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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/02/12 13:02, 提供元: フィスコ

平和RE Research Memo(2):東京都区部中心のオフィス・レジデンス複合型REIT

*13:02JST 平和RE Research Memo(2):東京都区部中心のオフィス・レジデンス複合型REIT
■平和不動産リート投資法人<8966>の特長・優位性

1. 概要
同REITは、東京都区部を中心とする、オフィス・レジデンス複合型REITである。2002年1月に前身であるクレッシェンド投資法人として設立された後、2005年3月には東証不動産投資信託証券(J-REIT)市場に新規上場、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併し、名称を平和不動産リート投資法人に変更して今日に至っている。

また、投資主より募集した資金を主として不動産などに対する投資として運用することを目的とし、「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を資産運用の基本方針(基本理念)として掲げている。実際の資産運用はすべて平和不動産アセットマネジメント(株)に委託しており、平和不動産グループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。

同REITは、以下で述べる「戦略的なポートフォリオの構築」「平和不動産の強力なスポンサーシップ」「潤沢な分配原資と成長資金」といった特長・優位性を有しており、これらを活用することでサステナブルな投資主還元に取り組んでいる。

2. 戦略的なポートフォリオの構築
同REITは、高い需要に支えられた「東京都区部を中心とする投資エリアに存するオフィス及びレジデンス」に集中的に投資している点に大きな特長がある。多数の物件に投資することで戦略的にポートフォリオの分散を図っていることが、安定した稼働率と収益の源泉になっている。

オフィスビル分野では、同REITの主要投資エリアである東京都区部や主要都市には主なテナント層である中小規模の事業所が多く、豊富な需要がある。ただ、オフィスビルの全てが安定収益を確保できるとは限らず、立地条件、建物スペックなどの要素によって、淘汰される物件とそうでない物件に“二極化”が進むと予想される。したがって同REITでは、数多くの投資機会の中から、中長期的に収益安定性を有すると考えられる優良なオフィスビルを厳選して取得することを目指している。なお、コロナ禍に伴う非常事態宣言発出により同REITのテナントの動きは一時停滞していたものの現在は回復してきており、また主要顧客の中小事業者ではテレワーク促進などによる退去の動きは見られないようだ。

レジデンス分野では、コロナ禍の影響により、都心部を中心に一時的に稼働率が低下し、リーシング期間が長期化したものの、各種リーシング施策の実施により、稼働率は急速に回復し安定推移している。コロナ禍が収束したことで、東京都では従来のように人口増加傾向が強まり、堅調な需要が見込まれる。実際、単身世帯からシニア世帯まで、あらゆる世帯層が利便性の高い都心部への移住を希望している。不動産価格の高額化とも相まって、都心部の賃貸住宅に関する需要は今後も堅調に推移すると予想される。ただし、レジデンス分野は、各種設備の機能的陳腐化がオフィスビルよりも早いので、同REITでは新築物件を中心に、極力築年数の浅い物件を集中的に取得することを目指している。また、家族構成の変化によって世帯の少人数化が進展することで、今後はシングル・コンパクトタイプの住居を必要とする世帯数が増加していくと考えられる。同REITでは、ファミリータイプよりもシングル・コンパクトタイプの住居に数多く投資することで、同規模の建物からより多くの賃料収入を得ることが可能となるように、効率的な運営を図っている。

2024年11月30日時点における同REITのポートフォリオの用途別内訳を見ると、オフィス(主に中小規模の事業所がテナント)51.7%、レジデンス48.3%となっている。厳格な投資基準に基づき多数の物件へ投資することにより、用途・棟数・テナントの分散を行い、ポートフォリオの収益変動リスクの極小化を図っている。オフィス賃料は景気感応度が高く、収益の変動性が高いのに対し、レジデンス賃料は景気変動を受けにくく、収益の安定性が高いことから、両方にバランスよく投資することで、収益性と安定性の双方を追求できるポートフォリオを構築している。

また、投資エリア別では都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)32.6%、その他の東京23区27.5%、首都圏(東京23区以外)11.2%、その他28.7%となっている。地域的には第1投資エリア(東京23区)を主たる投資地域と位置付けているが、各エリアのマーケット状況(取得物件のストック量、取引価格の状況及び賃貸マーケット状況など)を勘案しながら、第2投資エリア(23区以外の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)及び地方投資エリア(政令指定都市をはじめとする全国の主要都市、すなわち平和不動産のサポートが得られる地方大都市)にも投資する。

3. 平和不動産の強力なスポンサーシップ
同REITは平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが特長であり、大きな強みと言える。平和不動産は東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所ビルを証券取引所に賃貸し、全国各地にオフィスビルを所有するほか、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業も幅広く展開している。そのため、同REITに対する外部成長サポートとして、平和不動産の保有・開発物件、仲介物件、先行取得物件などの情報ソースを活用できる。

実際、スポンサー変更後の物件取得合計は2024年11月期で73件/1,503億円に上るが、うち資産運用会社ネットワークが32件/604億円、スポンサー(平和不動産)からの直接取得/資産入替が20件/394億円、ウェアハウジング(スポンサーが第三者から物件取得して一定期間保有し、タイミングを見て同REITが取得する手法)が21件/504億円を占めている。このように、スポンサーのサポートが同REIT成長の原動力となっていることが実績として示されている。また、内部成長サポートとして、情報の共有化によって稼働率の改善を図ることができる。さらに、財務サポートとして、財務方針や資金調達などにかかる支援や指導を仰ぐことができる。

同REITでは、これらのサポートを最大限に活用し、着実な成長戦略を推進することによって、投資主価値の最大化を目指している。なお、デベロッパーである平和不動産にとっては、REITの仕組みを活用して資金調達が可能となるメリットがあると考えられる。

4. 潤沢な分配原資と成長資金
同REITでは、資産入替に伴う譲渡益の一部を分配金に、残りを内部留保の蓄積に充てることで、長期にわたる安定した分配原資及び成長資金を確保している。2024年11月期末には、内部留保残高55億円、含み益額は600億円を擁している。内部留保は、将来の安定的な分配金支払いを可能にする。すなわち、物件売却に伴い減損損失を計上した際にも、内部留保の取り崩しによって実力ベースの分配金支払いが可能であるからだ。また、同REITでは設立時の合併に伴い、受入資産に税会不一致が発生しており、物件譲渡により発生した譲渡益については税会不一致を活用した内部留保拡大が可能であることも強みである。一般的に、REITは利益のほとんどすべてを分配金として支払うため内部留保を積むことができないが、同REITは、過去の合併の経緯からこれを積み上げるツールを有する。さらに、資産入替によって含み益の一部を顕在化することで、分配金を継続的に増加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


《HN》

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