file 02 |
マーケットの魔術師として知られる投資家、ウィリアム・オニールが
成長株発掘法としてまとめた7つのスクリーニング条件――。
今回は新刊『マンガ オニール流グロース株投資入門の入門』の出版を記念して、監修者の鈴木一之氏に、オニール流投資法の魅力についてお聞きしました。
Q.
株式について、いつごろから興味を持ち始めたのですか? A. 高校生のころ、ウォ−ル街の株価大暴落が世界大恐慌を引き起こしたと教わり、経済と株式市場の関係に興味を持ちはじめました。大学に入った後、株価が景気に与える影響や景気変動への興味がいっそう強まり、法学専攻だったにもかかわらず経済の本を読みあさっていました。今でも投資でお金を儲けるというよりは、純粋に経済の動向を知りたいという思いの方が強いです。
A. 証券会社へ入社後は、もちろん多岐にわたる勉強をしなければなりませんでした。今でもよく覚えているのは、母校の大学図書館に週末に通っては古い新聞を読みあさり、そのとき、その瞬間、世界では、日本では何が起こっていたかを調べていた記憶があります。それらの事柄が株価や経済に与えた影響を調べることに多くの時間を費やしていました。
A. ずいぶんたくさんの本を読んできましたが、やはり、ピーター・リンチとウォーレン・バフェットの2人の本は必読だと思います。他にも多くの本が出ていますが、結局はこの2人の教えを忠実に学ぶことがすべてだと思います。難しそうに思えるかもしれませんが、初心者の人こそ世に出ている2人の本は一冊残らず読むべきだと思います。
A. ウィリアム・オニールです。オニールは初心者よりも、成功と失敗を経験してある程度慣れてきた投資家が読むと、より生かされる本ではないでしょうか。彼は、かなりユニークな独自の理論を構築・実践しているので、経験の少ないうちから彼の本を読むとイメージしづらいと思います。
A.
グロース株では、企業の売上・利益の伸び率がすべてです。
A.
バリュー株は、企業が持っている今この時点での企業価値を評価します。
A. フィッシャーが定義する成長企業とは、一言で言えば「企業を成長させるのは人である」ということになるでしょう。 企業が稼ぎ出した利益を次にどこに投じるか、研究開発費に回すのか、株主に配当金として支払うのか。どれだけの割合を内部留保として企業にとどめておくのかという判断は、経営者の力量が最も問われるところです。それはとても難しい決断ですが、成功している企業は優秀な経営者がきちんとした判断が下せているということになります。フィッシャーはグロース株の条件として企業の年間に投じる研究開発費の額に焦点を当てていますが、まさにこの点を指摘しているのでしょう。 しかし、この考えは理解しやすいので一見すんなりと納得できるのですが、実際に株式投資を行ううえで投資尺度として使っていくにはあいまいすぎて使いにくいのです。
A.
ウィリアム・オニールはその点、明確です。
A. 今回監修した本は、あくまでオニールの著作(とりわけ日本語訳)の第1冊目『オニールの成長株発掘法』のなかで紹介されている「CAN-SLIM」の概要を分かりやすく図解したものです。そのなかでも触れていますが、彼の著作は日本語訳だけで3冊あり、その3冊をすべてを読んで彼の手法を知っていただくのが一番です。しかしスタートにあたっては難しいと思われる方は、この本を読んで概要をつかんでから原書を読まれるとより理解が深まると思います。
A. オニールの最大の特徴は、「CAN-SLIM」の“M”であるマーケット(市場動向)に関する洞察にあります。他の偉大な株式投資の成功者たちは、ピーター・リンチにしろウォーレン・バフェットにしろ、いずれも大切なのは個々の企業の成長性であって、マーケットの全体動向は見る必要がないと言っています。これに対してオニールは、それとは正反対にマーケット全体を見るべきであると断言しています。これはグロース株アプローチの投資家では他にいないのではないでしょうか。マーケット全体が下がれば個別の銘柄も下がるものであるから、ロスカットをしっかり行うようにと。そのために彼は買いのタイミングをとても重要視しています。
A. バフェットはインタビューのなかで、自らの投資スタンスに関して、グレアムの部分が85%、フィッシャーの分が15%であると応えています。バリュー株投資の大家として名高いバフェットですが、「消費者独占型企業」の株を割安と判断した段階で大量に購入し持ち続ける点では、まぎれもなくグロース株投資スタイルであるといえます。バリュー株とグロース株のどちらの要素も含んでいるといえるのではないでしょうか。
A. どのスタイルが良いというものではありません。早い段階で自分に合った投資スタイルを見つけて、そのなかで紆余曲折しながら経験と知識を深めていくことが大切だと思います。あるときはグロース株、あるときはバリュー株と、そのときの相場の流れや流行でスタンスを変えるのは、うまく立ち回っているようでいてあまり得策とは思えません。 これから株式投資を始めようと考えている方、あるいは既にある程度の経験は積んでいるのだがまだ自分がどれに合っているか分からないという方は、自分は何が好きなのか、好きだったのかを追及してみるとよいと思います。それには自分が中学生のころに何に興味をいだいていたかを思い出してみるのがいいのかもしれません。その人が人生のなかで本当に好きなことは14歳ごろに興味を持っていたことに集約されるそうです。趣味志向は年齢や経験によって若干の変化はあるでしょうが、根本的な嗜好はあまり変わらないらしいですよ。
A. 学生のころバンドをやっていたとか、絵を描くのが好きだったとか、お洒落にばっかり興味を持っていた、などです。そんな一見、投資という世界とは無縁の学生時代の思い出も自分を導く良い材料になるはずです。 一般的に言って、グロース株は企業の未来の予想することが主眼であるため、そこには世のなかの流行に敏感な感性の部分がどうしても必要になってきます。芸術的センスと言ってよいかもしれません。カチッとした固定化された世界よりも、ファジーであいまいな感覚を好む傾向を持っている方は強みを持っているようです。 それとは対照的にバリュー株では、明確に割高、割安を判定することを好む方が向いているように思います。学生時代から白黒はっきりさせるタイプだったとか、論理的に考えて結論を導き出し行動してきたとか。その手の方は成長株よりもバリュー株に向いているのではないでしょうか。
A.
しかし、それらはあくまで一般的な傾向です。
A.
株式投資は「人類が考え出した最も難しいゲーム」であると思います。 株式投資は人間の本能との戦いです。ここでの本能とは欲望と恐怖です。人は儲けたいと望み、損したくないと不安を募らせます。本能に従えば、株価が下がると損を怖がり売りを行い、株価が上がると儲けを信じて買いを行いますが、これでは常に安値で売って高値を買うことになってしまいます。実際にはその逆のことを行わないと成功にはたどりつけません。しかしそれを実行するのは、本能に逆らって行動するだけにたやすいことではありません。そこで確固たる明確な理由が自分に出せるかが必要になります。
A.
企業は成長のための努力を重ねます。
|
|