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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/03/18 11:06, 提供元: フィスコ

トレードワークス Research Memo(6):金融ソリューション事業を中心に全事業部門で増収、過去最高売上を達成

*11:06JST トレードワークス Research Memo(6):金融ソリューション事業を中心に全事業部門で増収、過去最高売上を達成
■業績動向

2. 事業別の売上動向
(1) 金融ソリューション事業
トレードワークス<3997>の金融ソリューション事業の売上高は前期比10.3%増の3,093百万円と過去最高売上を2期ぶりに更新した。新規顧客を1社獲得したほか、既存顧客からの追加案件の受注が堅調に推移し、引き続き新NISA(少額投資非課税制度)対応や米国株ネット取引システム等のサービス提供が順調に推移した。

ここ数年、株式投資への関心の高まりとともに、米国株を中心とした外国株式取引を行う個人投資家が増えていることから、外国株ネット取引システムを導入する証券会社が増加傾向にある。日本証券業協会の調べによると、会員企業のうち外国株式を取り扱う証券会社は2021年3月末の19社から2024年3月末は30社と増加傾向にある。2025年にはニューヨーク株式市場の取引時間が22時間に延長されることが決まっており、米国株式取引を行う国内の投資家がさらに増えることが見込まれている。インターネット取引サービスを提供する証券会社は95社あるため、今後も米国株ネット取引システムの受注獲得機会は増加するものと予想される。

また、2024年10月にはSBI VCトレード(株)向けに暗号資産取引アプリ「SBI VC トレードアプリ」の提供を開始した。同アプリはミンカブソリューションサービシーズ、CXRエンジニアリング(株)との共同開発案件である。暗号通貨のチャート機能や注文機能、資産管理の確認等が直感的な操作で可能となるUI/UX設計で、今後も順次機能を追加し、利便性の向上を図る考えだ。

(2) FXシステム事業
FXシステム事業の売上高は前期比7.3%増の197百万円と3期連続の増収となった。主力商品である「TRAdING STUDIO」のスマートフォンアプリで新規顧客を獲得したほか、既存顧客向けにCFD(差金決済取引)システムサービスの受注も拡大し増収に寄与した。

(3) デジタルコマース事業
デジタルコマース事業には、デジタルコマース事業やメタバースソリューション事業のほか、セキュリティ診断事業や特典配信プラットフォーム「toku-chain」の事業が含まれ、売上高は前期比73.1%増の269百万円となった。

デジタルコマース事業において、コネクテッドコマースと協業したリアル×デジタル体験型店舗「AZLM」のシステム利用料等が増加したほか、「toku-chain」の売上を計上したことが増収要因となった。テスト稼働を含めてネット証券や大手証券会社で利用されており、第4四半期には利益ベースで黒字化した。今後も証券会社だけでなく、銀行やFX事業者、暗号通貨取引所運営事業者など新規口座獲得に注力している事業者に対して同サービスを導入提案し、売上を拡大していく戦略だ。

(4) ソフトウェア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業
ソフトウェア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業の売上高は、前期比13.0%増の258百万円と順調に推移した。製造・生産管理システムや営業支援システムなどのコア事業に加え、金融ソリューション事業との協業案件が堅調に推移したほか、Salesforce導入支援サービスの需要も引き続き旺盛で増収に寄与した。

(5) 基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業
前下期から連結対象に加わったペガサス・システムが手掛ける基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業の売上が通年で寄与したことにより、前期比103.3%増の772百万円となった。電力・ガス会社向けを中心にSESが堅調に推移した。


2025年3月に第三者割当増資を実施し財務基盤を強化
3. 財務状況
2024年12月期末の資産合計は、前期末比139百万円減少の2,904百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が189百万円増加した一方で、売掛金が152百万円、仕掛品が50百万円それぞれ減少した。固定資産では有形固定資産が16百万円、のれんが54百万円、繰延税金資産が24百万円それぞれ減少し、ソフトウェアが47百万円増加した。

負債合計は前期末比32百万円減少の1,625百万円となった。運転資金を目的に銀行借入れを実施したことにより有利子負債が262百万円増加したほか、受注損失引当金49百万円を計上した一方で、未払金が276百万円、前受金が115百万円それぞれ減少した。純資産合計は同106百万円減少の1,278百万円となった。主に、親会社株主に帰属する当期純損失151百万円の計上と配当金支出65百万円により利益剰余金の減少による。なお、同社は2024年6月にSCSK<9719>と資本業務提携を締結し、同年7月に自己株式128千株をSCSKに売却したほか、同年9月には従業員向けに譲渡制限付株式報酬制度に基づき13千株を付与したことにより、自己株式が166百万円減少(増加要因)した。

経営指標を見ると、経営の安全性指標となる自己資本比率は前期末の45.5%から44.0%に低下し、逆に有利子負債比率は42.3%から66.3%に上昇した。業績悪化と有利子負債の増加が主因である。ここ数年間、成長戦略としてM&Aも含めて先行投資を積極的に行ってきたが、まだ投資効果が顕在化しておらず、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)で見ると2021年12月末時点で802百万円のプラスから、2024年12月末時点では44百万円のマイナスに転じるなど財務体質が悪化している。

同社では今後、大手企業を顧客として事業を拡大していくためには、財務基盤を強化しておくことも重要であるとの認識の下、2025年3月にSBIホールディングス、松井証券、岩井コスモ証券の3社を割当先とした第三者割当増資を実施し539百万円を調達、財務基盤の強化を図った。割当先はいずれも同社の主要顧客であり、今後はシステム開発ベンダーと顧客の関係から一段ステップアップし、事業成長をともにするパートナーとして強固な関係を構築していくものと予想される。なお、調達資金の使途としては借入金の返済等財務基盤の強化として133百万円、RPAツールの導入や生成AIの活用をはじめとする各種ナレッジ基盤の基盤などサービス品質と生産性向上のための資金として100百万円、インターネット取引システムの商品・機能拡充に向けた開発資金として100百万円、新たな金融サービス基盤の構築資金として200百万円(うち、100百万円はミンカブアセットパートナーズの株式取得資金に充当)を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



《HN》

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