参入障壁は高いものとなっている。戦略支援事業では、顧客企業の製品・技術情報の深い理解を様々なビジネスに繋げている。例としては、新車発売にあわせた販売店スタッフやサービススタッフ向けの研修会の企画・運営、セールスプロモーションツールの企画・開発、修理や点検補助のためのタブレットコンテンツの開発などが挙げられる。他にも、無人店舗や在庫レスに対応したVRショールームや、製品の内部構造の視覚による直感的な理解を可能とするAR修理書といった、製品・技術情報の知識を活かすとともに顧客企業のDXに寄与する商材も提供、戦略支援事業がカバーする領域は広い。
2024年9月期は前中期経営計画の最終年度であり、売上高は19,523百万円(2021年9月期比12.6%増)、営業利益は2,975百万円(2021年9月期比30.7%増)となった。営業利益率も13.1%から15.2%へと大きく改善している。2025年9月期第1四半期の売上高は3,713百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益260百万円(前年同期比21.5%減)と増収減益での着地となったが、今期は利益率の高い受注の売上の多くが下期にたつ予定。通期では売上高は22,000百万円(前期比12.7%増)、営業利益3,600百万円(21.0%増)を見込んでいる。
同社は積極的な株主還元方針をとっており、2024年9月期まで7期連続の増配を達成した。配当性向やDOEといった指標の目標数値を設定する予定はないが、増配は継続する方針であり、2025年9月期の配当予想は52円(前期44円)。また、同社は過去10年間で自己株取得を8回、株式分割を2回実施している。
今年度から始まる新中期計画(最終年度2027年9月期)で、同社は「2030年を見据え、人とデータの共生を支える情報活用の基盤を拡げる」という方針を掲げた。具体的には、同社顧客の製品・技術情報を生成AIでの活用など時代の要請に応じたデータに体系化・整備し、必要な時に、必要な情報を、最適な方法でユーザーに提供するための基盤の強化・発展を進める計画である。府中自動車の子会社化やイヤサカとの販売パートナー契約締結など前中計期間に成果のあった戦略的M&A・アライアンス戦略も継続、海外案件も視野に入れ積極的に推進していく。製品・技術情報の深い理解を起点としたビジネスモデルに注力し、ユニークなデータ企業へと進化する同社の今後の成長には注目しておきたい。


《HM》

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